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歪んだ世界の中で

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第一話 底のない絶望その三

「そうなりますね」
「そうだね。そうなるね」
「だから僕は何があっても。遠井君と一緒ですから」
「僕もだよ。何があってもね」
「はい、お互いに」
「一緒にいよう」
 そうした話をしてだった。二人はだ。
 共に下校した。彼等は真の親友同士だった。しかしそうではない面々もいる。希望はそのことをあらためて、絶望、苦悩と共にだ。それを知ることになるのだった。
 だがそのことは今は知らずにだ。彼はだ。
 クラスの友人達にだ。この日は朝から言われていた。
「今日の登校中も見てたんだよ」
「だからさ、本当にさ」
「告白すればいいじゃない」
「告白すればね」
 それでどうなるかとだ。彼を囲んで言うのである。
「それで遠井君の未来は薔薇色だよ」
「幸せになれるよ」
「高校生活が幸せになるからさ」
「だからね」
 こうだ。彼等はしきりにだ。希望に告白を勧めるのだった。しかしだ。
 その彼等の話を受けてだ。そうしてだった。 
 希望もだ。遂に決めたのだった。
 決意した顔でだ。彼等に答えた。
「それじゃあ。告白するよ」
「よし、それじゃあ決まりだな」
「早く告白するといいよ」
「今日のうちにね」
 こう言ってだ。彼等は希望の背中を押した。かに見えた。
 それを受けてだった。彼はだ。
 その野田素子にだ。告白することになった。素子は小柄で垂れ目の女の子だった。その娘のところに行くとだ。
 顔が真っ赤になり動きが止まった。それでだ。
 何かを言おうとする。しかしだ。
 素子はだ。愕然となった顔でだ。こう彼に言ってきたのだ。
「嫌っ!」
「えっ!?」
「私デブは嫌なの!」
 こうだ。面と向かって言われたのだ。そしてだ。
 泣きだしてだ。彼女は希望にこんなことも言ってきたのだ。
「何であんたなんかに言われないといけないのよ!」
「いや、僕は」
「もう二度と話しかけないでよ!」
 今度はこうも言う素子だった。
「デブが傍にいると空気が悪くなるじゃない!」
「そんな・・・・・・」
 こう言われて逃げ去られてしまった。そしてだ。
 その後でだ。クラスの友人達に囲まれてだった。
 そのうえでだ。彼等に言われたのだった。
「あのさ、君のせいでさ」
「君が野田さんにおかしなこと言ったからだよ」
「俺達女の子達に随分言われたんだよ」
「何であいつと一緒にいるんだってさ」
 こうだ。すごむ様な顔で言ってきたのだ。
「全部君のせいなんだけれど」
「君あの娘に何言ったんだよ」
「君が言ったからさ、俺達にも迷惑がかかって」
「とんでもないことになってるんだけれど」
「えっ、だってそれって」
 彼等に言われてだ。希望はだ。
 愕然とした顔になりだ。彼等に言葉を返したのだった。
「君達が言ったじゃない」
「俺達が?何て?」
「何て言ったっていうんだよ」
「だって遠井君が告白したんだよ」
「君が決めたことだよ」
 こうだ。彼等はだ。希望に責任を擦り付けてきた。そのうえでだ。
 自分達は逃げにかかった。そうしてだった。 
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