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星河の覇皇

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第七十六部第二章 戦闘開始その三十二

「しかしな」
「そうしたものもですね」
「批判出来るのか」
「フォアグラを見ていますと」
「それに舌鼓を打つ彼等を」
「よくて五十歩百歩だ」
 連合もエウロパもというのだ。
「そしてだ」
「もっと言えばですね」
「エウロパの方が問題がありますね」
「無理に太らせて食べるなぞ」
「首から下を埋めてまでして」
「何処まで異様だ」
 そうして飼育されるガチョウ達の姿を想像しての言葉だ。
「サハラにはないものだ」
「イスラムには」
「到底ですね」
「存在し得ないものですね」
「どう考えても」
「エウロパでも批判があると聞いているがな」
 動物愛護団体等からだ、これは明らかに動物虐待であるというのだ。この批判は二十世紀からある。
「当然のことですね」
「ない方がおかしいですね」
「彰内動物虐待ですから」
「どうひいき目に見ましても」
「私もそう思うしな、私は肉も好きだが」
 無論他のものもだ、野菜も果物も魚もだ。
「それでもだ」
「そうしたことはお嫌いですね」
「コーランの戒律に反せずとも」
「それでもですね」
「自然のままのものが一番美味い筈だ」
 食べるのならばというのだ。
「日本でアンコウという魚の肝を食べるが」
「あん肝ですね」
「日本では有名な食材ですね」
「日本人はよく食べるそうです」
「鍋に入れたり酢で味付けしたりして」
「美味しいそうですね」
「やはり私は食べないが」
 これも内臓だからである。
「そもそもアンコウ自体もな」
「あれは鱗があるのか」
「あれば食べられますが」
「鰭はありますが」
「鱗がなければ」
「肉も食べられない、そして肝臓もだ」
 そのあん肝もというのだ。
「わからないがあちらの方がだ」
「美味しいですね」
「そう言われるのですね」
「フォアグラよりは」
「そう思われているのですね」
「その筈だ、少なくともあのアンコウ達は無理に太らされてはいない」
 この時代この深海魚も養殖されている、とはいっても食べるのは和食だけであり他の国の料理ではあまりない。
「だとすればだ」
「あん肝の方が美味しいですか」
「フォアグラよりも」
「そうなのですか」
「健康なものの方が美味い筈だ」
 不健康なものよりもというのだ。
「身の引き締まった羊と肥満しきった羊のどちらがいいか」
「あまり脂肪が多いですと」
「運動不足ですし」
「肉も締まっていませんし」
「どうも」
「そうだな、羊でもそうだ」
 その羊の肉を知っているシェフ達に応えて言った。
「ならばだ」
「肝もまたですね」
「そして鳥や魚もですね」
「健康なものの方が美味しい」
「そう言われますか」
「その通りだ、だから私はどちらにしろフォアグラは口にしなかった」 
 コーランの戒律がなくともというのだ。 
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