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我が剣は愛する者の為に

作者:wawa
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未来の結末

 
前書き
明けましておめでとうございます!
今年も我が剣は愛する者の為にと、とある星の力を使いし者をよろしくお願いします。 

 
窓から差し込む朝日を顔に受けて俺は目が覚めた。
ゆっくりと立ち上がって、大きく欠伸をする。
すぐ傍に置いてある刀を手に持って寝台から起き上がる。
身体をほぐしながら部屋を出て、中庭に向かう。
周りを見渡して、傍に誰もいない事を確認して刀を抜く。
軽く素振りと体術の訓練をする。
最後に目を閉じて、身体の氣を感じ活性化させていく。
自身の身体が強化されていくのを感じる。
だんだんと強度を上げていき、最大の一歩手前まで上げる。
眼を開けて、近くに落ちている小石を拾う。
直線状にある木に向かって思いっきり投げる。
凄まじい速度で飛んでいき、木にめり込む。
それを確認して、俺は強化を解く。

「ふう。」

一息ついて刀を鞘にしまった時だった。

「お見事です。」

横から声をかけられた。
その声のする方に視線を向けると、太史慈が鉄鞭を持っていた。

「おはよう、太史慈。」

「おはようございます、関忠さん。」

「さん付けなんてよしてくれ。
 君とは短い間とはいえ、一緒に戦った仲だ。
 敬語も必要ないよ。」

「そうですか・・・・・分かった。
 関忠がそう言うのならそうさせてもらうわ。」

太史慈は雪蓮に話しかけるように、親しげに話しかけてくれた。

「太史慈も訓練?」

「そうよ。
 毎朝、必ず鍛錬は欠かさないようにしているの。」

そこまで話して何か閃いた太史慈は、俺にこう言った。

「関忠、一つ勝負しない?」

「模擬戦って事かな。
 良いぜ、やろう。」

俺の答えを聞いて、太史慈は笑顔を浮かべて俺から距離をとる。
次に向かい合った時、先ほどの笑顔はなく武人の顔がそこにあった。
鞘から刀を抜いて、構えのない構えをとる。
先に仕掛けてきたのは太史慈だった。
片方の鉄鞭を一気に振り下ろす。
それを後ろに一歩下がる事で避ける。
空を切った鉄鞭は地面を叩きつけ、地面が少し盛り上がる。
これが人間の身体に真面に受ければ、骨なんて容易く折れてしまうだろう。

「相変わらずの力強さだな。」

「褒めても何も出ないわよ!」

鉄鞭の刃の部分は全部鉄でできている。
それを軽々と振り回す太史慈は相当の力持ちだろう。
しかも、それを二刀で素早く打ち込んでくるのだから、対峙している相手にとってはきつい。
鉄鞭と刀がぶつかり合う。
鍔迫り合いをしている事に太史慈は少し驚いている。
刀の様な細い剣で鉄鞭を受けきれると思っていなかったのだろう。

「さすがね。
 私の一撃を受けきれるなんてね。」

「まともに受けたら折れるに決まっている。
 だからこそ、刀で受ける場所、力の入れ具合などを工夫している。
 今度はこちらから行くぞ。」

俺は両手で刀を掴んで、一気に鉄鞭を押す。
一瞬だけ持ちこたえるが、俺の力の方が強く、後ろに下がってしまう。
距離を詰めて、刀による素早い連撃を繰り出す。
二刀の鉄鞭で斬撃を受け止めるが、徐々に速度を上げていくのに対応が遅れていく。
そして、片手に持っている鉄鞭を上空に弾く。

