星河の覇皇
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第七十六部第三章 エウロパから見た死闘その十五
「名門であるだけでなく」
「代々多産ですね」
「はい、昔程ではないにしても」
マリア=テレジアの頃だ、この偉大な女帝は何と十六人の子の母でもありその多産でも有名であるのだ。
「それでもですね」
「多産でして」
「各国と縁組を組み」
「イギリス王家やスペイン王家とも」
「それで、ですね」
「各国の君主、貴族とです」
この場合は大貴族だ、ハプスブルク家位の格になると最早伯爵位では格が釣り合わないという感じになっている。
「縁組を組み」
「まさに欧州全土にですね」
「縁があります」
「そうなるとですね」
「それだけで非常に大きな力になります」
各国に縁があるとそれだけでというのだ。
「ですから伯爵もです」
「これからはですか」
「ドイツの外にもです」
他国の貴族達ともというのだ。
「縁を築かれるべきです」
「そうですか」
「はい、それがいいかと」
「そうですか、では一族の者と話をして」
「そうしてですね」
「私も検討します」
リッテンブルクの様にというのだ。
「それも私個人としては前向きに」
「そうされますね」
「はい、ただ問題は」
「子供の数ですね」
「こうしたことはどうしても、ですからね」
ここで苦笑いを浮かべてだ、ランズハイムはブラウンシュタインに話した。婚姻というものについてである。
「婚姻は人と人がするものなので」
「人がいなければ」
「出来るものではありません」
子がいなければどうしようもない、これは婚姻政策の特徴であり弱点でもある。
「ですから」
「今貴家は」
「はい、全てもう決まっています」
婚約、それがだ。
「そしてです」
「これからですか」
「わからないですから」
子が出来るかどうかはというのだ。
「一族に」
「このことだけは」
「ある程度治療でどうにかなっても」
「それでできるとはですね」
「限らないですから」
不妊治療等もかなり進歩発展しているが確実ではない、それでどうしても子が生まれない家もどうしてもあるのだ。先に彼等が話した家の様に。
「今後次第ですね」
「そうですか」
「はい、ただ確かにです」
「縁はですね」
「広い方がいいです」
このことはランズハイムも強く認識していることだった、もっと言えばただ広いだけでなく深い方がいい。
「何かと役立ってくれます」
「そうです、縁があればです」
「事業にも議員としての仕事にも生きますし」
「特にです」
ブラインシュタインは強い声で言った。
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