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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

作者:sorano
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第101話

同日、AM11:00――――――



”トリスタ占領作戦”が始まってメンフィル帝国軍本陣が侵攻を開始すると、トリスタを防衛を任されているエレボニア帝国正規軍が迎撃をしていた。



~トリスタ街道~



「――――――」

「な、何なんだあの人形達は……!?」

メンフィル帝国軍が先陣にゴーレムの軍団を進撃させている中、エレボニア正規軍は初めて見るゴーレムの軍団に困惑していた。

「総員、まずはあの謎の人形達を砲撃で殲滅せよ!――――――戦車(アハツェン)、一斉砲撃!!」

「イエス・サー!!」

困惑していた正規軍はすぐに気を取り直し、戦車(アハツェン)の部隊はゴーレムの軍団に次々と砲撃を行った。砲撃が命中したゴーレム達は砲撃によるダメージと衝撃で一時的に足は止まったが、結社の人形兵器のように命を宿していないゴーレム達は痛みを感じない為、すぐに立ち直って進軍続けた。

「何なんだよ、奴等は……!?」

「砲撃が命中しているのに、何故それを気にせず進軍し続けられるんだ……!?」

一方正規軍は痛みを気にせず進軍し続けているゴーレムの軍団に恐怖を抱いていた。そして一部のゴーレムの部隊が最前列に位置する戦車の部隊に到着すると巨大な腕を振り下ろした。

「――――――」

「う、うわあああああああ……ッ!?」

「ぐああああああ……っ!?」

ゴーレム達の攻撃を受けた戦車(アハツェン)は一撃で破壊され、戦車を操縦していた軍人達も戦車が破壊されると絶命した。



「おのれ……っ!――――――空挺部隊、援護射撃で奴等の足を止めろ!機甲兵部隊は奴等の足が止まっている間に接近して止めを刺せ!」

「イエス・サー!!」

それを見た司令官は新たに指示を出した。すると正規軍の空挺部隊はゴーレムの軍団に向かって怒涛の射撃を放ってゴーレム達の足を止めさせ、その間に接近した機甲兵達が次々とゴーレム達を破壊した。

「よし――――――次はこちらの番だ!戦車(アハツェン)部隊、敵軍の陣地に一斉砲撃せよ――――――」

ゴーレムの軍団を全滅を確認した指揮官が口元に笑みを浮かべた後新たなる指示を出したその時

「充填完了。攻撃開始。」

正規軍がゴーレムの軍団に気を取られている間に魔導砲のエネルギーの充填を完了したシェラ率いる機工軍団は砲撃を行い、機甲軍団の砲撃は戦場を轟かせる大爆音と共に業火と爆発が一瞬で敵兵を飲み込み、機甲兵や戦車をも跡形もなく吹き飛ばした!



「なあっ!?」

「う、うわああああああああっ!?」

「ま、まさか………先程の部隊は今の砲撃の準備を稼ぐための”時間稼ぎの部隊”だったのか……!?くっ……だが、あれ程の威力の砲撃、連射はできまい!――――――空挺部隊、先程の砲撃を行った部隊に近づき射撃せよ!地上の部隊はその間に接近して乱戦に持ち込め!!」

メンフィル軍の遠距離砲撃を受けた事によって正規軍の軍人達が一瞬で多くの仲間達が死んだ事に混乱したり、驚愕している中司令官はメンフィルの考えを悟った後すぐにその対策の為の指示を出したが

「―――――”2発目の砲撃を撃たせない為に空挺部隊に時間を稼がせて地上の部隊を接近させて乱戦に持ち込む。”その程度の対策、読まれていないとでも思って?――――――バリスタ部隊、一斉射撃始め!目標は敵軍の空挺部隊!」

「イエス・マム!!」

その場で杖を構えて魔力を杖に溜めていたセシリアが静かな表情で呟いた後指示を出し、セシリアの指示によってメンフィル帝国軍の移動式の大型弩砲(バリスタ)の部隊が人の数倍以上はある極太の矢を設置した後数人がかりで弦を引き絞って解き放ち、解き放たれた矢はメンフィル帝国軍に近づこうとしていた空挺部隊に命中すると飛行艇に巨大な風穴を空けた!

