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レーヴァティン

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第百八十八話 連勝その九

「攻めてな」
「そうして敵を壊乱させる」
「そうさせますね」
「敵がこちらの攻撃で戸惑った時に」
「その時に」
「そうするな」 
 こう言ってだった。
 久志はまずは砲撃等を行わせた、そして頃合いと見ると。
 進太に命じて騎兵隊を動かさせてだった、敵軍の側面そして後方を攻めさせ彼等を壊乱させて全軍での攻撃に移った。
 この度の戦も勝った、久志はその勝った後の戦場で言った。
「まあな」
「こうなるってだね」
「思っていたけれどな」
 淳二に対して答えた。
「勝ってもあまりいいものじゃないな」
「そうだね、敵が無理に戦わさせられているから」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「どうしてもな」
「勝ってもね」
「爽快感とか達成感とかな」
「そうした感覚がなくて」
「どうもな」
「後味が悪いね」
「ああ」
 こう淳二に話した。
「本当にな」
「こうした勝利もあるってことだね」
「そうだな、けれどな」
「それでもだね」
「戦には勝ったんだ」
 それでもとだ、久志は淳二に自分に納得させる様に言った。
「だからな」
「よしとして」
「この辺りも俺達の領土になるし」
「それじゃあね」
「いいか、戦死した敵の将兵は蘇らせて」
 そうしてというのだ。
「故郷に帰らせて」
「本来の仕事をしてもらおう」
「そうするな」
「そういうことだね」
「この政策は民からかなり好評で」
 順一が言ってきた。
「我々はかなりの支持を得ています」
「そうみたいだな」
「何しろ復活させてくれてです」
「故郷に戻してな」
「元の様に暮らしていい、しかもです」
「税も安くてか」
「はい」
 そうした政策でというのだ。
「非常にです」
「占領地の民から評判がいいか」
「まるで天国だと」
「いや、天国ってな」
 それはとだ、久志は順一に言い返した。
「流石にな」
「言い過ぎですか」
「流石にな」
 それこそというのだ。
「言い過ぎだろ」
「それだけこれまでの政が苛烈だったのかと」
「この国のそれがか」
「農民はまさに農奴で」
 そう呼ばれていい立場でというのだ。
「重税と労役にあえぎ街でもです」
「町人がか」
「商人も手工業者も」
 その彼等がというのだ。
「農民達と同じく」
「重税とか」
「そして労役に」
 この二つにというのだ。 
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