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おぢばにおかえり

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第六十話 朝早くからその二十一

「お酒飲めないわよ、ここ以外ではね」
「あっ、ここ八条町でしたね」
「八条町は町の条例で十六歳から飲めるの」 
 このことは特例とのことです。
「だから私達も飲めるけれど」
「八条町以外ならですか」
「飲めないわよ」
 このことはちゃんと言っておきました。
「そこは気をつけてね」
「じゃあ二十歳になると一緒に飲めるんですね」
「そうだけれど。ただ」
 ここで私がどうしても気に餡ることがあって言いました。
「今私とって言ったわよね」
「はい、今みたいに」
「一緒に飲むの?私と」
「そうしません?」
「別にいいけれど」
 それ位ならと思ってです、私は阿波野君に答えました。
「じゃあ今度ね」
「はい、一緒に飲みましょう」
「それ言ったら今も飲めるけれど」
 この町ならです。
「駄目よ、朝からは」
「はい、わかっています」
「それならいいけれどね」
「じゃあ夜に一緒にですね」
「それも駄目よ」
 私は厳しい顔になって答えました。
「どっちにしても今はね」
「一緒に飲まないんですか」
「お酒自体をね」
「そうなんですね」
「ええ、やっぱり未成年じゃない」
 だからだというのです。
「だから町の条例でよくてもね」
「そうですか、じゃあ先輩が言われるなら」
「いいのね」
「僕もいいです」
「何か私と一緒に飲みたいだけなのね」
「そう思われます?」
「ええ、どうもね」
 本当にそうとしか思えないです。 
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