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スイッチオン

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第一章

                スイッチオン
 大友麻美はムラが激しい性格だ、やる気がある時とない時の差が相当に極端で行動や結果にもそれが出る。
 やる気があると何でもそつなくこなすが。
 やる気がないと全く駄目だ、それで所属している女子サッカー部でもこう言われていた。
「調子がよかったらね」
「もう女の子だけれどキャプテン何とかなのに」
「まさに背番号十」
「全国トップクラスなのに」
「マラドーナみたいなのに」
 そこまで凄いがというのだ。
「調子が悪かったら」
「もうその時はね」
「どうしようもないから」
「もうボール蹴りはじめた小学生レベル」
「何でそこまで極端なのよ」
「別人じゃない」
「勉強でも」
 高校の学業でもというのだ。
「調子がよかったらもう学年トップ」
「全教科ほぼ満点なのに」
「そうじゃなかったらね」
「全教科赤点だから」
「何でそう極端なんだか」
「何でもかんでも」
 麻美のそのことを言うのだった、黒髪を腰まで伸ばしていてはっきりした瞳に細く奇麗なカーブを描いている長い眉を持つ少し面長の顔で胸は八八ありウエストは引き締まっている一五八位の背の彼女のことを。
 とにかく麻美はやる気があると凄かった、だが。
 やる気がないと全く駄目だった、それで母の麻子娘がそのまま四十代前半になった様な外見も彼女も家で娘に言った。
「あんた昔からムラあり過ぎよ」
「やる気があったら出来て」
「それでやる気がないとね」
 その時はというのだ。
「もうね」
「駄目過ぎて」
「スイッチ?」
「オンとオフで」
「もうそこまで違うじゃない」 
「そう言われてもね」
「誰に似たかわからないけれど」
 それでもというのだ。
「あんたのそのムラの激しさはね」
「問題よね」
「かなりね、やる気があったら凄い調子が出て」
 そしてというのだ。
「やる気がなかったら駄目で」
「それが行動にも結果にも出て」
「やる気があったら凄く頑張るけれど」
 ただ調子がいいだけでなくだ。
「なかったら何もしないじゃない」
「それはね」
「それでいい時はテストは殆ど満点で試合も凄くて」
「悪かったら赤点で試合も駄目駄目で」
「練習でもでしょ」
「予習復習でもね」
「家事でもね」
 とにかくあらゆることがだった。
「そのムラッ気何とかしないと」
「駄目なのね」
「そう、安定感持ちなさい」
 こう娘に言うだった。
「いいわね」
「それはね」
「わかったわね」
「わかってるけれど」
 それでもとだ、麻美は母に応えた。とにかく彼女のそのムラッ気はあまりにも極端で周りも言うことだった。
 そんな中で麻美の通っている高校の女子サッカー部つまり彼女が所属している部活は県大会決勝まで駒を進めたが。
 ミッドフィルダーの麻美について皆心配していた。 
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