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星河の覇皇

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第七十六部第四章 戦いの合間のその三

「そしてその鍔迫り合いの中で、です」
「両軍共ですね」
「多くの損害を出してしまうのでしょう」
 まさにというのだ。
「どうしても」
「そうですか、では」
「今の両軍はです」
 オムダーマン軍もティムール軍もというのだ。
「拮抗していてそしてです」
「戦っているので」
「はい」
 まさにというのだ。
「損害もあの様なのでしょう」
「そうなのですね」
「今の彼等はああしてです」
「激しい戦いを行っていますか」
「そうでしょう、しかし私が見たところ」
 自分のする仕事の用意は自分から手早く進めている金だった、自分のする仕事は自分の日常生活のことは他人にさせることはしないのが彼女だ。
「オムダーマン軍の方が国力が高いので」
「だからですか」
「ああして消耗戦になれば」
「国力がある方が有利ですね」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「やがてはです」
「オムダーマン軍が有利になりますか」
「消耗戦になれば、ですが」
 ここで金は知的な美貌の目を光らせて話した。
「おそらくアッディーン大統領はです」
「そうしたことはですか」
「最後の手段とは考えておられても」
「最後の、ですね」
「勝利を得る為の。軍事も政治なので」
 それでというのだ。
「政治は結局目的を果たす為には」
「どの様な手段でもですね」
「用いるものなので」
「軍事でもですね」
「消耗戦を選択することもです」
 それもというのだ。
「あるでしょうが」
「それはあくまで、ですね」
「最後の手段で」
 それでというのだ。
「積極的には取られないでしょう」
「では」
「既に何らかの手を考慮されてです」
 金は真剣な顔で話した。
「そうしてです」
「用意もですか」
「されていると思いますが」
「それはですか」
「具体的なことはです」
 そうしたことはというのだ。
「私はわかりません」
「そうですか」
「やはり私は軍事のことは疎いです」
 金はそちらの分野に関わったことはこれまで一度もない、韓国官界で俊英として知られその知識と事務処理能力と決断力で知られてきたが軍事についてはそうなのだ。
「ですから具体的なことはわかりませんが」
「それでもですか」
「ジョーカー、切り札を持っていることは」
「それはですか」
「確実かと、そしてそれは」
「シャイターン主席もですか」
「そう思います」
 政治家としてだ、金は彼の考えも読みつつ述べた。 
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