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星河の覇皇

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第七十五部第五章 宣戦布告その十二

「後方に既にかなりの物資が蓄積されている」
「その物資を使い」
「逐次各軍に送り」
「そうしてですね」
「進撃していきますね」
「サマルカンドまでな、サマルカンド攻略が最大目標だが」
 ここでこうも言ったアッディーンだった。
「しかしだ」
「攻略出来ずともですね」
「勝敗が決した状況にまで勝利を重ね」
「そしてサマルカンドを確実に攻略出来る状況にする」
「次の攻勢の時には」
「そうする、敵の国境を破ればだ」
 その防衛ラインをというのだ。
「後は激流となって攻め入る」
「激流ですね」
「そうだ」
 シンダントに対しても答えた。
「そうなってだ」
「バルバロッサ作戦のドイツ軍の様に」
「それも予定通りのな」
 本来のというのだ、実はこの作戦でドイツ軍は三月に攻勢を開始する予定だったのだ。それがイタリアのギリシア侵攻をフォローした結果三ヶ月遅れてしまいそれからの作戦にも影響を与えてしまったのだ。
「そして私はヒトラーと違う」
「キエフ攻略に時間をかけず」
「レニングラードもだ」
 ドイツ軍は結局攻略しなかったこの街もというのだ。
「攻略する、そして何よりもな」
「モスクワをですね」
「攻略する」
 そうするというのだ。
「予定通りにな」
「あの時ドイツ軍はモスクワまで迫りましたが」
 あと八キロ、まさに見える距離まで来た。
「しかしだ」
「それがでしたね」
「冬に阻まれた」
 ロシアの冬、あまりにも厳しいそれにだ。
「三ヶ月の遅れが致命傷になった」
「そうなりましたね」
「そうだった、だがこの作戦は予定通りはじまり」
「そしてですね」
「サマルカンドもだ」
 モスクワではなくこの街はというのだ。
「迫りそしてだ」
「シャイターン主席が降らないのならば」
 そのサマルカンドを攻略する時にだ。
「その時はですね」
「攻略する」
 まさにというのだ。
「そうする」
「作戦計画通りですね」
「サマルカンドを攻略すればだ」
「もうティムールに勝利はないですね」
「後は僅かな星系しかない」
 即ち領土がだ。
「何ということはない、それまでに戦力を多く失っているだろうしな」
「徹底抗戦を選ばれない限りはですね」
「我々の勝利となる」
「では」
「何としてもだ」
「あの星系をですね」
「攻略する」
 そうするというのだ。
「いいな」
「わかりました、では」
 シンダントはアッディーンのその言葉に頷いた。
「私にしても」
「そうする、しかしだ」
 アッディーンは勝利のケースだけでなくもう一つのケースも話した。
「若しも私が敗れる」
「そしてですね」
「ティムールが攻勢に移れば」
「その時はですね」
「どうするかはですね」
「これも作戦通りだ」
 その場合に計画している通りにというのだ。 
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