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八条学園騒動記

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第五百九十六話 カルボナーラその三

「だから言ってるでしょ」
「スパゲティ、特にか」
「カルボナーラは好きでね」
 それでというのだ。
「幾らでも食べられるわ」
「濃い味だがな」
「その濃い味がよくてね」
 それでというのだ。
「だからね」
「幾らでも食えるか」
「そうよ、その私に勝てるか」
「無理だっていうか」
「今度は勝ってみせるわ」
「言ってくれるな」
「絶対の自信があるからね」
 こう言ってだ、ラビニアは。
 今来たカルボナーラにフォークを向けた、それはフックも同じで二人はパスタを凄い勢いで食べた。皿はすぐにパスタがなくなった。
 そしてわんこそばの要領でまた皿が来た、二人はどんどん食べていき十皿目になると周りもギブアップしていっていた。観客達はその状況を見て言った。
「カルボナーラって濃いからな」
「そうした味だからな」
「どうしても食うには限界があるな」
「他のパスタより食いにくいな」
「どうしてもな」
「そこが問題だよな」
 こう言うのだった。
「生クリームにベーコンにな」
「卵の黄身でな」
「相当に濃い味でな」
「美味いけれどな」
「酒にも合って」
「特にワインな」
「色のあるワインに合うな」
 赤そして紫や黒のワインとだ。
「だからいいけれどな」
「それでもこうした大食い勝負の料理になると」
「沢山食えないな」
「どうしてもな」
「それでな」
「皆そろそろ限界になってきたな」
 残っているのはフックとラビニアだけになっていた。
「だから二人だけになったな」
「皆頑張ったけれど」
「今の十皿目でギブアップだな」
「そんな人ばかりだな」
「まあ十皿食っただけでも凄いよな」
「充分だ」
「そうだな、そして」
 ここでこうも言われた。
「残った二人はもっと凄いぜ」
「そうだな」
「物凄いものがあるな」
「さてどうなるか」
「あの二人まだ頑張るか」
「どれだけ食える?」
「それで勝つのはどっちだ」
 フックかラビニアか、というのだ。
「一体」
「見届けさせてもらうか」
「どっちが勝っても不思議じゃない」
「どっちも頑張ってる」
「あの娘なんか女の子だってのにな」
 体格の関係で女の子の方がどうしても食べる量が少ないがというのだ、このことはラビニアも同じである。
「まだ食うか」
「そうするか」
「あの娘が勝ってもおかしくないぜ」
「ああ、二人共互角だ」
「後は根性か」
「最後まで食いきる」
「その勝負か」 
 観客達は固唾を飲んで話した、そして。
 十一皿目が来た。そのスパゲティもだった。
 二人は食べた、そして十二皿目となったがここでラビニアは言った。 
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