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星河の覇皇

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第七十六部第三章 エウロパから見た死闘その三十一

「まさに」
「成程、それではですね」
「豊かになり技術も革新していけば」
「我々はより美味を楽しめますか」
「そうなるかと」
「成程、そして今はですね」
「技術も積極的に革新していき」 
 そのうえでとだ、ランズハイムはヒルデルセンに話した。
「文化も栄えていきます」
「歴史にある通りですね」
「国が熟れますと文化も熟れますね」
「はい、それでは」
「エウロパはそうした状況かと」
「文化が栄える下地も出来てきている」
「そうも思います」
 まさにというのだ、ランズハイムは今は政治家としてだけでなく文化を楽しむ者としてもヒルデルセンに話していた。
 そうしてだ、鱈のムニエルを見つつこうしたことも話した。
「このムニエルは非常に美味ですが」
「シェフの腕が光っていますね」
 ヒルデルセンも頷いて応えた。
「これは」
「はい、しかし覚えていることがありまして」
「と、いいますと」
「連合の八条義統長官が来ましたね」
「あちらの中央政府国防長官の」
 ヒルデルセンも彼のことは知っている、彼等にとっては連合最大の強敵の一人とされている人物としてだ。
「戦役の講和の時にでしたね」
「オリンポスにまで来ていましたが」
「あの巨大な戦艦に乗り」
「あの時彼はどうもです」
 ランズハイムは八条に侮蔑の言葉を込めずに話した、そうした感情を込めないところに彼の人格が出ていた。
「我々の料理にです」
「物足りなさを感じていた」
「元々の味が好きでなかった様ですが」
 エウロパの味付けがというのだ。
「どうも調理のハードウェア的な技術が影響していて」
「連合の味にはですね」
「エウロパの味が拙いと感じていた様です」
「そうだったのですか」
「それでパーティーの場所でもです」
 連合とエウロパの者達が会ったその時にというのだ。
「どうもです」
「味がですか」
「拙い、もっと言えばまずいとです」
「思っていたのですか」
「その様です」
「よく連合軍の将兵達が味がないと言っていたのは知っています」
 ヒルデルセンはこのことをここで話に出した。
「エウロパの料理は」
「特に貴族のレストランやバーではですね」
「そう言っていたのは」
「実際に言っていましたね」
「あれは素材を活かす我々の調理がわからなかったと思っていましたが」
「それだけでなくです」
 ハードウェアの技術がというのだ。
「連合に遠く及んでいなかった様です」
「そこまでですか」
「何しろ数百年の開きがあるので」
 民間技術では特にだ。
「料理についてもです」
「そこまでの開きがありますか」
「その様です」
「では料理についてでもです」
「より美味なものを楽しみたいと思えば」
 まさにと言うのだった。
「やはり」
「よりですか」
「国が豊かになるべきです、そしてそれは」
 鱈のムニエルは残り僅かだ、その僅かなムニエルの切れ端を見つつヒルデルセンに対して話をした。
「連合だけでなくマウリアもそうで」
「そしてサハラもですね」
「遂に開戦となりましたね」
 オムダーマンとティムールがというのだ。 
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