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魔法科高校の氷の異能者

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入学式編
  入学式

 俺と達也、深雪がいる場所は国立魔法大学附属第一高校。
 魔法を第一とした国策機関が用意したエリート中のエリート学校。
 だが、この学校には、一科生の花形(ブルーム)と二科生の雑草(ウィード)の制度がある。
 だけど、この制度は制服の刺繍が間に合わなかったのと学校側の追加募集によるものだと俺は思っている。
 まあ、これは、達也と深雪には話していない。
 話したら、深雪が龍の逆鱗の如く、暴れそうだからな。
 俺もこれは、一個上の姉さんの受け売りだけどな。
 と、くだらないことを言っていてもしょうがない。
「達也。時間が来るまでどこかに座っていないか」
「そうだな。待ち時間まで俺も読書がしたいところだ」
「じゃあ、行こうか」
 俺と達也は校内のベンチに向かう。
 ベンチに腰を掛け、達也は端末型の読書を読み始める。
 俺は瞳を閉じて、一高全体に敷設いや設置型の魔法式を構築して展開させる。
 要は設置型魔法の核を一高の中心と四方に配置する。
 まあ、この方法だったら、姉さんが既にやっていると思うけど・・・・・・念には念をだ。
 俺が氷川家固有魔法を設置しようとしようとしたとき、
「やっぱり、魔法を敷設しようとしてる」
 女性の声を耳にする。
 この声は間違えない。
 ()()だ。
 目を開けてみれば、案の定、彼女がいた。
 黒髪で長い前髪の左側に赤メッシュをした少女がいる。
 彼女の名前は火野愛桜。
 炎と熱を扱いに関してはエキスパートの火野家の次期当主。
 俺の子供の頃からの幼馴染みだ。
 もちろん、達也と深雪とは違った幼馴染みだ。
 家の歴史は1000年以上の歴史を持っている。
 ここら辺は俺の家、氷川家と同じだ。
 継承しているのは古式魔法。
 威力と隠密性に特化した古式魔法だ。

 そんなことよりも、彼女が俺に注意してくる。
「いいだろう、念のために設置型魔法を敷設しているんだ。文句のいわれようがない。お前だって、同じことをしているじゃないか」
 俺は彼女の手に持っているお札らしきもの。
 お前だって、敷設する気満々じゃないか!?
 と、ここで達也が
「蒼汰。少しだけ静かに・・・・・・と、キミは?」
 俺に注意しようとするも、俺と話している愛桜に目が入る。
 愛桜はコホンと咳払いしてから
「初めまして、火野愛桜と言います。蒼汰と同じ新入生です」
「火野愛桜だな。俺は司波達也だ。蒼汰とは知り合いなのか?」
「私と蒼汰は家同士で知り合った幼馴染みです。司波くんは?」
「俺も蒼汰とは幼少期から幼馴染みだ。それと、俺のことは達也でいい。ちょうど、妹と一緒に入学するから名字が被るのは不味いからな」
「分かった。じゃあ、達也くんね。で、妹さんの名前は?」
「司波深雪。今年度、新入生総代を務める」
 達也が深雪の名前を教える。
 すると、愛桜が深雪の名前を聞いて
「司波深雪ね」
 と呟いている。
 この感じだと、姉さんがバラしたな、間違えなく――。
「もしかして、玲奈さんが言っていた人かな?」
 ほら、愛桜の口から姉さんの名前が出た。
 達也も姉さんの名前が出たことにビックリしている。
 まあ、彼は普段から無表情(ポーカーフェイス)だが、目を見開いているときは驚いている証拠だ。
 その後、そこに七草家の長女、真由美がやって来たが、そこは無視しつつ、俺らは講堂に向かった。

 講堂に来てみれば、座席はほぼ満員だが、面白い構図になっている。
「見事に分かれているな」
「本当ね」
 俺と愛桜が言ったことは同じ新入生のことだ。
 前半分が一科生(ブルーム)。後半分は二科生(ウィード)
「なんか、席なんて自由の筈なのに、こう意識化されると滅入るな」
「同感」
「ここは別れて座った方が無難だな」
「そうだな」
 ここで、達也とは一時的に別れるな。
 まあ、それでも構わないけど――。
 後で、深雪がストレス溜まってしまうのが想像ついてしまうな。
 そんな感じで俺と愛桜、達也は別れて席に座ることにした。

 俺と愛桜は前半分の最前部の席に座る。
 すると、愛桜の隣に座っている茶髪でツインテールの少女と黒髪の少女が挨拶をしてきた。
「あのぅ~」
「なんでしょうか」
「私、光井ほのか、って言います。よろしくお願いします」
「私は北山雫。よろしく」
 光井ほのかに、北山雫。
 光井はわかるが、北山となると、あの北山かな?
 俺と同じように愛桜も目を細める。
 目を細めるも
「私は火野愛桜。こっちが氷川蒼汰」
「俺は氷川蒼汰。よろしく、ほのか、雫」
 俺がいきなり、彼女たちの名前で呼んだ。まあ、呼んだことに彼女たちがビックリした顔つきをしている。
 ここで俺も「あっ」となり、
「おや、名前で呼んでは不味かったかな?」
 謝罪を含めて、頭を下げる。
 だけど、ほのかが
「いえ、いきなり、名前で呼ばれたのは初めてで・・・・・・」
「うんうん。あと、私のことは名前で呼んでいいよ」
「そうか」
 なら、よかった。
「だったら、俺は蒼汰って呼んでくれ。一個上に姉がいるからね。愛桜は?」
「私も愛桜で良いわ」
 俺たちは互いに名前で呼び合うことにした。
 そんな感じで俺たちは軽く世間話をしていたら、入学式が開始された。

