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星河の覇皇

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第七十五部第五章 宣戦布告その十四

「自分で勝手に焦り勝手に判断し勝手に動き勝手に事態を破壊する様ではな」
「まさに敵ですね」
「味方である以上に敵ですね」
「そうした輩ですね」
「そこまで無能な味方は有能な敵を遥かに凌駕する」
 自軍を危機に陥れるという点においてだ。
「だからだ」
「最初から指揮官にも参謀にしていない」
「左様ですね」
「そして将校にもですね」
「任じていませんね」
「下士官にすらだ」
 実際に軍で重要な役割を果たす彼等にもというのだ。
「任じていない、兵士ならだ」
「即座にですね」
「その場で辞めさせる」
「そして酷い場合は軍事裁判ですね」
「将校や下士官でも軍事裁判にかけるが」
 しかしというのだ。
「兵士の時点ではわからない場合もあるからな」
「どうした者かはですね」
「下士官は兵士として戦っていく中でわかる」
「士官は士官になるそれなりの歳月の教育の中でわかる」
「どういった者か」
「どうしようもない者は辞めさせるしかない」
 それしか手がないというのだ。
「配置替え、職種替えでどうにかならないまでの輩はな」
「そうしてどけてですね」
「こちらの失策の要素をなくす」
「そのうえで戦いを進めていく」
「そうしていってきていて」
「これからもですね」
「どうしようもない者は私の名において行うのだ」
 国家元首の名においてというのだ、つまり軍の最高司令官である。この立場が軍でどういったものであるかは言うまでもない。
「どうしようもない輩はその場で更迭だ」
「取り返しのつかないことをする前に」
「一兵士であってもですね」
「そうしますね」
「そうするのだ、無能な味方は有能な敵より恐ろしい」
 その取り返しのつかない失策をしでかす輩はというのだ。
「しかもそれも一度でもだ」
「やればですね」
「その時はですね」
「しようとした時点で」
「その場でするのだ、これがソ連軍ならな」
 二次大戦中のこの軍ではというと。
「知っているな」
「はい、逃げようとするだけででした」
 ハルヴィシーが応えて言ってきた、この軍は自分達にとって少しでも役に立たないと思った者どころか退こうとした者達に対してすらだ。
「撃っていました」
「後方に督戦隊を置いてな」
「そうして無理にでも突撃させていましたし」
「軍の司令も何かあればだ」
 政府もっと言えばソ連の独裁者スターリンにとって好ましからざると思った人物とみなされればというのだ。
「粛清だ」
「政治将校がスターリンに報告し」
「即座にそうなっていた」
「有能でも無能でもでしたね」
「スターリンがそう思えばだ」
 まさにそれだけでだ、無能で役に立たないとみなされた司令官は銃殺され有能でスターリンの地位を脅かすと思われれば粛清される。そうなっていたのだ。
「それでだ」
「終わりでしたね」
「そうだった、兵士もだ」
「地雷原を歩かせたり砲撃が行われる場所に突撃させる場合でも」
「退こうとすればだ」
 その時はだ。 
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