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俺、ヤンデレ神に殺されたようです!?

作者:鉛筆削り
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第3話 Do i feel lucky?

「ハァ…ハァ…ハァ……おいキンジ! 体力持つか⁉︎ 」

「う……そろそろ……ハァ…限界だ‼︎ 」

「頑張れ主人公‼︎ 骨くらいは拾ってやる! 」

「お前の能力でなんとかできないのか⁉︎ 」

「無理だ! 俺1人だけの脱出はできるがお前を助けるとなると時間がかかる! 」

 朝から額に汗を浮かべて死の追いかけっことか、誰得だよ! 8台のセグウェイ(UZI付き)に追いかけ回されるのはこの瞬間だけでいい。
 こうなったのも7時58分発のバスに乗り遅れたからだ!


☆☆☆



 俺たちがダラダラとネットを見ていると、バスの発車時刻である7時58分の30秒前だった。当然乗れるわけがなく……仕方なく2人で自転車登校することにした。怠惰な心をなんとかしたい。

「あー自転車登校もたまにはいいな! 」

「俺はバス登校のほうがいい」

「なんだよ! だからEランクなんだぞ! 」

「ランクは関係ないだろうがっ! 」

 朝からよくそんな元気だな。俺も見習いたいよ。

『その、チャリには、爆弾が、仕掛けて、ありやがります』

 ん?キンジが喋ったのか? 面白い声だすんだな。

「キンジ、新しい声真似か? 誰のだ? 」

「……俺は喋ってないし、強いていうなら後ろのやつだ」

 振り向いて見ると、UZI付きセグウェイが後ろをついて走ってついてくる。
 爆弾? あるわけな……サドルの裏にあったよちくしょう! 明日からサドルの裏見るのを習慣にしよ!

 それから、セグウェイに追っかけ回され、加速し続けろと命令され10分経過した頃、そろそろ疲れてきた。
 最初にゆっくり走ってたのが不幸中の幸いだな。

「おい……そろそろ肺が……運動したくないって叫んでる! 」

「くだらないこと言ってる暇あったら打開策考えろよ! 」

「打開策なんて……氷の壁を作ることくらいしかないぞ」

「あるじゃねえか‼︎ 早くやってくれよ! 」

 おいキンジ、頭を働かせろ。

「いいか⁉︎ 俺たちをストーカーしてるセグウェイだけやったとしても、他にもいるとは思わないのか⁉︎
 もし凍らせたりなんかしたら狙撃されるかもしれないんだぞ! 俺たちを覆い、なおかつ銃弾を防ぐような氷を形成し続けたら精神力がもたない! 」

 やはり能力を使い、銃弾を防いでるうちに救援呼ぶか?いや……リスクが高い。何かないのか⁉︎
 本格的に焦り始めたそのとき……50mほど離れたビルの上に少女が立っているのが見えた。

「おいキンジ! 50m先のビルの屋上! 武偵がいるぞ! 」

「何言って──マジか」

 俺たちとの距離が30mほどになったところでその少女はビルから飛び降り、パラグライダーを器用に使って俺たちのところまで滑空してくる。

「おい! 危ないぞ! 」

 横でキンジが叫ぶがそんなこと聞きもせず近づいてくる。そして太ももにあるホルスターからガバメントを抜き、

「ちょっとそこのバカ2人‼︎ さっさと頭下げなさい! 」

 頭を下げた瞬間にその少女の2丁拳銃が火を噴いた。
 水平撃ちが見事に命中し、俺たちに最も近かったUZI付きセグウェイを破壊する。
 後ろの残り7台は……なぜか発砲して来ない。ジャミングでもしたのか?

