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星河の覇皇

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第七十六部第三章 エウロパから見た死闘その八

「そうしましょう」
「そうしよう、しかしあそこに入るのも」
「暫く振りで、ですね」
「懐かしい感じがするね」
「そうですね、実際に暫く入っていませんでしたね」
「ここに来ていなかったからね」
「ですが管理人夫婦が住んでいてです」
 留守番役も兼ねている。
「いつも奇麗にしてもらっているので」
「中に入ればだね」
「快適な暮らしがはじまります」
 入ったその瞬間にというのだ。
「そうなりますので」
「そうだね、それはね」
「旦那様もご存知の通りです」
「ではね、しかし今回も長くなるから」
 ベルリンにいる時はというのだ。
「それなら妻を来ておくべきだったか」
「奥方様は今は」
「ううん、妊娠中だからね」
「大事と取ってということなので」
「仕方ないね、ではね」
「そしてベルリンにおられる間ですが」
 執事はここで自身に主にこう注意もした。
「くれぐれもです」
「女性についてはだね」
「そして同性にもです」
「その心配もあるんだね」
「旦那様はそうしたことないですが」
 妻を愛しているからだ、家同士の結婚だが共に暮らしているうちに愛情が出来て夫婦仲は実にいい。
「しかしです」
「万が一にはだね」
「はい、くれぐれもです」
「わかっているよ、さもないとね」
「貴族が浮気なぞしては」
「平民に示しがつかないからね」
「ロココまでとは違います」
 十八世紀の頃のことだ、この場合は絶対王政の頃の貴族のことを言う。
「あの時は結婚をしましても」
「あくまで家同士のことでね」
「その結びつきだけのことでした」 
 つまり結婚もまた仕事であったのだ、もっともこのことはこの時代のエウロパの貴族達も同じである。
「それが為に愛人を持つことも不倫もです」
「男女共にね」
「ごく普通とされていましたが」
「王も貴族もね」
「特にフランスでは」
「ルイ十四世は凄かったからね」
「それこそ公式の愛人がいた程です」
 寵姫といった、この他にも愛人が多くいてその中の正式な者ということだ。デュ=バリー伯爵夫人等が有名だ。
「しかし今では」
「不倫や浮気はね」
 それこそ男女共にはだ。
「倫理的にどうか」
「そうなっています」
「平民でもそうであって」
「貴族ならば余計にです」
 そうした考えになっているのだ、この時代では。
「太陽王の時代でも次のルイ十五世の時代でもありません」
「どちらも女性についてはかなりだったがね」
「ブルボン家ではなく」
 当時のフランス王家だ、尚この時代のスペイン王家もブルボン家である。ルイ十四世の孫の血筋がそのまま続いているのだ。
「ハプスブルク家です」
「その倫理観だからね」
「ハプスブルク家は厳しかったです」
 夫婦の間のことにはだ、このことは女帝であったマリア=テレジアに固まった。 
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