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星河の覇皇

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第七十五部第五章 宣戦布告その一

                宣戦布告
 アリーの中にある自身の執務室においてだ、アッディーンは自分に送られてきた文章を見て確かな声で送ってきた首相府の高官にテレビ電話から言った。
「よしだ」
「それではですね」
「この文章を読んでだ」
 そうしてというのだ。
「戦線布告としよう」
「そうされますか」
「いよいよ国境に着く」
 アッディーンと彼が率いる近衛艦隊がというのだ。
「それと同時にだ」
「はい、そしてですね」
「宣戦布告の文章を読む」
 必ずというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「いよいよ開戦となる」
「わかりました、では我々は」
「バグダートにおいてだ」
 オムダーマンの新首都にして将来サハラ統一帝国の帝都となるこの星系においてというのである。アッディーンはその高官に言った。
「いいな」
「職務にですね」
「専念してもらう」
「今現在議会は軍事費の審議に入っていまして」
「来年度のだな」
「不安の声が出ていますが」
 交換はアッディーンにこのことを話した。
「少ないのではないかと」
「戦争中だというのだな」
「はい、有事の際の軍事費としては」
 アッディーンが出したそれはというのだ。
「より多くあるべきではと」
「来年も戦争が行われていればな」 
 それならとだ、アッディーンは高官に答えた。
「より多く必要だ、しかしだ」
「来年度はですか」
「戦争は終わっている」 
 そうなっているというのだ。
「統一によってな」
「だからですな」
「軍事費はそのままでいい」
 アッディーンの言った通りにというのだ。
「それでな」
「だから議会の議論は」
「杞憂だ、下院での議論だな」
「はい」
 それだとだ、高官も答えた。
「左様です」
「その下院の議論は当然だ、むしろだ」
「議論がないとですか」
「駄目だ」
「大統領が出された予算でも」
「私が皇帝になってもだ」
 その時もというのだ。
「私が予算案を出してだ」
「それに審議が行われず通るなら」
「それは駄目だ」
 そうだというのだ。
「私の政策も神聖にして不可侵のものではない」
「皇帝であろうとも」
「皇帝の地位はそうであってもだ」
「その政策はですか」
「議会はその為にあるのだ」
 政策を審議するものだというのだ。
「だからだ」
「それで、ですか」
「審議はいい、そしてそもそも皇帝はだ」
「非情の時でないとですね」
「動くものではない」
 政策を出すべきではないというのだ。 
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