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八条学園騒動記

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第六百一話 朝ご飯はその七

「名探偵になれない」
「それはその通りだね」
「そして優しさもだ」
 これも大事だというのだ。
「優しさだけでは生きていけない、しかし優しさがないとな」
「生きている意味がない」
「優しさは必要なんだよ」
「探偵にもだね」
「例えば飼った犬は何があっても一生一緒にいる」
「それ当然のことだけどね」
 トムはこう返した。
「はっきり言えば」
「そうだな、しかしな」
「その当然のことをね」
「出来ない奴もいるだろ」
「残念ながらね」
「そんな奴になることはな」
 それこそというのだ。
「駄目だ、名探偵はだ」
「優しさもだね」
「必要なんだよ」
 それだけでは駄目にしてもというのだ。
「俺はそう思う、だからな」
「人に優しくしているんだね」
「意識してな、人に優しいところの全くない奴もいるな」
「中にはね」
「そんな奴が探偵になったら」
 その時はというと。
「もうな」
「名探偵じゃないんだ」
「それだけでな、テロ=ゴルフもな」
 ネロ=ウルフもというのだ。
「確かに暴君だ」
「助手をこき使うね」
「しかし人情はあるな」
「そうそう、あれでね」
「マッコイ=ハガーもな」
 マイク=ハマーもというのだ。
「そのバイオレンスの中に人情があるだろ」
「アウトローの人情がね」
「そうだ、アウトローでもな」
 所謂その立場の者達でもというのだ。
「人情はあるかないかでな」
「違うね」
「これまで可愛がっていたワンちゃんを捨てる飼い主なんてね」
 ジャッキーはこの時代にもいるそうした輩の話をした、こうした輩は何時でも何処でも存在するのも人の世だ。
「名探偵にはなれないわ」
「優しさがないからだね」
「そうよ、絶対にね」
 ジャッキーも言うことだった。
「そんな奴はね」
「名探偵にはなれない」
「そうよ」 
 間違ってもというのだ。
「正しい心がないなら」
「その時点でなんだ」
「そしてやっぱり健康もね」
 この要素もというのだ。
「必要よ」
「そうなんだね」
「テンボの言う通りにね」
 こう言うのだった。
「名探偵は健康でないと」
「出来ないね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「名探偵は身体の何処かが悪くてもね」
「いいんだ」
「身体障害者の人への差別なんてね」
 ジャッキーはこのことには目を怒らせて言った。
「もうね」
「問題外だね」
「探偵以前よ」
 それこそというのだ。 
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