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ぶるぶる

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第二章

 こたつに戻って調理をはじめて出来るとだった。
 早速食べはじめ飲みはじめた、二人共ラーメンを一気にすすって焼酎をぐいと飲んだがそれでもだった。
 まだ寒い、それで姉は妹に食べながら言った。
「ちょっと寒過ぎない?」
「食べてもこれはね」
「今お部屋何度あるのよ」
「えっ・・・・・・」 
 香澄は陽菜の言葉を受けて部屋の体温計を見た、すると。
 二十度あった、それで姉に言った。
「二十度あるわよ」
「嘘っ、いえ」
 姉も温度を見た、見れば実際にだった。
 室内温度は二十度あった、それで驚きの声をあげた。
「あるわね」
「そうね」
「二十度ね」
「二十度でこんなに寒いなんて」
「どてらまで着てこたつに入ってで」
「ラーメン食べて焼酎飲んでなのに」
「それでお部屋の温度が二十度でこんなに寒いって」
 それはとだ、陽菜は香澄にラーメンを食べつつ言った、ラーメンが入っている鍋からは湯気が出ている。
「ちょっとね」
「信じられないわね」
「これはね」
 どうにもというのだ。
「幾ら何でも」
「おかしいわ、どういうことよ」
「わからないわね、ただ姉さん」
 香澄は姉にあらためて言った。
「ラーメンもいいけれど食べ終えたら」
「その時はなの」
「何で飲もうかしら」
「ここはすっきりお塩?他に口に出来るものないから」
 それでというのだ。
「それを舐めながらね」
「飲むの」
「そうする?こうなったら」
「そうね、それじゃあ」
「えっ、お塩」
 二人が塩と言うとだった。
 ここで声がした、そして部屋の扉のところにだった。
 長い黒髪で白い着物を着た若い女が出て来た、足がないのは幽霊に見えた。だが身体の輪郭の全てがだった。
 ぶるぶると震えている感じだ、その女が言って来た。
「お塩は止めなさいよ」
「ってあんた誰よ」
「いきなり出て来たけれど」
 二人は女にこたつの中から言った。
「ここ私達の家だけれど」
「勝手に中に入って来ないでね」
「というかあんた妖怪ね」
「その外見からすると」
「そうよ、妖怪よ」
 女も二人にはっきりと答えた。
「見ればわかるわね」
「やっぱりそうね」
「じゃあ何ていう妖怪かしら」
「ぶるぶるよ」 
 妖怪は自ら名乗った。
「私が傍にいると人は震えるのよ」
「だからずっと寒かったのね」
「ここまで温かくしても」
 二人もぶるぶるの言葉で納得した。
「どうしてかって思ったら」
「それでだったの」
「今日はたまたまこのお部屋にいたけれど」
「お塩って聞いてなの」
「つい出て来たのね」
「私はお塩は苦手なのよ」
 ぶるぶるは二人に顔を顰めさせて言った。
「妖怪だからね」
「それでなの」
「だからなのね」
「そう、お塩食べるなら出て行くわよ」
「そうしたら?」
「私達寒くて仕方ないから」
 姉妹は妖怪にあっさりとした口調で返した。 
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