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お金は大事

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第三章

「凄いね」
「お金のことにですか」
「うん、物凄くこだわっているよ」
「自覚はしていますけれど」
「何かあった時の為にだね」
「お金は置いています」
「それで何かあれば」
「その時にです」
 使うとだ、こう言ってだった。
 あず未はとにかくお金のことは徹底的と言うまでにこだわっていて貸し借りも厳しく使い方もしっかりしていた。
 それでせっせとお金を貯めていたが。
 ある日あず未は家の猫のマリー、白猫の彼女の具合が悪いのを見てだ。
 すぐにだ、母に言った。
「病院に連れて行こう」
「ええ、ただお金が」 
 母は困った顔で言った。
「最近うちお祝儀やお葬式が多くて」
「お金ないの?」
「お家にはないの、貯金もね」
 これもというのだ。
「あるにはあっても」
「ローンでなの」
「お家と車の、ガス代もあるし」
「電気代とか水道代も」
「それでね」
 そうしたことに金を使わねばならずというのだ。
「すぐに出せるお金ないの、お父さんに言わないと」
「お父さん今出張中だから」
 あず未はマリーを見つつ母に答えた。
「電話して。けれどお父さんがお金振り込んでくれるにしても」
「時間かかるわね」
 母は携帯を出しつつ言った、見ればあず未がそのまま四十代になった感じだ。
「それでも」
「お仕事して。それでお仕事終わってお金振り込むにしても」
「明日になるわね」
「メリー何もなかったらいいけれど」
「若し急に大変なことになっていたら」
「困るわよね、じゃあ私がお金出すわ」
 あず未は母に答えた。
「そうするわ」
「あず未が?」
「お金はあるから」
 あず未が持っているというのだ。
「こうした時の為に貯金していたから」
「そういえばあんた」
「そう、いつもお金貯めていたでしょ」
「そうだったわ」
「こうした時の為になのよ」
「置いておいたの」
「若しかしたらマリーの命に関わるから」
 その可能性があるからだというのだ。
「ここはね」
「あんたが出すの」
「そうするわ、だからね」
「今すぐに」
「お母さんはマリーを車で病院に連れて行って」
 動物病院にというのだ。
「そうして」
「わかったわ」
 母も頷いた。
「それじゃあね」
「私すぐにキャッシュコーナーに行くから」
「そこでなのね」
「お金おろして」
 自分の貯金をというのだ。
「そうしてね」
「それじゃあね」
 母も頷いてだった、それぞれ手分けしてだった。 
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