| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十五部第五章 宣戦布告その十七

「人はおかしくなるのかもな」
「その時点で、ですか」
「独裁者を見ていますと」
「自分を絶対者と思ってしまう」
「神の様だと」
「中には完全な神権国家にさえなっている国もあった」
 北朝鮮がそうであった、独裁者が自己の神格化に躍起になりその結果人類史上かつてない恐ろしいまでの独裁国家になりそうもなったのだ。
「世襲の共産主義になりな」
「有り得なかった筈ですが」
「共産主義で世襲なぞ」
「それでは王制です」
「共産主義は階級を否定しています」
 言うまでもなく君主や貴族を否定していた、彼等は資本家と同じく労働者と農民に打倒される存在であった筈なのだ。
「それで世襲なぞ」
「有り得ないです」
「最早共産主義ではないですが」
「その時点で」
「そして神も否定していたが」
 共産主義は宗教も否定していた、聖職者という非生産階級も否定していたしマルクスが無神論者だったからだ。
「しかしだ」
「皮肉なことに独裁者がですね」
「神になってしまっていた」
「それも生き神に」
「無謬の存在になっていましたね」
「だから従わねばだ」
 そうした者達はというのだ。
「粛清された」
「容赦なくですね」
「そうなっていましたね」
「そして多くの犠牲者も出て」
「何の制御も受けませんでしたね」
「そうなっていた、そうなればだ」
 絶対の独裁者が君臨する国家になればというのだ。
「国家はどうなるか」
「その独裁者次第になる」
「一切ブレーキが効かなくなる」
「人が己を神と思えば」
「その時には」
「そしてだ」
 さらに話すアッディーンだった。
「人は所詮人だな」
「完璧ではない」
 こう言い切ったのだった。
「過ちを犯す」
「アッラーと違い」
「どうしてもそうなってしまいますね」
「だからこそ人は法の下でコントロールを受けねばならない」
「アッラーの下で」
「そうである筈だが」
 しかしというのだ。
「神を忘れるとだ」
「そうなる可能性もありますね」
「過去の独裁者達を見れば」
「そうもなってですね」
「国家としても危うくなるのですね」
「そう思う、私はな」
 幕僚達に確かな顔で話した。
「人は人でありだ」
「神ではない」
「そして神を忘れ自らが神を思う様になれば」
「そこから恐ろしい過ちがはじまる」
「そうしたものですね」
「そうした独裁者が出た国は滅んでいる」
 人類の歴史上というのだ。
「全てな、だからな」
「それで、ですね」
「人は常に気をつけ」
「神を意識せねばならないですね」
「皇帝であっても人だ」
 それ故にというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