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星河の覇皇

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第七十六部第二章 戦闘開始その一

                戦闘開始
 アッディーンは目の前にティムール軍を見た、そしてすぐに自身の後ろに控えている幕僚達に問うた。
「敵の数はどれ位だ」
「三十個艦隊です」
 シンダントがすぐに答えた。
「およそ三十万隻です」
「そうか、我々とほぼ同じだな」
「そうですね」
 オムダーマン軍も三十個艦隊であり艦艇数は三十一万だった。数としての違いはほぼないと言ってよかった。
「そして正面からです」
「このままだとぶつかるな」
「そうなります、それでは」
「このままだ、陣形は魚鱗だ」
 この陣形で攻めるというのだ。
「いいな、空いても魚鱗で来るが」
「それでもですね」
「魚鱗だ」
 相手と、アッディーンがそう来ると読んでいる陣形と同じもので攻めるというのだ。
「それで攻める、いいな」
「そうして正面からぶつかり」
「全力で戦う、ここは一歩も退いてはならない」
 こうも言ったアッディーンだった。
「いいな、一歩もだ」
「そうして攻めてですね」
「この戦いははじめる、それからだが」
 攻撃に入ってからのことも既に考えていた。
「後は臨機応変だ」
「敵の動きを見てですね」
「その都度変えていく」
 そうするというのだ。
「いいな」
「わかりました」
 シンダントが応えた、そしてだった。
 オムダーマン軍は進撃しつつ陣形を変えた、万全の魚鱗陣に。そしてそれはシャイターン率いるティムール軍もだった。
 陣形を進撃の中で魚鱗にした、その采配を執ったシャイターン、アッディーンを見てティムール軍の幕僚達は唸っていた。
「まさかです」
「閣下と同じ様に動くとは」
「進撃しつつ陣形を整えるとは」
「アッディーン大統領もするとは」
「流石と言うべきか」
「英雄と呼ばれるだけありますね」
「しかもあの陣形を見るのだ」
 シャイターンは旗艦シャハラザードの艦橋にある自身の豪奢な椅子に座っている、その席で右手で頬杖を突きつつ言った。
「完璧なまでだな」
「はい、完璧な魚鱗陣です」
「これ以上はないまでの」
「あそこまで見事な魚鱗陣は我々だけです」
「今の我々の陣だけです」
「あれがアッディーン大統領だ」
 今から自分達が戦う相手だというのだ。
「青き獅子だ、今彼等の進撃速度はかなりのものだ」
「我々の速度と同じです」
「相当な速さでこちらに来ています」
「まさに突撃です」
「それだけの速さですね」
「その速さで即座にあれだけの陣形を組める」
 迅速な進軍の中でというのだ。
「まさに名将だ、完璧な統率と艦隊指揮だ」
「そして布陣ですね」
「その三つが完璧ですね」
「完璧なまでですね」
「恐ろしいものです」
「あれだけのことが出来る者だからだ」
 アッディーン、彼がというのだ。
「私と戦える、ではだ」
「はい、このままですね」
「我々は進む」
「この魚鱗陣のまま」
「敵と戦いますね」
「衝突する気で行くぞ」
 軍勢と軍勢がというのだ、シャイターンは本気だった。 
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