「くっ!?」

そのまま空いている右手でもう片方の鉄鞭を掴む。
これで動きはある程度固定した。
刀を首筋に当てて、勝敗が決した。

「完全に私の負けね。
 もうちょい行けると思ったんだけどな。」

上空に弾いた鉄鞭が地面に落ちているのを拾いながら、太史慈は悔しそうに言う。

「良い修行になった。
 これで汗でも拭いてくれ。」

刀を鞘に収め、一度も使っていない手ぬぐいを太史慈に渡す。
彼女も俺も少し汗を掻いていた。
俺から手ぬぐいを受け取り、汗を拭いている時だった。

「関忠、聞いても良い?」

太史慈は突然、俺に聞いてきた。

「何だ?」

「丁奉さん相手に手加減したのって本当?」

あの森の中で一刀に聞いた話を思い出して、疑問に思った事を聞きたかったのだろう。

「まぁ、嘘ではないな。」

「自分が殺されるかもしれないのに?」

「俺は死ぬつもりもなかったし、豪鬼も殺すつもりもなかった。
 ただ美奈が怪我をしている父親を見たら、悲しいだろ。」

「だから、手加減をしたのね。」

その言葉に俺はゆっくりと頷く。
彼女は真剣な眼差しで俺を見る。

「最後に。
 どうして王を目指すの?」

その問いに俺は即答する。

「俺の大事な人を守るために。
 そして、悲しんでいる人々を出来る限り救うためだ。」

あの日から心に誓った事を俺は答える。
太史慈はその言葉を聞いて、少しだけ笑みを浮かべた。
それを見た俺は少しだけ首を傾げる。

「関忠は面白い人ね。
 語っている言葉は多くないのに、貴方が掲げている決意は誰にでも思い浮かぶかもしれないのに、貴方について行きたいと思わせてしまう。
 不思議な魅力の持ち主だ。
 だからこそ、北郷さんや丁奉さんや趙雲さんが貴方について来るのね。」

「俺にそんな魅力があるかは分からない。
 でも、俺の後ろをついてくれる仲間がいるのなら全力で彼らを守る。」

「なるほど。
 なら、私もその仲間に入らせてもらうわね。」

「えっ?それって・・・・・」

「これからは私も貴方達の旅について行かせて貰ってもいい?」

「そりゃあ、俺達は大歓迎だけど。」

「なら、問題ないわね。
 早速準備しないといけないわね。」

張りきったような口調で、太史慈は中庭を去って行く。
あまりの突然の決定と展開に俺は少しだけその場に立ち尽くした。
しかし、彼女が旅に加わる事を知って、嬉しい自分がいた。



太史慈との鍛練が終わって、俺は雪蓮に朝食の準備ができたと聞いた。
食堂には黄蓋や昨日会った孫権もいた。

「おう、関忠ではないか。
 見違えたぞ。」

「黄蓋さんもお元気そうで何よりです。」

俺の姿を見て、黄蓋は一発で俺が関忠だと分かった。

「それより、一目でよく俺だってわかりましたね。」

「成長しても昔のお主の雰囲気が残っておるからの。
 それで分かったのじゃ。」

黄蓋と話をしていると一刀達も食堂にやってきた。
それぞれが席について、食事を始める。
豪鬼と黄蓋は年が近いからなのか、昔の話などで花を咲かせていた。
その中で俺は一つだけ疑問に思った事を口にする。

「そう言えば、冥琳はどこにいるんだ?」

食堂には冥琳の姿が見えない。
俺の疑問に雪蓮が答える。

「冥琳は自室で安静中よ。」

「今は自室で華陀と付き添って、治療している。」

雪蓮と孫堅が答える。
それを聞いて思い出した。

「冥琳の容体は?」

「華陀によると、身体には発展途中の病魔?、があったらしいのよ。
 今の段階なら簡単に治す事ができるって言ってたわ。」

「そうか、それは良かった。
 後で見舞いに行くか。」

「その方が良いわよ。
 冥琳、貴方に感謝していたから。」

そんな会話をしながら、食事を終えた。
ちなみに孫権とその側近は、ずっと俺に棘のある視線を向けていた。
俺と雪蓮は冥琳の自室に向かった。
一刀達には昼頃に出立できるように準備をしておいてくれ、と言っておいた。
それを聞いた雪蓮は寂しそうな顔をしていた。

「ねぇ、本当に昼には出て行くの?」

「まだやる事があるからな。
 長居はしたいが、時間も限られている。」

「ええ~~、もっと縁とお話とかしたかったのに!」

昨日はすぐに寝てしまい、今日の朝は太史慈と鍛練してあんまり雪蓮と話は出来ていない。
彼女が不満を言うのも無理はない。
けど、あまりゆっくりしてられないのも事実だ。
雪蓮の不満の声を聞いていると、冥琳の自室に着いた。
扉を雪蓮が開けると、部屋には寝台に上半身を起き上がらせて、寝転んでいる冥琳。
そのすぐ傍に椅子に腰かけている華陀の姿があった。
扉が開く音が聞こえると二人はこちらに視線を向ける。

