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レーヴァティン

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第百八十八話 連勝その十

「苦しみそうした作物もです」
「なくてか」
「苦しんでいたので」
「税も労役もかなり軽くしてか」
「作物の導入も行うなぞ」
 寒冷地に強いそれのだ。
「もうです」
「天国にいる様なものか」
「彼等にとっては」
「どれだけとんでもない政をしてたんだよ」
 久志は逆にこうも言った。
「一体な」
「トランシルバニアも過酷な領主だったが」
 正はかつて自分達が戦った地域のことを話した、あの串刺しを好む領主は寿命だったのか復活はしなかった。
「それでもここまでの圧政はだ」
「してなかったか」
「言論統制は両方していたが」
「ああ、トランシルバニアでもな」
「そしてこの国でもな」
「それはしているがその言論統制もだ」
 こちらのこともというのだ。
「この国はトランシルバニア以上だ」
「俺は言論統制しないしな」
「その息苦しさもなくてだ」
 言論統制のそれもというのである。
「だから尚更だ」
「俺の政は天国にいる様なものか」
「そこまでのものだ」
「そうなんだな」
「この国はそうでないと保てなかったのだろう」
「圧政じゃないとか」
「王のそれでないとな」
 敢えて圧政を敷かなくてはというのだ。
「少なくとも王はだ」
「そう考えてか」
「圧政を敷いている」
「今もか」
「そうしているのだろう、だが俺達はな」
「そうした心配はいらないか」
「俺達は浮島全体の政をしている」
 それでというのだ。
「だからだ」
「帝国の政をしてよくてか」
「圧政を敷くこともない」
「そうなんだな」
「強い力で強引に抑えつけるとな」
 重税や労役、そして言論統制尚かつオプリーチニク達による監視だ。そうした圧政を敷くことによってというのだ。
「確か叛乱等は抑えられる」
「民衆や貴族のな」
「それもやり方の一つだ」
「強い力で強引にも、か」
「だから俺達が起きた世界でも古来よりある」
「そしてこの世界でもか」
「存在している」
 そうだというのだ。
「これがな」
「そうなんだな」
「だが俺達はそうしたことはしない」
「だから人気が出てか」
「支持を得ている」
「これもやり方か」
「そして俺はこのやり方の方がいいと思う」
 正は久志に答えた。
「北風と太陽だ」
「俺達は太陽か」
「北風がこの国の王でな」
「無理に抑え付けてるんだな」
「しかしそれよりもな」
「緩やかにやってか」
「国を豊かにさせてだ」
 そうしてというのだ。 
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