「なあっ!?エ、エンジンが……!」

「め、女神様――――――ッ!!」

風穴が空いた飛行艇は次々と地面に落下して爆発を起こして中にいる軍人達を絶命させ

「――――――降り注げ、流星!小隕石召喚!!」

「余の力の一端、思い知るがいい!―――――――ルン=アウエラ!!」

「う、うわあああああ……っ!?」

「ぎゃああああああああ……っ!?」

「隕石の雨だとぉっ!?」

更にセシリアが発動した魔術によって空を飛んでいる飛行艇の部隊よりも更に上空から降り注ぐ隕石の雨、そしてリフィアが発動した魔術によって発生した超越した大爆発によって空挺部隊は次々と撃墜され続けた。



「何なんだ……何なんだ、奴等は……!?既存の戦術がほとんど効果を示さず、未知の存在や攻撃手段!挙句大型弩砲(バリスタ)のようなあまりにも時代遅れな兵器で近代兵器である飛行艇を落とす等ありえん!これがかつて”百日戦役”で我らエレボニアを蹂躙したメンフィルの”力”だというのか……!?」

次々と撃墜され続ける空挺部隊を見た指揮官は呆然とした後信じられない表情で声を上げた。するとその時空から何かの駆動音が聞こえてきた。

「?この音は一体………な――――――」

「”紅き翼”……いや、違う!?」

「一体何なんだあの飛行艇は……!?」

聞こえてきた音に眉を顰めた司令官が空を見上げるとレヴォリューションが戦場に姿を現し、それを見た正規軍は驚いたり困惑していた。



「エレボニアの兵達よ、わたくしの声が聞こえていますか?」

「い、今の声は……!?」

「ま、まさか……」

「ア、アルフィン皇女殿下……!?」

レヴォリューションから聞こえてきたアルフィンの声を聴いた正規軍はそれぞれ血相を変えた。

「この戦争に”大義”等最初から存在していません!お父様――――――ユーゲント三世の銃撃事件も、アルスター襲撃事件も全てオズボーン宰相達エレボニア帝国政府の(はかりごと)によるものである事はアルノールの名において証明します!オズボーン宰相達はお父様が倒れられた後わたくし達アルノール家の者達に相談もせずに戦争する事を決めた挙句”焦土作戦”という内戦で傷ついた自国の民達に更に追い打ちをするというあまりにも許されざる暴挙を行いました。わたくし達アルノール皇家はメンフィル帝国もそうですが、クロスベル帝国との和解を心から望み、また冤罪を押し付けたリベール王国にも帝国政府のあまりにも愚かな所業を謝罪し、償いをする事を心から望んでいます!貴方達が真にエレボニアを思うならば今すぐメンフィル帝国軍に降伏し、トリスタを引き渡しなさい!」

「お、皇女殿下……」

「ううっ……」

レヴォリューションから聞こえるアルフィンの意志と指示を聞いた正規軍は士気を下げたり、複雑そうな表情を浮かべていたりしていた。



「―――狼狽えるな、兵達よ!ヴァイスラント新生軍――――――反逆者達を率いる立場となり、憎きメンフィルに尻尾を振る皇女殿下は今のエレボニアにとっては”裏切者”だ!我等は帝国軍人として、帝国を守る為に、そして皇帝陛下への忠義を捧げる為にも例え相手が皇女殿下であろうと討ち取るのだ!!」

「し、司令!?」

「い、幾ら何でも皇女殿下を討つ事は皇帝陛下を始めとしたアルノール皇家の方々の怒りを買うのでは……!?」

「そ、それに皇女殿下は内戦終結に大きく貢献された方ですよ……!?そのような人物を皇家の方々の許可もなく討つ事はあまりにも……!」

”呪い”による瘴気に包まれていた司令官は憎悪の表情を浮かべてレヴォリューションを睨んで軍人達に指示をし、軍人達は司令官の指示に困惑していた。



~レヴォリューション・甲板~



「やれやれ……やはり、リィンやレン皇女殿下が想定していた通り、自国の皇女の主張を聞いてもなお降伏をする意思はなさそうだな。」

「仮にも”至宝”と呼ばれて慕われていて、しかも内戦の終結に大きく貢献した名声もある自国の皇女を躊躇う事なく”討つ”事を指示できるなんて、あれが例の”呪い”による効果なのか?だとしたら話に聞いていた以上にヤバい存在のようだな、”巨イナル黄昏の呪い”は。」

「ええ……そしてそれを理解していてもなお、降伏を呼びかけるアルフィン皇女殿下には脱帽するわね。」

一方甲板に飛行できる騎獣に跨った騎士達が集結していつでも戦場の上空に飛び立てるように待機している中、甲板から状況を見下ろしていたローレンツは溜息を吐き、真剣な表情で呟いたクロードの意見に頷いたイングリットは静かな表情でアルフィンを思い浮かべた。

「そうだな…………ならば我々はせめて連中の中から一人でも多くかつ少しでも速く投降者が出るようにこの戦いをさっさと終わらせてやろうじゃないか。クロード、まずは皇女殿下がどんな気持ちを抱いて僕達と共に戦っているかを理解しようともしないあの愚かな司令官をこの世から退場させてやれ。」

「了解。――――――そらよっと!」

イングリットの言葉に頷いた後に指示をしたローレンツに指示に頷いたクロードは自分の傍にあったレヴォリューションの甲板に防衛戦用に備え付けているスコープ付きのボウガンで司令官に狙いを定めた後ボウガンから矢を放った。すると放たれた矢は司令官の額に刺さった!



