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優勝した時に

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第五章

「しかも一勝のハンデがあるんだ」
「巨人が勝つっていうの」
「ソフトバンクも優勝したしな」
 こちらは智昭の予想通りだった。
「本命はソフトバンクと巨人だろ」
「シリーズのカードは」
「日本ハムもシリーズ出場決まったけれど」
 それでもというのだ。
「仕方ないだろ」
「そうなのね」
「ああ、もうな」
 そこはというのだ。
「阪神はないだろ」
「だから言うけれど」
 未可子はテレビの言っていることを聞きつつ言った、幸い今テレビには巨人信者は出ていないのでかなり阪神寄りだ。
「阪神を甘く見ないでね」
「じゃあクライマックスにか」
「勝ってね」
 言葉は変わらない。
「優勝よ」
「俺もそう願ってるけれどな」 
 智昭も巨人は嫌いなのでこの気持ちは同じだ、巨人の優勝はそれだけでこの世の災厄に他ならないからだ。
「阪神優勝して欲しいな」
「そうしたら結婚出来るし」
「それな」
「そう、いよいよ入籍届用意しましょう」
 未可子だけはこう言う、しかし。
 智昭は今年は阪神の優勝も二人の結婚もないとほぼ確信していた、そのうえでクライマックスを待ったが。
 阪神はクライマックスで思わぬ絶好調でだった。
 勝ち進み憎むべき巨人も一気にだった。
 相撲で言ううっちゃりの様に倒した、これには智昭も驚いた。阪神が四勝してグラウンドで喜ぶ姿をテレビで観て言った。
「おい、嘘だろ」
「嘘じゃないわよ」
 一緒に観ている未可子は満面の笑みで彼に答えた。
「これはね」
「阪神優勝したんだな」
「観ての通りね」
「そうなんだな」
「よかったわ」
 今度はほっとした顔になってだ、未可子は言った。
「優勝出来て」
「お前はそうなるって思ったんだな」
「そうよ」 
 最初からという言葉だった。 
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