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おぢばにおかえり

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第六十二話 二人乗りその五

「まだ悪影響が残ってます」
「それが阿波野君のお家のいんねんなのね」
「そうだと思ってます」
「いんねんは根が深いものだけれど」
 それでもとです、私は思いました。
 そうして公園のベンチを見ながら阿波野君にお話しました。
「とりあえず座ってね」
「そうしてですね」
「お話しない?」
「わかりました」
 二人で並んで座ってからです、お話しました。そこで阿波野君はさらに言いました。
「まあそういうことで」
「ひいお祖父さんからはじまってなの」
「そのどうしようもない叔父にその母親に」
「酒乱の人になのね」
「他はこれといっていないですが」
「それでも三人いるのね」
「そうなんです、三人共です」
 かなり深刻な顔での言葉でした。
「どうしようもなくて」
「そうなのね」
「ただ叔父の方は今は行方不明でその母親は放り出されてます」
「放り出したって」
「あんまり酷かったんで一族全員から縁を切られて」
 何かまたしても随分なお話でした。
「今は一人で住吉の方に一人暮らしです」
「そうなのね」
「その人の妹さん、大叔母さんの一人しか寄り付かないみたいですね」
「お一人だけなのね」
「その人の妹さんです」
「姉妹だからなの」
「はい、他の姉妹の人も大阪にいますけれど」
 それでもというのです。 
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