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星河の覇皇

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第七十六部第三章 エウロパから見た死闘その七

「そのリヒャルトに任せてね」
「そうしてですね」
「我々はベルリンに行こう」
「それでは」
「暫く振りのベルリンだね」
「左様ですね、そういえばです」
「我々はベルリンには行っていなかった」 
 この暫くはというのだ。
「だからね」
「久し振りに入り」
「奉職しよう」
「ドイツに。ひいては」
「エウロパにね」
 こう話してだった、ランズハイムは使用人達にベルリン行きの用意を頼んだ。そうして自身もそれをしてだった。
 日が来るとベルリンに赴いた、彼等にとって暫く振りのベルリンはというと。
 一面銀世界だった、その雪に覆われた十九世紀の街並みを再現したその街の中に入ってだった。ランズハイムは困った笑顔で今も共にいる執事に言った。
「また雪とはね」
「前に来た時もそうでしたね」
「国会議事堂がある場所はね」
「星でもですね」
「適度に暖かい場所にすべきだね」
「その方がいいですね」
「寒いからね」
 何といってもという言葉だった。
「だからね」
「ランズハイム星系は温暖な地域が多いですし」
「そう、だからね」
「そう思われるのですね」
「寒いとどうしてもね」
 ランズハイムは温暖な自身の屋敷がある地域の気候から述べた。
「身体が冷えるからね」
「よくないというのですね」
「そう、だからベルリンもね」
「議事堂がある場所は」
「温暖なところにしたらよかったのに」
「これでもこの星ではです」
「温暖な気候の地域だね」 
 実はそうなのだ、今彼等がいる地域は星の中でも温暖で春や秋はその快適さで有名な場所であるのだ。
「そうだね」
「しかし冬はです」
「この通りだね」
「寒冷でしかもです」
「雪が多いね」
「そうした地域です」
「それは知っているけれどね」
 彼も行き来してきてだ。
「それでもね」
「冬に来られたので」
「やはりそう思ったよ」
「より暖かい地域にと」
「思うよ、しかしそう言ってもね」
「何もはじまりません」
 執事は己の主に即座に答えた。
「やはり」
「そうだね、ではね」
「はい、議会に出られて」
「予算委員会もあるしね」
 ドイツのそれのだ。
「貴族議員議員としてね」
「それに出られて」
「あとはお歴々とも会談だよ」
「貴族院の」
「それもあるからね、ではね」
「これよりベルリンのご自宅に入りましょう」
 実はこのベルリンにも家があるのだ、そしてこの星系に来た時はそこで住んで職務にとりかかっているのだ。 
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