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星河の覇皇

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第七十六部第三章 エウロパから見た死闘その二十七

「後世の足枷になるので」
「だからですか」
「はい、出来るだけです」
「国債は出さない」
「予算の中で」
 まさにその中でというのだ。
「ことを進めていくべきです」
「そして予算で出来ないならですね」
「最初からです」
 まさにその時点でというのだ。
「するべきではないかと」
「そうですか」
「はい、確かに私は積極策ですが」
 それでもというのだ。
「財源があってこそです」
「予算の中で」
「それで言えるのです」
「では予算がないと」
「これまで私は言っていませんでしたね」
「はい、確かに」
 これはランズハイムが見てもだ、その時のヒルデルセンは確かに無口と言っていいもので積極的な政策を主張していなかった。
「これまでは」
「財源がなかったからです」
「これまでのドイツには」
「だから言っていませんでした」
「そうでしたか」
「はい、しかし今は」
「予算がある」
 ランズハイムも応えて言った。
「それ故にですね」
「言えるのです」
「そうですか」
「総統閣下は私以上に積極策だと思いますが」
「その内政も」
「ですがその財源を見ますと」
 国債も躊躇しないそれはだ。
「不安に思います」
「総統は一切迷っておられないにしても」
「この積極策が実りエウロパが豊かになれば」
「その時はですね」
「国債も返せますが」
 借金、それがだ。
「しかし政策は確実にはですね」
「成功するとはですね」
「限らないので」 
 ヒルデルセンはリスクも考えるタイプだ、積極策を言うがそうしたリクスも考えて言っているのだ。
「その場合を考えますと」
「国債が返せなくなり」
「その利子も増えてです」
「余計に増えますね」
「そこまで考えますので」
 それでというのだ。
「私は総統の政策のそこには反対しています」
「国債については」
「どうしても。しかしどうもですね」
「はい、あの方は躊躇されません」
 もうこれは既に決定しているからだ。
「そして絶対にですね」
「ご自身の政策がですね」
「成功すると思われていますね」
「絶対の自信ですね、その自信は」
 ヒルデルセンはその目を鋭くさせて言った、ここで二人共スープからオードブルに移った。それは魚料理だった。
「英雄ですね」
「その自信ですか」
「そう思いました」
 まさにというのだ。
「私は」
「英雄ですか」
「それも相当な」
「英雄の資質を持っていて」
「自信もです」
 それもというのだ。 
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