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ドリトル先生と琵琶湖の鯰

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第十幕その九

「あの人は確かに評判が悪いですが」
「彦根以外ではそうですね」
「はい、ですが」
「それでもですね」
「最初はそうした人ではなかったです」
 佐吉さんは先生に遠い目になってお話を続けました。
「もう世に出ることはないと思ってずっと学問や武芸や芸術に励まれていて」
「埋もれていましたか」
「寂しそうにしている人でした」
「そのことは歴史にある通りですね」
「ですが藩主になられて」
「そしてですか」
「ああなった人で」
 それでというのです。
「道を間違えたんです」
「本来はああなる人ではなかったですね」
「はい」
 実際にというのです。
「藩主になって大老になられて」
「どうも幕府を守ろうと過度に意識して」
「ああなってしまったので」
「ヘンリー八世とは違いますね」
「その人の様まで無道ではないかと」
「僕もそう思います、あの人のしたことは許されることではないですが」 
 安政の大獄でしたことはというのです。
「ですが」
「それでもですね」
「元は世に出られないと諦めて己を高めようと努力しているだけの」
「寂しい人だったとですね」
「僕も思います、道を間違えた人でした」
「そうでしたね、ですが」
 それでもとです、佐吉さんは先生にお話しました。
「先生はよくご存知ですね」
「歴史のこともですか」
「この滋賀県の人達のことも」
「学問が好きなので」
「それで学ばれていますか」
「そうしています」 
 実際にというのです。
「それだけです」
「そうですか」
「そしてこれからも学問はです」
「続けられますね」
「僕の生きがいなので」
 先生は佐吉さんに微笑んで答えました。
「続けていきまして」
「滋賀県のこともですね」
「学んでいくつもりです」
「それもあらゆる学問をですね」
「そうしていきたいです」
「そうですか、応援させて頂きます」
 佐吉さんがそう言うと、でした。
 佐吉さんの後ろにいる他の河童達も笑顔で頷きました。応援しているという返事でした。
「先生のこれからについて」
「そうして頂きますか」
「是非。ではまた機会があれば」
「その時にまた」
「お会いしましょう。では胡瓜と西瓜は」
「楽しんで下さい」
 そちらはと言うお話もしてでした。
 先生達は河童達に胡瓜と西瓜を渡したことを確認したうえで別れました、その後でです。
 先生は波止場を後にしてまた水質調査をして三時にはティータイムを楽しみました。ミルクティーにスコーンとエクレア、苺のケーキの三段のセットです。
 それを楽しむ中で動物の皆は先生に言いました。
「無事にだね」
「ビワコオオナマズも水族館に来てもらったし」
「これでだね」
「安心ね」
「うん、これでね」
 まさにというのです。
「琵琶湖での仕事は終わったよ」
「そうだね」
「あと少しで滋賀県を後にしないといけないけれど」
「ビワコオオナマズも見付かったし」
「これで万々歳ね」
「うん、本当にね」
 実際にとです、先生は紅茶を飲みつつ笑顔でお話しました。先生が一番好きなお茶であるホットミルクティーは今日も美味しいです。 
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