 だがジャミングがいつまで持つか分からないので、俺たちを助けてくれた少女に目配せをし……俺の意図が伝わったのか、パラグライダーで俺たちのはるか前方に移動する。
 ここで俺たちのすべきことは───

「キンジ! 速度を上げるぞ! 」

「なんで!……ってあれやるのかよ!? 絶対嫌だあああああああ! 」

 そんなことを言っている間に少女との距離はグングン近くなっていく。
 あっ! その前に言いたいことがっ!
 国民的に人気があり、今もその名言は、現実という最前線でも通じるのだ!

「親方! 空から女の、ブハッ! 」

 結局言えずにつっこんでしまい……俺たちがいなくなって無人となった自転車は10mほど走った後、強烈な爆発と爆風に体を吹っ飛ばされ、そのまま意識が無くなっていった。


☆☆☆


「痛たたたた……ここどこ? ……あ、吹っ飛ばされて体育倉庫に入った、というわけか」

 さて、キンジとピンクツインテでも探すか──って、2人とも防弾跳び箱の中にすっぽりとはまってるよ。それと、キンジさん? なんでピンクツインテの防弾制服の中に顔突っ込んでるの? 絶対ブラジャー見えてますよね? 絶対領域見えてますよね⁉︎
 わいせつ罪の現行犯で逮捕したいところだが……ちょうどそのときキンジが起きたらしく、防弾制服の中でモゾモゾと頭が動いている。出てきたところで早速尋問開始だ。

 だが髪の毛が引っかかっているようで、まだ苦戦している。何回か出ようとしたところで……ピンクツインテが起きてしまった。ピンクツインテは、イヤーッ‼︎ という声をあげながらキンジの頭を制服の中から無理やり出した。
 そして顔を真っ赤に染め上げ、涙目で

「こ、ここここの変態! 最低最低最低最低! 」

 と、キンジの頭にポカポカパンチをしている。ああ、ピンクツインテよ、かわいそうに。

「この恩知らず! 痴漢! ひとでなし! 」

 そろそろ止めてあげようと説得しようとし──体育倉庫の入り口から10mほど離れた場所にUZI付きのセグウェイが止まったのを確認し、その考えは即座に切り捨てる。

「ふせろ! 」

 俺の叫びにピンクツインテとキンジは瞬時に反応し、俺もキンジたちが入っている防弾跳び箱の所へ身を投げ出すようにして回避する。

 凄まじい轟音と共についさっきまで俺がいた場所に、容赦なく音速の9mmパラベラム弾が襲いかかった。
 もちろんキンジたちは防弾跳び箱の中に入っているから安全だが……いつまでもつかわからない。
 7台ものUZI付きセグウェイが制圧射撃をしてくるのだ。

 だが、いつ自分の頭を弾が貫通するかもわからない恐怖感にも負けず、ピンクツインテはガバメントで応戦している。俺もグロック18Cにロングマガジンを装填し、フルオートで応戦する。
 仲のいい友人にフルオートでも命中精度が落ちないようカスタムしてもらったおかげで、かなりセグウェイに損傷を与えているようだ。

 俺は位置的にはピンクツインテの後ろから撃っているので、しっかりとした射撃体勢がとれていたが、
 ピンクツインテはそれが悪かった。それはキンジの顔面に胸を押しつけるような体勢だったからだ。
 次第にキンジの目つきは次第に鋭いものとなっていき……

 セグウェイは俺たちの応戦が効いたのか体育倉庫の門の前から数メートル離れたブロック塀に隠れてしまった。

「やったか? 」

「一時的に追い払っただけよ。あのセグウェイ、並木の向こうに隠れているけど、きっとまた出てくるわ」

「強い子だ。それだけでも上出来だよ」

「え? 」

 キンジはピンクツインテをお姫様抱っこで持ち上げると、ヒョイッと軽く飛び、あのセグウェイどもから死角となる位置にピンクツインテを座らせた。あーあキンジさん、なっちゃいましたね、あのモードに。

