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星河の覇皇

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第七十七部第一章 二度目の嵐の前その十六

「いい気分転換になるんだよ」
「ああ、仕事ばかりだとな」
「結構煮詰まるからな」
「それで気分転換にもなるか」
「一日五回の礼拝は」
「そうした意味もあるんだな」
「そうなんだよ、私だってな」
 プライベートで話しているので砕けた口調だが大使に相応しい品性は忘れていない、一人称にそれが出ていた。
「礼拝はな」
「ちゃんとするか」
「一日五回のそれは」
「君にしても」
「それでその礼拝がか」
「気分転換になっているんだ」
 こう仲間達に話した。
「だからな、オムダーマン国防省のスタッフの人達もだ」
「礼拝がいい気分転換になって」
「それで働けるんだな」
「成程な」
「そういうことか」
「ああ、アッラーはそこまで考えておられるんだ」
 こうも言うのだった。
「礼拝は神を忘れず気分転換にもなる」
「気分転換か?」
「それは不謹慎だろ」
「幾ら何でも」
「そう思うのは」
「違う、アッラーへの祈りは全ての気持ちを切り替えてくれる」
 それもいい意味でだ。
「だからこの場合はいいのだ」
「気分転換と言っても」
「そうなるんだな」
「何かと思えば」
「そうなるか」
「そうだ、アッラーはまさにだ」
 この大使はさらに話した。
「こうしたことまでお考えでだ」
「先以てか」
「人間に礼拝をする様に定めているんだな」
「こうしたことも考えて」
「気分転換までも」
「アッラーは偉大だ」
 こうも言う使者だった。
「まさにこれ以上はないまでのな」
「イスラム恐るべしだな」
「そういえばラマダン中は戦争もないしな」 
 この期間はサハラのあらゆる場所で戦争がなかった、日中断食してどうして戦えるかというのだ。このことはサハラの千年の歴史で守られ一つだ。
「そうしたことも考えてか」
「アッラーはコーランに書いておいたんだな」
「色々なことを」
「そうだ、コーランに間違いはない」
 ムスリムの考えである。
「その中にはそうした思し召しもあるんだ」
「仕事が煮詰まった時の気分転換の礼拝」
「そして休戦期間になるラマダン」
「色々あるんだな」
「そうなんだな」
「そうだ、アッラーは実に偉大だ」
 まことにというのだ。
「そうしたことまでお考えだからな、しかしオムダーマンの国防省は」
「今本当に忙しいな」
「戦争を動かす為にも」
「何かとな」
「多忙を極めているな」
「確かにな」
「これは暫く続くな」
 その多忙な状況はというのだ。
「やっぱりな」
「そうだな」
「このことは逃れられないな」
「どうしてもな」
「戦争をしている限りな」
「終わっても処理があるからな」
 事後処理だ、あらゆる事柄にあることだがこれは戦争も同じだ。むしろ経理等はここからが本当の仕事になる。 
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