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書いた作品は

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第四章

「出ないだろ」
「結局はそうですね」
「だからだよ」
 それでというのだ。
「あたしはまずは書いて」
「そしてですか」
「書くからにはな」 
 それならというのだ。
「終わらせるんだよ」
「そうされるんですね」
「これからもな」
「人気とか求めるなら書いて」
「そしてな」
 そのうえで、というのだ。
「書くならだよ」
「絶対に終わらせるんですね」
「書いて終わらせる、それがな」
「部長の目指されるものですか」
「やっぱりな、っていうかな」
 麻美子は書きつつ浮かない顔にもなった、そのうえで凛に対してこんなことも言った。
「本もそうだけれどネットは特に未完の作品多いよな」
「所謂エタるですね」
「ああ、そうなった作品がな」
「それはそうですね」
「折角書くんならな」
「最後まで書かないと駄目ですか」
「作品が可哀想だろ」
 書きはじめたそれがというのだ。
「本当にな」
「それはそうですね」
「それだけは止めて欲しいな」
「面白い作品がそうなったら」
「嫌だしな、面白くなくてもな」
 例えそうした作品でもというのだ。
「やっぱりな」
「書くのならですね」
「最後までな」
「書かないと駄目ですか」
「ああ、そう思うよ。だからあたしの望みはな」
「ご自身は、ですか」
「終わらせるさ」
 確かな声で言う、そしてだった。
 麻美子は部活の時間ずっと書き続けた、そして今書いている作品の完結に向かっていた。その目は非常に強い光を放っていた。
 実際にその作品は完結させた、すると凛にこう言われた。
「おめでとうございます」
「そう言ってくれて有り難うな」
 麻美子は凛に笑顔で応えた。
「じゃあ次の作品もな」
「終わらせますね」
「そうすぐ書きはじめるしな」
 その次回作もというのだ。
「そっちもな」
「終わらせますね」
「何があってもな」 
 こう言ってまた書こうと言うのだった、そして凛にこうも言った。
「絶対にな」
「応援してますね」
「その応援にも応えるな」
 こう言ってまた書きはじめる、とにかく彼女は書いた作品は絶対に終わらせようと頑張るのだった。


書いた作品は   完


                 2020・8・17 
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