「キンジ、あとは任せてもいいか? 今のお前ならあれくらい倒せるだろ 」

「ああ、お任せあれ。それと、お姫様はこんなもの振り回しちゃダメだろう」

 歯がグラグラになるような浮いたセリフをピンクツインテに言うと……顔面が蒸発でもするのかと思うくらい赤面していた。純粋ですなあ。

「な、ななななな何言ってるのよ⁉︎ 頭おかしいんじゃないの⁉︎ 」

「ハハッ、姫を守るなら、俺はなんでもするよ 」

 キンジが体育倉庫の扉へと歩いていく。相当自信があるようだな。
 今回はどんな方法で撃退してくれるのやら。

「危ない! 撃たれるわ! 」

「アリアが撃たれるよりずっとマシさ」

「あ、あんた何急に言いだすのよ! 何するつもり⁉︎ 」

「アリアを、守る! 」

 体育倉庫からゆっくりと姿を現し、7台のUZI付きセグウェイに歩いて向かう。
 ……なんだ? 本当に何すんの? 自殺するんじゃないだろうな⁉︎

 セグウェイはキンジが体育倉庫から出てきたのを見計らい、七台一気に横に並ぶようにして出てきた。
 それと同時に、キンジに向けて合計7発の弾が襲いかかり、ヘッドショット確実コースだったが……

 当たる直前で体を大きく横にずらしベレッタをクイックドローし、腕を横に凪ぎながら違法改造したベレッタをフルオートで応射する。
 放たれた全ての銃弾は、7丁のUZIの銃口へ飛び込んでいき、見事に全て破壊した。

 あちこちにUZIのものであっただろう部品が散らばっている。キンジが人間やめました。

「俺、キンジ、怖い 」

「なぜ片言になってるんだ? 」

「どこの世界にあんな正確な射撃ができるやつがいるんだよ! お前くらいしかいねえだろ! 」

 やはりヒステリアモード、おそるべし! やっぱり俺よりキンジの方が強いんじゃ……
 なんて思っていると、ピンクツインテがいつの間にか防弾跳び箱に戻ってきていた。
 今起きたことが信じられないっ! なんて顔をしてる。同感だ。俺も信じられない。すると、ギロッ! っという鋭い目つきをキンジに向け……跳び箱の中に引っ込んだ。

  「お、恩になんか着ないわよ! 私1人でもあんなオモチャ、なんとかできた! 本当よ! 」

 強がりながらも防弾跳び箱の中でゴソゴソ何かをしている。
 ───何をしてる? まさか⁉︎ キンジのやつに何かされたのかッ⁉︎ キンジはピンクツインテに近づくと自分のベルトを外し始めた……え?
 俺いるんだけど? まさかそういう趣味かっ⁉︎

 だが……違うらしい。ベルトを防弾跳び箱に放り投げると、ピンクツインテはキンジのベルトをとり、ゴソゴソ何かをしてから外に出てきた。
 ああ、ホックが壊れてたのか、よく気づくなあキンジ。ピンクツインテさんはキンジの前に立ったが、身長はキンジの胸辺りまでしかなかった。
てか身長小さっ! 140cmくらいしかないんじゃないか?

「あんた! さっきの件をうやむやにするつもりでしょ! 強制わいせつの現行犯で逮捕よ! 」

「アリア、あれは不可抗力だ。吹っ飛ばされた時に偶然あの体勢になったんだ」

「不可抗力ですって⁉︎ で、でも! 胸見た! 」

「アリア、俺は高校2年だ。いくらなんでも小学生の胸を見て興奮することなんてないさ」

 いや、今あなたヒステリアモードですよね?
 でも、見て興奮したんじゃない! おしつけられたんだ!
とか言いそうだな。ん? ピンクツインテが……肩を震わせ、太もものホルスターに手をのばしている。

「こんなやつ……助けるんじゃなかった!! 」

 チャリジャックから助けてくれたガバメントが──今度は俺たちを襲ってきた。
 ・・・・・ッ⁉︎ なんでこの子いきなり発砲してんだ⁉︎

「あたしは! 高2だあああああああ‼︎‼︎ 」

 鬼のような形相でキンジに2丁のガバメントを向けるが、キンジは素早く近づき、その腕を両脇ではさみこんだ。

 ────バババババ! ガキン! ガキン!

