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星河の覇皇

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第七十六部第二章 戦闘開始その三十一

「どう見ても自然ではないからな」
「確かに自然ではないですね」
「人間で言うとだ」
 フォアグラ、そしてそれの元のガチョウ達はというのだ。
「無理に肥満した人間の肝臓だな」
「極端な脂肪肝ですね」
「そうしたものだ、健康ではない」
 その人間もというのだ。
「かつてアメリカにいた極端に肥満した人間の肝臓か」
「あの腹まで脂肪が垂れ下がった」
「安禄山もそうだったというが」
 中国唐代に叛乱を起こした武将だ、異民族からの帰化人であり言語に巧みでそこから頭角を表した。確かに肥満していたが身体を激しく動かす踊りを得意としていたという。
「そこまで肥満した者の肝臓なぞな」
「不健康としかですね」
「思えない、そしてだ」
「そうしたものを食べても」
「健康であるとはだ」
「とてもですね」
「思えない、また味もだ」
 それもというのだ、肝心の。
「正常には思えない」
「だからですね」
「キャビアとトリュフはいいが」
 しかしというのだ。
「フォアグラはだ」
「いらないのですね」
「私はな、内臓を食べることもないしだ」
 元からそうでというのだ、イスラムの戒律に従い。
「そのうえでだ」
「不健康なものなぞ」
「食べはしない」
 絶対にという言葉だった。
「私ははな」
「それでは」
「それはいい、しかしな」 
 こうも言ったシャイターンだった。
「エウロパ人はよく連合を残酷だと批判するな」
「はい、常にですね」
「そう批判していますね」
「やれ残酷だ何だのと」
「食生活も」
「フォアグラは連合でも食べているがだ」
 それでもというのだ、勿論キャビアやトリュフもである。
「しかしエウロパで出たものだな」
「確かフランスでした」
「あの国で出ました」
「どうしてガチョウの肝臓を美味しくそして多く食べるか考えられ」
「その結果でした」
 飼料や太らせ方まで考えられた結果だ、トウモロコシ等を食べさせ首から下を地面の中に埋めたのである。
「ああしたものになりました」
「首から下を埋め無理に食わせて太らせて」
「そうして生み出されたものです」
「動物虐待もいいところだ」
 まさにと言うシャイターンだった。
「それで連合のことを言えるのか」
「食生活を見てもですね」
「甚だ疑問ですね」
「フォアグラを見る限り」
「そうした代物ですね」
「そう思える、連合の死刑や重罪についての批判だが」
 連合での残虐な死刑や凶悪犯への重労働や生体実験等の行為のことを批判しているのだ。
「しかしそれもだ、かつてのエウロパはな」
「はい、惨いものがありましたね」
「植民地統治といい異端審問といい」
「十字軍でもそうでしたね」
「ローマ帝国もそうでした」
「エウロパも残虐です」
「料理だけでなく」
「それで言えるものだ、日本の料理で生け造りやおどり食いがあるが」
 そうした料理のことも言うシャイターンだった。 
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