おぢばにおかえり

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。ページ下へ移動

< 前ページ次ページ > 目次

第六十話　朝早くからその十四

「じゃあ宜しくお願いします」
「今お金入れたわね」
「はい、お小遣いから」
「そこまでしてくれたの」
「当然じゃないですか？」
　これが阿波野君の返事でした。
「お参りしたんですから」
「そう言うのね」
「お寺とか神社でもそうですよね」
「お賽銭入れるわね」
「ですから」
　それでというのです。
「それに先輩のお家ですし」
「私のなの」
「そうですよ、まあ普通のことじゃないですか」
「お寺とか神社に行けば」
「それに何といっても」
　私に笑って言うのでした。
「先輩のお家ですから」
「だからなのね」
「はい、しっかりとお参りさせてもらいました」
「私のお家っていうのがね」
「わかりません？」
「何でなのよ」
　思わず首を傾げさせてしまいました。
「いつもそんなことばかり言うけれど」
「いや、何ていいますか」
「全く。まあとにかくお茶やお菓子は用意してるから」
「食べていいんですね」
「勿論よ、遠慮はしないでね」
　私はこの時は素直に笑顔になって言えました。
「それでね」
「食べていいんですね」
「そうよ、どんどん食べてね」
「じゃあ先輩と一緒に」
「私もなの」
「お菓子食べましょう」
　私にこう言ってきました。
「そうしましょう」
「何か私ばかり言うわね」
「だってあれですよ」
　私に笑顔で言うのでした、妙ににこにことしています。

< 前ページ次ページ > 目次

ページ上へ戻る

全て感想を見る：感想一覧

おぢばにおかえり

第六十話 朝早くからその十四

第六十話　朝早くからその十四