 式事態は滞りなく進んでいる。
 そして、新入生答辞になった。
 俺はその時まで、スヤスヤと居眠りをしていたが、答辞になったところで愛桜に叩き起こされる。
 なんだよ、もう少し寝かせてくれよ。
 って思うんだが、深雪の答辞となれば、仕方ないな。
 多少、寝惚けて聞くことにした。
「新入生総代、司波深雪」
 司会者が告げると、舞台袖から深雪が姿を現した。
 俺は遠くから見ている。
 相変わらず、こういった雰囲気に慣れているのか? いや、慣れているように見えているだけか。
 それにしても、空気が変わっているな。
 空気に当てられて、ほのかが頬をほんのり朱に染めているよ。
 愛桜は
(凄いわね。空気が変わっている。これだと、周りがお構いなしに媚を売ってくるでしょうね。蒼汰は大丈夫かな? まあ、玲奈さんがなんとかしてくれるでしょうね)
 愛桜の奴。俺に目線を向けてくる。
 俺も愛桜が思っていることは分かっている。
 分かっているからこそ、思わず、息を吐いてしまう。
 なお、答辞の内容を聞いている寝ぼけが一気に吹っ飛んだ。
 深雪!? なんて、際疾いフレーズを言うな。下手したら・・・
 タラタラと汗を流している。
 何故なら、新入生全員からの反発を喰らう。
 そんな感じで入学式を終えた。
――――――――――――――――――――――

 入学式を終えた後、俺たちはID交付所に行き、IDカードを貰い、自分のクラスを知る。
 どうやら、俺はA組のようだな。
 愛桜やほのか、雫は知らないけど――。
「やったね、雫。同じクラスだよ」
「うん」
「私もA組だね。蒼汰は?」
 愛桜もA組。
 どうやら、同じのようだな。
「俺もA組だ」
 俺は自分のクラスが何処なのかを告げる。
 俺が告げたことにほのかが
「本当ですか!?」
 驚いたように聞き返してくる。
「ああ」
 俺は正直に答えた。
 ここで嘘をつく理由もないからな。
 ほのかは雫と手を取り合って、喜び合っている。
 雫も雫で表情が和らいだ。

