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戦国異伝供書

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第百六話 八万の大軍その九

「武蔵じゃ」
「武蔵を完全に手中に収める」
「そうしますな」
「折角扇谷上杉家が滅んだのです」
「それならば」
「武蔵の全てを手中に収め」
 そうしてというのだ。
「それから上野か。しかしな」
「しかし?」
「しかしといいますと」
「里見家は下総を完全に手中に収めんとしておる」
 安房及び上総に勢力を持つこの家がというのだ。
「そのことを考えるとな」
「あの家も厄介ですか」
「それで、ですか」
「あの家と争うやも知れぬ」
「そう言われますか」
「そうやもな、しかしまずは武蔵じゃ」
 何といってもというのだ。
「よいな」
「はい、それではです」
「河越を拠点とし武蔵を完全に手中に収めましょう」
「そうしましょうぞ」
「それではな」 
 戦に勝った氏康は扇谷上杉家の領地だった場所を中心にどんどん勢力を拡大していった、朝定が死に主がいなくなった扇谷上杉家の領地は文字通り草刈り場だった。
 その武蔵を完全に手中に収めてからだった、氏康は小田原城で家臣達を前にしてこうしたことを言った。
「これでじゃ」
「はい、武蔵を完全に手中に収めた」
「それならばですな」
「次は上野ですな」
「山内上杉家を攻めていきますな」
「そうしていく、また下野もな」
 この国もというのだ。
「徐々にじゃ」
「手中に収めていきますか」
「あの国も」
「そうしていきますか」
「宇都宮家の領地は流石に迂闊に手出しは出来ぬが」 
 それでもというのだ。
「他の家の領地はな」
「徐々にですな」
「手中に収めていきますな」
「これより」
「そうする、特に上野じゃ」
 この国だというのだ。
「あの国を完全に手中に収めて上杉家をじゃ」
「あの家をですか」
「攻め取りますか」
「そうしますか」
「その様にしますか」
「そうじゃ、そして上杉家を関東から追い」
 そしてというのだ。
「そのうえでな」
「もう古河公方様はこちらのものです」
「再びこちらについてくれました」
「神輿になって頂いています」
「それならばですな」
「公方様にじゃ」
 その彼にというのだ。
「是非じゃ」
「関東管領に任じて頂く」
「上杉家に替わって」
「そうして頂きますな」
「そうじゃ、そうして当家は名実共に関東の覇者になる」
 関東管領にもなってというのだ。
「大きな勢力を持ちな」
「まさに名実共にですな」
「そうなりますな」
「我等は」
「そうなりますな」
「だからじゃ」
 それでというのだ。 
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