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オズの木挽きの馬

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第七幕その五

「オレンジや林檎のジュースをね」
「出してくれますか」
「今から」
「そうしてくれるんですね」
「じゃあお願いします」
「頂きます」 
 恵梨香達五人が応えました。
「サイダーもジュースも大好きです」
「丁度欲しいと思ってました」
「それじゃあお願いします」
「出してくれたら嬉しいです」
「食べながら飲ませてもらいます」
「それではね」
 こうお話をしているとでした。
 その場所に今の外の世界の服をラフに着こなして眼鏡をかけた少し面長のアジア系の人が来ました。
 その人を迎え入れてです、妖怪達は言いました。
「この人が妖怪博士だよ」
「わし等の新しい仲間じゃよ」
「その人は」
 恵梨香は妖怪博士を見て言いました。
「漫画家の」
「そう、漫画家だったよ」
 妖怪博士も恵梨香に答えました、見れば左手はありません。
「戦争から帰ってね」
「そうしてですね」
「ずっと描いていたよ」
「そうでしたね」
「戦争で左手をなくしてね」
 そしてというのです。
「ずっと描いていたんだよ」
「妖怪の漫画をですね」
「妖怪以外にも沢山描いていたよ」
「そうだったんですか」
「けれど妖怪の漫画が一番多いね」
 妖怪博士は恵梨香に笑顔でお話しました。
「僕は」
「やっぱりそうなんですね」
「もうずっと妖怪に親しんでいたから」
 人間だった時はです。
「人間の人生を終えたらね」
「妖怪になられたんですね」
「そしてオズの国にもいるんだ」
「そうなんですね」
「妖怪になれてよかったよ」 
 妖怪博士は恵梨香にこうも言いました。
「本当にね」
「この方ってね」
「うん、日本でも有名な漫画家さんだよね」
「作品が何度もアニメ化されて」
「伝説の人よ」
 ジョージ達四人も言いました。
「世界中の妖怪に詳しくて」
「自分でも妖怪を生み出して」
「もう妖怪のことなら世界一」
「そこまで知っている人だよ」
「そんな凄い人なんだね」
 木挽きの馬は子供達の言葉を聞いて驚きました。
「妖怪博士さんは」
「ええ、本当に凄い人よ」
 恵梨香は木挽きの馬にサイダーを飲みながら答えました。
「この人はね」
「そうなんだね」
「もう妖怪のことなら何でもご存知で」
「そして妖怪にまでなった」
「そんな人なのよ」
「いや、僕は凄くないよ」
 妖怪博士は穏やかな笑顔で言いました。
「ただ妖怪が好きなだけだよ」
「そうなんですか」
「妖怪が好きでね」
 それでというのです。
「いつも親しんでいただけだよ」
「そうですか」
「本当にそれだけだよ」
「けれど世界中の妖怪を知っているなんて」
 神宝は言いました。 
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