 と、そこに
「蒼汰くん」
 何やら、凍てつく視線と凍えるような笑みを浮かべている深雪がいる。
 わかりやすく言おう、目が笑っていない笑顔だ。
 凍てつく視線に俺はガタガタと震え出す。
 俺は震えながら、振り返れば、案の定、深雪がいて、目が笑っていなかった。
「蒼汰くん?」
「はい」
 背筋が凍りつく呟きに俺は思わず、背筋を伸ばしてしまう。
 深雪の言葉ってこんなに冷たかったっけ?
「そこにいる彼女たちと逢い引きですか?」
「・・・・・・・・・・・・」
 これには、思わず無言になる。
 深雪よ。ストレスでも溜まっているのか?
 とりあえず、俺はハアと息を吐き、深雪の髪に触れながら
「そんなわけないだろう。彼女たちは偶然、入学式で知り合っただけだ。それに俺が深雪以外に逢い引きなんてする必要がないだろう」
 髪に触れ、撫で、優しげに言う。
 優しげに言ったせいか知らないが、深雪の顔いや頬が若干赤いな。
 なお、そこに空気をぶった切る形で愛桜が
「あの~、お二人さん。付き合っているのかどうか知らないけど、人の目があるところで恥ずかしいことしないでちょうだい」
 注意されて、俺と深雪はハッとなり、周りを見てみると、他の新入生たちがヒソヒソと噂話をしていた。
 ほのかは顔を真っ赤にしてあわあわと慌てふためき、雫はほんのり頬を紅くしていた。
 俺は不味いと思い、コホンと咳払いしてから
「まあ、話は変わるが深雪は何組だ?」
「A組です」
「そうか。俺も同じだ。これから1年間は一緒だな」
「はい」
 ああ、深雪の満面な笑みは最高だな。
 心が安らぐよ。
 おっと、このままでは不味いな。
「せっかくだし、このまま、達也の迎えに行こうか」
「はい、そうしましょう」
 深雪も俺の真意を理解してくれたようなので、さっさとここから退散しよう。
 退散しようとした際、勇気を出して話しかけてきた2人の女子生徒がいる。
「あ・・・あのぅ~」
 俺と深雪は同時に振り返って、深雪が答えた。
「なんでしょうか」
「み、光井・・・ほ、ほのか・・・と言いましゅ」
「ほのか。緊張しすぎ」
「でも・・・雫ぅ~」
 緊張しすぎて、慌てふためくほのか。
 これには、深雪も少々毒気が抜ける。
 ここは俺がフォローした方がいいよな。
「深雪。彼女たちは入学式で知り合った」
「そうなのですか」
「ああ。今、緊張しすぎて、小動物のようにオドオドしているのが光井ほのか。フォローしているのが北山雫。そして、赤メッシュしているのが火野愛桜だ」
「蒼汰くん。最後の人だけ教えたくないように聞こえますが・・・・・・」
「深雪。不機嫌ですオーラと目を向けるな。後で、わけを話す」
 俺は後で、事情を説明する形で話を収めつつ、
「どうやら、彼女たちは深雪とお友達になりたいのだろう」
「そうですか」
 深雪は呟いてからほのかのもとに歩み寄り、
「私たちとお友達になりたいの?」
 言葉にほのかがパァ~ッと元気を取り戻した。
 っていうか、効果音が出るくらいに明るくなったな。
「うん」
 元気よく頷き返す。
「そうでしたの、知っておられるのでしょうが、私は司波深雪といいます。深雪と呼んでください」
「私は北山雫。雫って呼んで」
「私もほのかと呼んでください」
 さらに、そこに
「私は火野愛桜。愛桜って呼んで」
 愛桜も割り込む形で自己紹介する。
 ここで俺が
「深雪。赤メッシュのことは無視していいよ。それより、俺たちは達也の迎えに行こうか」
「え、ええ・・・」
 深雪は俺と一緒に達也の所に向かおうとしたが、そこに愛桜が
「おい、蒼汰!! さっきから聞いていれば、なにが赤メッシュだ。あんただって、銀メッシュじゃない!!」
「俺とお前を一緒にするんじゃない!!」
「なんですって!!」
 俺は思わず、感情的になって、愛桜と口喧嘩に発展する。
 これには、深雪もほのかも雫も「どうしよう」となり、
「先にお兄様の所に行きますか。一緒に来ます?」
「いいの?」
「ええ」
「じゃあ、行こう」
 という形で深雪はほのかと雫を連れて、達也の所に向かった。
 なお、俺と愛桜は深雪たちがいないことに気づいて、急いで達也の所に向かった。
――――――――――――――――――――――

 深雪、ほのか、雫の3人は二科生のID交付所に来たところで深雪は達也を見つけて、
「お兄様。お待たせしました」
「早かったね、深雪」
 と、ここで、達也は深雪の後ろにいるほのかと雫を見る。
 否、ほのかと雫ではなく、生徒会の方だと思われる3人が来る。
 ここで達也は深雪に
「深雪。蒼汰は?」
「蒼汰くんは・・・・・・」
 深雪はわけを話そうとしたら、ガミガミと口喧嘩する声を達也は耳にする。
 目を向ければ、俺と愛桜がガミガミと口喧嘩しながら、深雪たちのところへ来る。
 未だに口喧嘩する俺と愛桜。
 そこに生徒会の1人にして、俺の姉である氷川玲奈が首と拳を鳴らして
「いい加減に口喧嘩を止めなさい。このバカ共が!!」
 姉さんの拳が俺と愛桜の頭に叩き込まれた。

 ゴキン

 明らかに鳴ってはいけない音がした。
 痛みが骨と脳に浸透する。
 俺と愛桜は頭に手を押さえて、
「「頭が・・・頭が・・・」」
 悶えていた。
 先ほどまで悪鬼羅刹否、鬼、否、鬼神は消え去り、フゥ~ッと息を吐いた後、
「ごめんなさいね。達也くん、深雪さん。弟が迷惑をかけて」
「い、いえ・・・」
「蒼汰にはいつも世話になっていますから」
「それよりも、玲奈さんは生徒会の方だったのですか?」
「そうよ。本当だったら、深雪さんを勧誘させたかったけど、周りがちょっと悪そうだし。なにより、弟や愛桜をしっかり、お灸を据えるのと役職をぶち込ませようかなって・・・・・・だから、今日はご挨拶だけにするから。達也くんと深雪さんはせっかくの知り合ったお友達と一緒に楽しんでらっしゃい」
「は、はい・・・分かりました」
「玲奈さん。後日、お礼します」
「いいのよ。達也くん。それじゃあ、あんたたち」
 姉さんの声にビクッと震える俺と愛桜。
 ガタガタと震えながら振り返れば、鬼神がいて、
「これから、あんたたちに相応しい役職を与えてあげるから。付いてきなさい?」
「・・・はい」
「・・・分かりました」
 という感じで俺と愛桜は姉さんに連行された。

 その後、姉さんの言うとおり、生徒会長は「ご挨拶に来た」と告げ、日を改める形になった。

 なお、ほのか、雫、そして、達也と知り合った千葉エリカ、柴田美月。彼女らは先ほどまでの一連の状況を見て、ブルリと悪寒が走った。 
 

 
後書き
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