「冥琳、身体の調子はどう?」

「華陀に見て貰ったおかげか、身体が少しだけ楽になった気がするよ。」

「それはよかったわ。
 それでね、冥琳。
 この人が誰だか分かる?」

雪蓮の言葉を聞いて、冥琳は俺に視線を向ける。
少しだけ眉をひそめた後、冥琳は口を開く。

「もしかして、縁か?」

「久しぶりだな、冥琳。」

「ああ、本当に久しぶりだな。」

俺が縁だと分かると、少しだけ驚いていたがすぐに笑顔を浮かべて歓迎してくれた。

「華陀、冥琳の病魔はどうなった?」

「無事に治す事ができた。
 全身に病魔が広がれば、俺の五斗米道でも治す事はできなかった。
 だから、早めに見つける事ができて良かった。」

華陀の診察結果を聞いて、冥琳と雪蓮は眼を見開いていた。
その表情を見る限り、冥琳の病気はそれほど大きなものではないと思っていたのだろう。

「でも、どうして縁は冥琳が病気にかかっているって分かったの?」

「えっ!?」

雪蓮の素朴な疑問を聞いて、俺は思わず声をあげてしまう。
何も考えていなかったが、これをどう答える。
一刀と出会う前に、華陀に冥琳を診てやってくれと頼んだ。
一刀から教えて貰ったという事に矛盾ができてしまう。
さて、どうする。

「か、華陀に依頼した時には一刀が居たんだ。」

「一刀?」

「最近噂になっている天の御使いよ。」

一刀の名前に聞き覚えのない冥琳に雪蓮が説明する。

「そいつから雪蓮や冥琳の話をしたら、冥琳は遠からず病気で死ぬって天の知識で教えて貰って、その時に華陀に出会って見て貰いたいと依頼したんだ。」

「しかし、関忠よ。
 俺と初めて会った時、それらしき人はいなかったが。」

「あの時は隣村に用があって、一刀はあの村で待っていて貰ったんだ。」

俺の説明を聞いて納得してくれたみたいだ。
心の中で嘘をついた事に対して謝る。

「となると、縁は私の命の恩人という訳だな。」

「それは違うぞ。
 礼を言うのなら一刀に言ってくれ。」

「それでも、華陀に依頼したのはお前だ。
 礼を言わせてくれ。
 本当にありがとう。」

「私からもお礼を言うわ。
 縁、冥琳を私の親友の命を救ってくれてありがとう。」

二人は俺に頭を下げる。

「い、いいよ!頭なんか下げて貰わなくても!
 俺は冥琳が死んで欲しくないから、華陀に頼んだけだよ!」

「へぇ~、冥琳に死んで欲しくない。
 縁は冥琳の事が好きなの?」

「ふぇっ!?」

妖しい笑みを浮かべながら、雪蓮は小悪魔のような表情で聞いてくる。
冥琳も冥琳で俺の答えを待っている。
ど、どうする!?
その時だった。

「関忠、雪蓮。」

扉が開かれ、太史慈が俺達の名前を呼びながら入ってきた。

「ど、どうしたんだ、太史慈?」

話を変えるように、俺は太史慈がこの部屋に来た理由を聞く。

「ああ、北郷さん達の準備ができたって言ってたわよ。」

「お、おお、そうか!
 なら俺も準備をしに行かないとな!
 それでは皆の衆、サラダバー!」

完全な棒読みで俺は急いで部屋を出て行った。




「月火のせいで、逃げられたじゃない。」

雪蓮は不満そうな声をあげながら、扉付近にいる月火に話しかける。

「えっ、何か大事な話をしていたの?」

展開が読めていない月火は申し訳なさそうにしながら言う。

「ある意味で大事な話だったな。」

笑いを堪えながら冥琳は言う。
縁が珍しく動揺している姿を思い出しているのだろう。

「さて、俺も出発するか。」

そう言うと華陀は椅子から立ち上がる。

「助かった、華陀。」

「何、俺は医者だ。
 病人を救うのが仕事だからな。
 しばらくは安静にしておいてくれよ。」

「今度近くを通ったら、尋ねてね。
 その時はお礼をさせてもらうから。」

「では、近くを通ったら寄らせてもらうよ。」

そう言って華陀も部屋を出て行った。
ふと、雪蓮は月火が大きな荷物を持っている事に気がついた。

「月火、どこかへ出かけるの?」

「うん?
 ああ、言ってなかったね。
 私は関忠の旅に同行する事に決めたの。」

「うっそぉぉぉ!!!
 じゃあ、貴女もここから出て行くの!?」

「ま、まぁ、そうなるかな。」

あまりの雪蓮の声の大きさとリアクションに、少し圧倒されながらも月火は頷く。

「えええ~~~!!
 これじゃあ、政務などでしか時間が潰せないじゃない!」

「雪蓮、いい機会だ。
 お前はこれから呉を担う存在。
 これをきっかけにきちっと、仕事をしてだな。」

「どうして、縁について行こうって思ったの?
 貴女、私がどれだけ誘っても入らなかったのに。」

冥琳の言葉を無視して、雪蓮は月火に聞く。
自分の言葉を無視している事に気がついた冥琳だが、月火が縁について行く理由が気になるのか、説教は後回しにして月火の言葉に耳を傾ける。

