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星河の覇皇

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第七十六部第三章 エウロパから見た死闘その二十

「その時はですね」
「はい、どれだけ素晴らしくともです」
「ことを果たせるかどうかですね」
「音楽は未完成ではそれまでです」
 ブラウンシュタインはここでこうも言った。
「シューベルトもそうでしたね」
「未完成交響曲ですね」
「あの曲は素晴らしい曲ですが」
「未完成だからですね」
「はい、残念ですが」
 確かに素晴らしい曲だがというのだ。
「それまでです」
「未完成ですね」
「それまでです」
 こうランズハイムに話した。
「政治の世界ならです」
「はい、それはです」
 ランズハイムも貴族院議員、つまり政治家だからわかることだった。
「結果がどうかです」
「やり遂げて結果を出してですね」
「そのうえではじめてです」
「評価されますね」
「はい」
 まさにとだ、ランズハイムはブラウンシュタインに答えた。
「まさに」
「そうですね、ですから」
「総統殿もですか」
「結果がどうかです」
「それ次第ですか」
「長い場合百年もっと先にわかることです」
 結果、政治のそれはというのだ。
「しかしです」
「それでもですね」
「はい、私としてもです」
「期待出来ますね」
「そうです、懐疑的ですが」
 このことは事実でもというのだ。
「私は期待もしています」
「総統殿の政策に」
「そうもなっています」
「左様ですか」
「そしてです」 
 さらに話したブラウンシュタインだった。
「エウロパの未来にも」
「期待していますか」
「無論ドイツにも」
 彼等の国のそれにもというのだ。
「期待しています」
「夢がですね」
「出てきました、敗戦直後は」
「夢なぞですね」
「考えられませんでした」
 こうランズハイム、そしてリッテンベルクに話した。
「復興出来るかどうかさえです」
「わからなかったので」
「そうした状況だったので」
「もうですね」
「夢なぞ持てませんでした」
「戦争前の水準に戻せるか」
「それすらも疑問でしたので」
 民間の戦禍はそれ程でもなかった、連合軍は民間施設には一切攻撃せず荒らすこともしなかったからだ。したのは博物館や美術館の連合各国からそれは地球の頃のものであったがそうしたものを全て持ち去っただけだ。
「それはです」
「とてもでしたね」
「夢にも思えませんでした」
 到底というのだ。
「復興出来るかどうかで頭が一杯で」
「しかしですね」
「復興は出来ました」
「それもかなり早く」
「それで、です」
 まさにというのだ。
「私にしてもです」
「期待はですか」
「抱いています、政治は現実のものですが」
 それでもというのだ。 
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