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八条学園騒動記

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第六百四話 マウリアの推理その一

                マウリアの推理
 マウリア映画を専門に上映している校舎に入った、するとシッドは校舎の中を見回しながらエミリーに尋ねた。
「ここって大学の」
「ええ、マウリア語学科とかマウリアの歴史とかね」
 エミリーも答えた。
「そうしたことを学ぶね」
「場所なんだ」
「そうなっているの」
「校舎全部がなんだ」
「マウリアについて学べる場所なの」
「そうした校舎もあるんだ」
「この大学にはね、それでね」
 エミリーはさらに話した。
「食堂もあるけれど」
「出て来るのはカリーなんだ」
「カレーでなくてね」
「マウリアの料理だね」
「そうなの」
 エミリーはシッドに穏やかな声で話した。
「だからよくこの校舎に入ったら」
「そうしたら?」
「カリーの匂いがするって言われるわ」
「そういえば」
 トムは従姉のその言葉を聞いて頷いた。
「そうした感じがするね」
「ええ、そうよね」
「食堂の方からの匂いかな」
「多分ね、それでね」
「カリーの匂いがするんだ」
「やっぱりね」
「成程ね、それは偏見じゃないんだね」
 トムは自分の鼻に入るそれを感じつつ述べた。
「カリーの匂いがすることは」
「実際に食堂から匂いがするから」
「だからだね」
「もうね」
「食堂の方から匂うなら」
「ちゃんと根拠があるでしょ」
「カリーの匂いは凄いしね」
 このことはカレーと同じである。
「特にそればかりだと」
「かなり匂うでしょ」
「そうなるからね」
「カレー屋さんだってそうだしね」
 カレー専門店でもというのだ。
「そうだから」
「ここの食堂も」
 トムは言った。
「そうした匂いを出していて」
「それでね」
「校舎自体がそんな匂いになっているんだね」
「そういうことね、それにね」
「それに?」
「マウリアの人達はいつもカリーだから」
 この味付けと匂いの料理を食べているからだというのだ。
「自然とね」
「カレーの匂いがするんだね」
「連合だってそれぞれの国で言われるでしょ」
「そういえばそうだね」 
 トムも頷いた。
「アメリカ人はマスタードでね」
「中国人はラー油で」
「日本人はお醤油で」
「そう言われるね」
「私達はメイプルシロップでね」
 カナダ人はとだ、メアリーは笑って話した。
「そう言われるわね」
「そうだよね」
「それでマウリア人はね」
「カリーの匂いだね」
「そうなるわ」
「食べものの匂いはどうしても付くね」
「いつも食べていたら」
 それでというのだ。 
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