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星河の覇皇

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第七十六部第三章 エウロパから見た死闘その二十五

「軍医としてもね」
「そうでしたね、しかし」
「軍事にはね」
「言われないですか」
「あの方はね、では議会に出た後は」
「そのヒルデルセン伯爵と」
「お話をするよ」
 こう執事に話してだ、ランズハイムはこの日も議会に出た。そして金髪というよりは金色の髪を清潔にセットした水色の瞳の何処か不敵な笑みをたたえた三十代の長身の男オットー=フォン=ヒルデルセン伯爵と食事を共にした。
 この席でだ、ランズハイムは彼に問うた。
「この度の議会では」
「私の主張することはですね」
「主に福祉ですか」
「そうです、財政が拡大されるのですから」
「福祉もですね」
「より充実させるべきと思いまして」
 それでとだ、ヒルデルセンはスープを飲みつつ話した。
「それで提案しています」
「マウリアの医療技術を導入して」
「そうしてです」
「その技術をですね」
「すぐにドイツ全土に広め」
 そうしてというのだ。
「医学をより進歩させてです」
「福祉はですね」
「予算の拡大です」
 これもというのだ。
「提案しているのです」
「そうですか」
「エウロパ戦役の後福祉の予算は削減傾向にありましたね」
「はい、どうしても」
「しかしその時は終わったのです」
「これからは」
「はい、拡大してです」
 その福祉の予算をだ。
「そのうえで」
「福祉の充実ですか」
「雇用も改善していますし」
「そちらもですね」
「雇用条件の改善」
「給与のさらなる上昇とですね」
「労働条件の向上もです」
 ランズハイムの言葉通りのことをだ、ヒルデスセンは話した。
「主張していますが」
「予算がですね」
「あるのですから」
「それならですね」
「そちらに使うべきです、ただ国債は」
 ドイツのこれについてはというと。
「やはりです」
「出すべきではないですか」
「どうもそれはです」
 国債についてはだ、ヒルデルセンは難しい顔で述べた。
「私としては」
「出すべきではない」
「そう思います、総統閣下の政策は素晴らしいですが」
「国債に躊躇されないことは」
「そこが気になります」
 どうしてもというのだ。
「借金はするものではないです」
「それは何故でしょうか」
「はい、借りる時はよくとも」
 その時はよくともとだ、ヒルデルセンは話した。
「しかし返せないなら」
「その時はですか」
「非常に辛いことになるので」
 だからだというのだ。
「出来るだけ借りるべきではないです」
「よくあるお話ですね」
「はい、借金も財産という言葉はありますが」
「実際にはですね」
「それをしては」
「後が大変なことになる場合もあります」
 このことを考えてというのだ。 
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