「明確な理由はないの。
 何て言うのなかな、彼について行きたいって率直に思ったの。
 彼について行って、彼が目指す世界を見て見たいって。」

少し恥ずかしげに月火は言う。
その言葉に少しだけ納得したのか。

「言いたい事は何となく分かるかも。」

「私も雪蓮の言葉に同意だ。」





部屋に戻って出立の準備をする。
あの時、太史慈が入って来なかったらどうなっていたか。
入ってこなかった時の事を考えると恥ずかしすぎて死ぬな。
荷物を纏めて、城の入り口付近に向かう。
そこが集合場所になっている。
そこに向かうと、一刀達や孫堅が待っていた。

「すまん、待たせたみたいだな。」

「それほど待っておりません。」

「だな、俺達も来たばかりだし。」

星と一刀がそう言う。

「関忠、これを。」

そう言って孫堅は俺に一枚の手紙を渡した。

「それには馬騰がお前によろしく頼むように書いてある。」

「わざわざありがとうございます。」

「何、村を救い冥琳を治療してくれた礼だ。」

「馬騰となると、次は涼州へと向かうのですかな。」

豪鬼は次なる目的地の場所を口にする。
俺達が次に向かうのが涼州だ。
と、誰かがこちらに走ってくるのが見えた。

「お待たせしてごめん!」

太史慈は息を切らしながら、俺の元に走ってきた。
その後ろには雪蓮と冥琳が歩いてこちらに来ている。

「俺達も集まったばかりだ。」

「どうして太史慈さんが此処に?
 それも荷物も持って。」

「紹介する。
 今日から旅に同行する事になった、太史慈だ。」

「皆さん、どうぞよろしくお願いします!」

元気良く太史慈は頭を下げる。
最初は皆は驚いていたが、頼もしい仲間が増えた事に喜んでくれた。

「お前は彼について行くのだな。」

孫堅は太史慈に問い掛ける。
その表情は少しだけ寂しそうな顔をしていた。
その言葉を聞いて頷く。

「なら、何も言わん。
 お前のしたい事をすればいい。」

「長い間、お世話になりました。」

「月火、元気でね。」

「雪蓮こそ、しっかりと仕事しなさいよ。」

「縁、月火を頼んだ。」

「任せてくれ。
 俺が全力で守る。」

それぞれが言葉をかけ合う。
最後に俺はある事を思い出した。

「雪蓮、ちょっといいか?」

俺は皆と少しだけ離れながら雪蓮を呼ぶ。

「どうしたの?」

「これは皆の前では言いづらい。
 けど、お前には絶対に伝えないと、思って。」

そう区切ってから俺は言う。

「孫堅さんが今後、何かの戦で単独行動を取ろうとしたら絶対に止めるんだ。」

「どうしてよ?」

「落ち着いて聞いてくれ。
 もし、単独行動になったら孫堅さんは死ぬ。」

「ッ!?
 ・・・・・・・それはどういう事?」

孫堅が死ぬ事を聞いて、雪蓮の表情が引き締まる。

「一刀の天の知識から聞いた。
 孫堅さんは戦で単独行動を取って伏兵に殺されるんだって。」

「それは事実?」

「冥琳が病気だった事を考えると信憑性は高いと思う。」

「・・・・・・・」

雪蓮は少しだけ俯いて、考える。
もちろん、一刀から聞いたというのは嘘だ。
でも、目の前で死ぬかもしれない人がいるのに見過ごす事はできない。
孫堅が死ぬのは劉表との戦いだったはず。
だが、俺や一刀が介入している時点で、それが狂う可能性もある。
だから、明確に何との戦なのかというのは敢えてぼかした。

「・・・・・・にわかに信じられない。
 けど、冥琳の事を考えると嘘とも言い切れない。
 分かったわ、私が注意深く母様を観察しておく。」

そうして、俺達は皆の所に戻る。

「何を話していたんだ?」

孫堅が俺達に聞いてくる。

「縁が私を応援してくれたの。
 恥ずかしいから皆の前じゃあ言い難かったみたい。」

さっきまでの雪蓮はどこに行ったのか。
いつもの雪蓮に戻って会話する。

「んじゃあ、出発するか。」

そう言えば孫権は見送りに来なかったな。
一度も話した事ないけど、それはそれで寂しい。
俺達は孫堅達に見送られながら、荊州南陽を出発した。 
 

 
後書き
縁のカリスマ力はレミリアクラスと思ってください。

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