| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十七部第二章 第二次国境会戦その三

「あと数時間で戦闘に入るがな」
「激しい戦闘になります」
「間違いなく」
「それも前の会戦と同じく何日にもなるかも知れない」
「ですがそれでもですね」
「怖気付いて逃げれば」
「背中を撃たれる」
 逃げた時に見せるそこをというのだ。
「だからだ」
「はい、この度もですね」
「正面から向かって戦い」
「そして傷を受けぬ限り退かない」
「そうしていきますね」
「傷を受けて退けと言われて退くのはいい」
 この場合についてはアッディーンもいいとした。
「その場合は背は向けない、しかしだ」
「怖気付いて逃げる場合は」
「どうしても敵に背を向けてしまいますね」
「そうしてですね」
「背中を撃たれて死にますね」
「死にたくなければ逃げないことだ」
 この度の会戦でもというのだ。
「絶対にな」
「わかりました」
「各艦に伝えておきます」
「敵に背は向けるなと」
「決して」
「その様にな、その方が生きられる」
 下手に逃げるよりもというのだ。
「だからいいな」
「わかりました」
「では全艦隊戦闘用意ですね」
「これより」
「それに入りますね」
「そうだ、敵が攻撃射程に入るとだ」
 オムダーマン軍のそれにというのだ。
「私が指示を下す、そしてだ」
「戦闘ですね」
「それに入りますね」
「その時から」
「そうなる、戦いは間もなくはじまる」
 今回もというのだ。
「その間に食事も済ませることだ」
「わかりました」
「それでは」
 艦隊司令達はアッディーンのこの指示にも頷いた、そうして全軍食事に入った。その食事はというと。
 戦闘が近いだけあり携帯食だった、軍事用のそれがすぐに出されオムダーマン軍の全将兵が同じものを食べた。
 それはアッディーンも同じで司令の椅子に座ったまま携帯用のパンやレーションを口にした。だが参謀の一人がその彼に言った。
「いつも思いますが」
「食事はか」
「はい、国家元首であられますので」
「特別な食事をか」
「何時でもお出し出来るのですが」
「構わない」
 一切という返事だった、アッディーンのそれは。
「一行にな」
「左様ですか」
「私は贅沢に興味がない」
「お食事にも」
「口に出来て栄養があるならな」
 この二つの要素が充分ならというのだ。
「それでだ」
「もうですか」
「そうだ、構わない」
「味については」
「充分だ」
 今食べているパンやレーションのそれでというのだ。
「これでな、美味いと思う」
「そうなのですか」
「レーションも味が重要だ」
 このことはアッディーンもわかっている、美味なものはそれを口にするだけで将兵の士気を上げるからだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