| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十六部第一章 動きはじめる両軍その十三

「まだな、けれどな」
「三十六まではですか」
「もう大抵合格させてもらえるな」
 下士官の試験にだ。
「お情けでもな」
「そうですか」
「若しくはな」
 ここでだ、アブクールは自分の右肩に自分の左手をぽん、と置いてそのうえでハルークに対して話をした。無論ハーディンにもだ。
「これだな」
「肩叩きですか」
「絶対に昇進しない奴はな」
「三十四になるとですか」
「ああ、もうな」
「軍を追い出されるんですか」
「適当な仕事斡旋してもらってな」
 そのうえでというのだ。
「そうなっるな」
「三十四で、ですか」
「三十六になっても同じだぜ」
 その年齢になってもというのだ。
「結局下士官になれなかった」
「三十六まで」
「そうなったらな」
「適当な仕事斡旋されてですか」
「お払い箱さ」
「それが一般ですか」
「そうさ、まあ相当な奴じゃないとな」
 それこそとも話すアブクールだった。
「三十過ぎたら大体な」
「下士官ですか」
「相当勉強出来なくて仕事が出来なくて風俗に通ってて借金持ってる奴でもな」
 そうしたかなりの人物でもというのだ。
「大体はな」
「三十過ぎたらですか」
「下士官になってるな」
「そんなものですか」
「ああ、三十三までにはな」
「じゃあ三十四とかでもまだっていうのは」
「もうどうしようもない奴だよ」
 先にアブクールが話したそうした人物よりもというのだ。
「だからもうな」
「下士官になる見込みもない」
「最初から下士官の試験受けないとかな」
「いや、それは」
 ハーディンもその話を聞いて眉を顰めさせた。
「もうそれこそ」
「最初からだろ」
「もうどうしようもないだろ」
「そんな人じゃないとですか」
「三十四で兵長とかないからな」
「そうなんですね」
「ああ、後な」 
 さらに話すアブクールだった、ハルークも話を聞いて顔を向けている。
「飲酒運転したりだの憲兵の車蹴飛ばしたりだのな」
「無茶苦茶ですね」
「そのうえで下士官の試験も受けないとかな」
「そうした人じゃないとですか」
「ずっと残らないさ」
「そんなものなんですね」
「何度か命賭けでも戦争に出たらな」
 それならというのだ。
「武勲がなくても功績として評価されてな」
「下士官になれますか」
「そうしたものだぜ、だから相当じゃないとな」
「ずっと下士官になれないとかは」
「ないさ、今のサハラじゃな」
「そうですか」
「ああ、まあそれでも遅いさ」
 一般が下士官になるまでの時間はというのだ。
「御前等補兵士とは違うさ」
「そうですか」
「ああ、どうしてもな」
 現実としてはというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