 弾切れになり、スライドオープンしたガバメントをその小さい手から離し、体格差なんてお構いなしにキンジを体育倉庫の外へと投げ飛ばした。
 あんな小さいのにキンジを投げ飛ばすなんてすごいな!
 キンジは受け身をとったが、その顔は驚きに満ちている。

「逃げられないわよ! あたしは犯人を逃したことは一度もな……あれれ? 」

 キンジに鉛玉をあびせようとしたが、キンジは投げ飛ばされた際にマガジンをスリとっていたため、マガジンがないのだろう。キンジも手グセが悪いな。

「ゴメンよ」

 そのままマガジンを遠くへ放り投げてしまった。金が! もったいない!
 だがそんなことで戦意喪失するピンクツインテでもなく、背中から刀を抜き、人間離れした速さでキンジに斬りかかろうとするが……

「みきゃ⁉︎ 」

 何かを踏みつけて派手に転んでしまっていた。
 ピンクツインテの足元を見れば、.45ACP弾が落ちている。弾だけ地面にまいて、それに気づかせないようにマガジンを遠くに飛ばしたのか。すごいな、手品で儲かるんじゃないか?
 キンジは転んだのを確認し、ダッシュで逃げてしまった。

 ……え? 俺置き去りにされた?

「でっかい風穴あけてやるんだからぁー!‼︎ 」

 怖っ! 風穴なんて物騒な! 俺も逃げないと!命の危険がっ!
ピンクツインテに気づかれないように体育倉庫からコッソリと抜け出そうとしたが……

「ッ⁉︎ あんた待ちなさい! 」

「ヤベッ! 気づかれた! 」

 動物的な直感とでもいうのだろうか。俺が逃げ出そうとしているのが一瞬にしてバレたッ!
 だがここで捕まったら何をされるか分からない! 能力を使ってでも逃げさせてもらう!
 俺は超人的な速度でこちらに向かってくるピンクツインテの足元を……カッチカチに凍らせた。

「 ミキャッ! 」

 先ほど転んだ時と同じ猫のような声をあげ、スッテーンと転び、頭を強打させていた。
 怖い怖い! 早く差をひろげ……あれ?
 後ろを振り返れば大の字になったまま起き上がってこない。
 気絶でもしたか? そんなバカなことあるわけ……ピンクツインテの目が死んでる?
 予想的中かよ! 面倒だが、放っておくと変な輩に take out(お持ち帰り)されるかもしれん。
 学校行くついでに持ってくか……

 俺はピンクツインテをおんぶし、これは遅刻だなぁと思いながらも、裏切ったキンジを呪う。

「この恨み! 晴らさでおくべきかああああああああ‼︎ 」

「うるさいわよこのドベ! 」

 突如、頭を硬いもので殴られたような衝撃が走った。
 どこのどいつだ俺の頭を殴りやがったのは!
 首だけ後ろにまわすと……気絶状態から回復していたピンクツインテが、ガバメントのスライドの部分を持っている。
 さてはグリップで殴りやがったな⁉︎ というか回復早ッ⁉︎

「起きたなら自分で歩けよ! あとグリップは殴るためにあるんじゃない! 」

「これは私を転ばせた罰よ! どうやって転ばせたか、白状しなさい! 」

「足元凍らせただけだよ! 降りろ! 」

「────⁉︎ あんた超能力を持つ武偵(超偵)なの⁉︎ 放課後、あんたの部屋に行くから! あと学校までおんぶしなさい! 」

「圧倒的理不尽! 」

 なんで……なんでこんなに俺はっ! 俺は! ……運がないんだあああああ! 瑠瑠神ィ! 俺に呪いをかけたことを後悔させてやるからなあああああああああ!
 
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