~トリスタ街道~



「え――――――い、一体何が起こっ……」

額に矢が突き刺さった司令官は呆然とした表情を浮かべながら絶命して地面に倒れ

「し、司令――――――ッ!?」

「”矢”という事は……”弓矢の狙撃”だと!?一体どこから”狙撃”したんだ……!?」

司令官の突然の死を見た正規軍は混乱していた。



「――――――今だ!総員、突撃開始!」

「側面から敵陣に食らいついて敵陣を混乱に陥れろ!」

「地上戦の”華”たる騎馬隊の底力、”黄金軍馬”を掲げる敵軍に思い知らせてやれ!!」

「オオオォォォォォォ――――――ッ!!」

「な――――――」

「側面から騎馬隊による奇襲だと!?」

その時ディミトリ、ドゥドゥー、フェルディナントが号令をかけて敵陣の側面から敵陣に向かって突撃し、ディミトリ達の奇襲に気づいた正規軍は驚いた。

「クロード隊、出陣!ローレンツ隊とイングリット隊と連携して敵軍の空挺部隊を殲滅するぞ!」

「ローレンツ隊、出陣!”空の王者”の異名にかけて戦場の空を僕達で制してやれ!!」

「イングリット隊、出陣()ます!皇女の身でありながら祖国に降伏を呼び掛けたアルフィン皇女殿下の想いを無下にした愚か者達にその愚かさを思い知らせなさい!」

「イエス・サー(マム)!!」

更に甲板に待機していた飛行部隊も次々と空へと舞い上がって敵陣の空挺部隊へと向かった。



「総員、近接戦用意――――――突撃。」

「第1騎馬隊~第10騎馬隊、突撃開始!灰獅子隊と連携し、敵陣を殲滅しなさい。ただし、降伏を申し出れば即座に攻撃を中止し、武装解除並びに捕縛に留めなさい!」

「オオオォォォォォォ――――――ッ!!」

更にメンフィル帝国軍本陣からも機甲師団と半数の騎馬部隊がシェラとセシリアの指示によって敵陣への突撃を開始した。一方ディミトリ達とクロード達が出撃するとレヴォリューションは戦場から離れてトリスタ方面へと向かった。



~トールズ士官学院・裏口方面~



「なっ!?紅き翼とよく似た灰色の飛行艇……という事はあれが先程の報告にあった……!」

「メンフィルが開発したと思われる飛行艇か……!」

「くっ……街道とは別ルートによる奇襲で士官学院、そしてトリスタを占領してトリスタで戦っている戦友達を挟撃するつもりか……!」

トールズの裏口を防衛していた部隊はトールズに近づいてきたレヴォリューションを見つけると驚いた後レヴォリューションを警戒していた。するとリィン達が転位魔術によって戦場に姿を現し、レヴォリューションはその場から去った。

「なっ!?軍隊が突然戦場に……!?」

「くっ……先手必勝だ!幸い奴らに戦車と言った”兵器”は存在しない!生身の奴らにとっては対抗手段が存在しない機甲兵で奴らを殲滅せよ!」

「イエス・サー!!」

リィン達の登場の仕方に驚いた正規軍だったがすぐに気を取り直し、機甲兵の部隊がリィン達に突撃した。



「エーデルガルト隊、突撃してくる機甲兵達の攻撃を受け止めるわよ!」

「プリネ皇女親衛隊の重騎士達もエーデルガルト隊と共に機甲兵達の攻撃を受け止めなさい!」

「イエス・マム!!」

敵の行動を見たエーデルガルト隊の重騎士の部隊とプリネの親衛隊の重騎士達はエーデルガルトとツーヤの指示によって前に出て防御態勢を取り

「魔術師達は物理防御を高める支援魔術やアーツで重騎士達の守りを固めてください!――――――戦場の(つわもの)達に(いくさ)の加護を!覚醒領域の付術!!」

「イエス・マイロード!!」

プリネは魔術師達に指示をした後支援魔術をエーデルガルト達に付与し、魔術師達も次々と魔術やアーツを放って防御態勢を取っている重騎士達の防御力を高めた。そしてリィン達に近づいた接近戦用の武器を持つ機甲兵達は重騎士達に向かって武器を振り下ろし、銃を持つ機甲兵達は重騎士達に向かって銃撃したが――――――

