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オズの木挽きの馬

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第十幕その七

「私達はね」
「渡し守の人と舟がなくても」
「安心していいわ」
「そうなのね」
「じゃあ帰ろう」
 木挽きの馬も言いました。
「これから」
「ええ、そうしましょう」
 黄金の羊も応えました。
「これから」
「君がそう言ってくれて何よりだよ」
「それじゃあね」
「牧場に戻ろうね」
 こうお話してでした。
 皆は一緒にでした、帰り道に着きました。すると。 
 皆前の青空に虹がかかっているのを観ました、恵梨香はその虹を観ながら言いました。
「オズの国ってよく虹が出るわね」
「雨上がりでなくてもね」
 神宝が応えました。
「出るよね」
「それもあの虹七つも連なっているけれど」
 ジョージも言います。
「ああした虹もよく出るね」
「虹が連なるなんて外の世界じゃ滅多にないのに」
 こう言ったのはカルロスでした。
「オズの国じゃいつもだね」
「しかもあの虹は渡れるし」
 ナターシャもその虹を観ています。
「素敵なのよね」
「若しかして」
 恵梨香はこうも言いました。
「あの虹はポリクロームの虹かしら」
「ああ、あの人のだね」
「有り得るね」
「ポリクロームは虹を造るしね」
「虹の精だから」
「だからね」 
 それでとです、恵梨香は四人にお話しました。
「あの虹はね」
「それなら虹に声をかけてみよう」
 木挽きの馬はこう提案しました。
「そうすればわかるよ」
「ポリクロームを呼ぶの?」
「あの虹に向かって」
「そうすればわかるんだ」
「若しポリクロームが造ったものならポリクロームが出て来る」
「そう言うのかな」
「うん、だからね」 
 それでというのです。
「今からね」
「あの虹に向かって」
「ポリクロームの名前を呼ぶ」
「そうすればいいんだ」
「それじゃあ今から」
「ポリクロームを呼ぶのね」
「そうしてみようね」
 こう言ってでした、木挽きの馬は五人と一緒にでした。
 虹に向かってポリクロームの名前を呼びました、するとお空からそのポリクロームがゆっくりと舞い降りてきてです。
 皆の前に出て来てこう言ってきました。
「ここで何をしているのかしら」
「実はね」
 木挽きの馬がお話しました。
「こうした事情でね」
「そうだったのね」
「それで今はね」
「ここにいるのね」
「そして君が虹を造ったのかって思って」
 それでというのです。
「呼んだんだ」
「そういうことね」
「今はここで虹を造っていたんだ」
「そうして遊んでいたの」
 ポリクロームは木挽きの馬に答えました。 
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