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ドリトル先生と琵琶湖の鯰

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第七幕その二

「実は僕もこの通りね」
「悩んでるよね」
「見てわかるよ」
「それじゃあね」
「今もこうして湖に出てるけれど」
「見付かりそうにないね」
「そうだよ、そういえばね」
 ここで先生はこうも言いました。
「ある釣りの漫画でビワコオオナマズが出ていたよ」
「あっ、そうなの」
「じゃあ釣っていたんだ」
「釣りの漫画では」
「うん、その漫画では水鳥を水面まで出て来て襲っていたけれど」
 それでもというのです。
「実際はそんなことがあるのか」
「そう言われるとね」
「ないよね」
「幾ら何でも」
「そう思うよ」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「そうよね」
「幾ら何でもそのお話はね」
「幾ら大きなお魚でも」
「ちょっと日本にそうしたお魚はいないんじゃ」
「鮟鱇より大きくても」
「僕も考えられないから」
 水鳥を襲って食べる様なことはです。
「流石に人は襲わないだろうにしてもね」
「鮫じゃないからね」
「確かにアマゾンにはそこまで大きな鯰いるけれど」
「三メートル位の」
「それでもね」
「ここは日本だし」
「アマゾンはまた特別な場所だからね」
 先生もアマゾンのことはよく知っています、それで皆に対しても落ち着いた表情でこう言えたのです。
「そうした大きな鯰もいるよ」
「もっと言えば鯰だけじゃないしね」
「あそこはアロワナもピラルクもいるし」
「大きくなくてもピラニアやデンキウナギみたいなお魚いるから」
「お魚以外にも凄い生きもの一杯いるから」
「そうしたところと日本は比較出来ないからね」
 自然が違い過ぎるというのです。
「だからお魚も違うよ」
「実際に自然環境全く違うね」
「日本とアマゾンだと」
「アマゾンは熱帯雨林気候だから」
「物凄く暑くて湿気が多くて」
「深い木々が生い茂っていて」
「アマゾン川は海みたいだから」
 動物の皆も言います。
「そんなところと比べるとね」
「日本は違うね」
「本当にね」
「だから住んでいる生きものも違って当然だね」
「環境が違うから」
「日本は川が小さくて流れが急だから」
 日本はこのことから言いました。
「そこにいる生きものはどうしても小さくなるんだ」
「鯉や草魚はいるけれど」
「どちらのお魚も大きいけれど」
「日本の川ってアマゾン川とは比較にならない位小さいから」
「流域面積なんか考えるまでもない位」
「それで山が多いところを流れてるしね」
「川の流れも急だから」
 そうした条件があるからだというのです。
「どうしてもね」
「そこに住むことに適した風になるのが自然だから」
「日本の川魚は小さいね」
「そうなるんだね」
「そう、そして琵琶湖はその日本の中でも一番大きな湖で」
 それでと言う先生でした。
「広くて流れも穏やかだね」
「それでビワコオオナマズもいる」
「そういうことね」
「要するに」
「それでここにいるんだ」
「うん、ただ天然記念物にされているだけにね」
 そのビワコオオナマズはというのです。 
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