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戦国異伝供書

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第百二十話 三州奪還その二

「薩摩大隅を完全に取り戻しな」
「残るは日向」
「あの国だけとなりました」
「それならばですな」
「もう進む道は一つしかないですな」
「そういうことじゃ、では戦の用意に入る」
 義久がこう言うとだった。
 皆頭を深々と垂れた、そうして島津家は伊東家との戦の用意に入った。
 戦の用意に入るとすぐだった、義久は刻一刻と整っていく戦の用意を見て弟達に対して確かな笑みを浮かべて言った。
「やはり当家は違うのう」
「薩摩隼人ですからな」
「こと戦になりますと」
「何よりも速いですな」
「うむ」
 まさにというのだ。
「よいことじゃ」
「お陰で戦の用意がすぐに出来まして」
 義弘が確かな声で語った。
「そして出陣出来まする」
「それは当家の強みの一つでもある」
「左様でありますな」
「ただ強いだけではない」 
 島津家の兵達つまり薩摩隼人達はというのだ。
「戦の用意も速い、しかも士気もな」
「落ちませぬ」
「極めて高いままでな」
「はい、それでは」
「うむ、戦の用意を整えたならな」
「高原城に向けてですな」
「兵を進める、そしてじゃ」
 義久はさらに話した。
「あの城を攻め落としてな」
「他の城の者達にそれを見せて」
「降す」
「それがいいです、ですが高原城は堅城です」
 歳久はその高原城のことを話した。
「ですから」
「それで、であるな」
「はい、攻め落とすには工夫が必要です」
「左様であるな」
「そしてその策はです」
「お主にあるな」
「無論です、ですから今申し上げます」
 義久に再び答えた。
「そうしております」
「そうであるな」
「あの城は確かに堅城ですが」
 このことは事実だがというのだ。
「鉄砲がない頃の城ですので」
「鉄砲を使ってであるな」
「攻めましょう」
「鉄砲は城攻めにも使えるからのう」
「今度も思う存分使いまする」
「そうして攻め落とす」
「そうしましょう」
 歳久は静かな声で述べた。
「ここは」
「ではな、では先陣はじゃ」
 義久は家久を見て彼に告げた。
「又七郎、お主じゃ」
「それがしが先陣ですか」
「うむ、働いてくれるな」
「是非共」
 家久は義久に笑顔で答えた。
「そうさせて頂きまする」
「それではな」
「そしてですな」
「あの城を鉄砲を使って攻めるのじゃ」
「さすれば」
「そういえば織田家もそうしておるそうじゃ」
 義久は信長のことも思い出した、そのうえでの言葉だった。
「城攻めにも鉄砲を多く使われるという」
「それで我等もですな」
「その様にして攻める」
「そうするのですな」
「そうじゃ、だが我等の鉄砲の使い方は織田家とは違う」
 今話しているこの家とはというのだ。 
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