「バ、バカな……っ!?」

「たった数人で、それも生身で機甲兵の攻撃を受け止めるだとぉっ!?」

「くっ……何で銃が効かないんだ!?」

何と重騎士達は数人がかりで機甲兵達の攻撃を大楯で受け止め、更に銃撃に対しては大盾で完全防御していた。その時、レジーニアとルシエルが猛スピードによる飛行で銃を持つ二体の機甲兵へと向かい

「真っ先に”殲滅対象”にされる可能性が高い遠距離攻撃手段を持つ味方に護衛もつけないとは、あまりにも愚かです。――――――唸れ、大地の剣――――――闘土!!」

「まあ、人間の身では”兵器”に有効なダメージを与える事ができないという”過信”が一番の原因だろうな。あたしの研究を邪魔する悪に正義の鉄槌を――――――裁きの神槍!!」

「ぎゃああああ……っ!?」

「ガフッ!?て、”天使”……だ……と……っ!?」

ルシエルは双剣に地属性の魔力を宿して機甲兵の操縦席があるヘッドに双剣を振るって凄まじい衝撃を与えると共に操縦席にいる軍人を切り裂き、レジーニアは魔術で光の大槍を頭上に召喚した後もう一体の機甲兵のヘッド目掛けて放ち、放たれた光の大槍は操縦席にいる軍人の腹に巨大な風穴を開けて軍人を絶命させた。



「燃え盛れ………龍炎撃!!」

「炎よ、我が剣に集え――――――集炎!!」

「十六夜―――”突”!!」

「邪を切り裂く光よ、煌めけ―――――――――昇閃!!」

「爆ぜなさい――――――プロミネンスショット!!」

「な――――――」

「え――――――」

「がふっ!?」

「な……あ……っ!?」

「ぎゃああああああ……っ!?」

更に重騎士達が攻撃を受け止めている間にそれぞれの得物に炎を宿したリィンとプリネが跳躍して一刀両断し、ツーヤは抜刀による斬撃波で操縦席にいる軍人ごとヘッドを貫き、メサイアは光を宿した聖剣による袈裟斬りでヘッドを袈裟斬りにして操縦席にいる軍人を斜めに両断し、ステラは着弾すると大爆発を起こす強力な弾丸をヘッド目掛けて放って大爆発を起こしてそれぞれ機甲兵を無力化すると共に機甲兵を操縦していた軍人達を絶命させた。

「なああああああああ……っ!?生身で機甲兵の攻撃を受け止める所か、機甲兵ごと操縦者を撃破するだと!?この”化物”どもが……っ!」

「フフ、むしろ”化物”はメンフィル(わたしたち)にとっては誉め言葉よ――――――鉄砕刃!!」

「ぁ――――――」

唯一残っていた機甲兵を操縦している軍人は一瞬でやられた機甲兵達のなれの果てを見て驚いていたが、不敵な笑みを浮かべたエーデルガルトが跳躍と共に豪快な一撃をヘッドに叩き込むと、軍人はヘッドごと一刀両断されて絶命した!



「リ、リィンさん達、生身で機甲兵を撃破したわよね……!?」

「フフッ、生身で兵器を破壊するという非常識な出来事、敵軍にとっては”悪夢”のような出来事なのでしょうね♪」

「当り前よ……常識で考えれば、生身で兵器を破壊するなんてありえない出来事だもの……」

「リィン少将達に限らず、父上達も先程のような事は可能だろうな。”ヴァンダールの剣士”である僕もいつかはリィン少将達や父上の”領域”に辿り着かないとな……!」

リィン達の活躍を見ていたアルフィンは信じられない表情で声を上げ、微笑みながら答えたミュゼの言葉にエリスは疲れた表情で答え、クルトは真剣な表情でリィン達を見つめた。

「なぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「な、生身で機甲兵の攻撃を受け止めたどころか、機甲兵ごと操縦者を殺害するだと……!?」

「ば、”化物”……!」

「そ、それに”天使”までメンフィルにいるとかどうなっているんだ……!?」

一方裏門を守っている軍人達は機甲兵達の撃破を見ると驚愕し

「クッ……司令部、応答せよ!こちら、裏門防衛部隊!敵軍の別働隊によって機甲兵達が全て撃破された!援軍を要請する!」

軍人達を率いている隊長は通信機を取り出してどこかに通信をした。

「……こちら、司令部!現在、空より敵の別働隊による襲撃を受けている為、援軍を出す事は厳――――――ぐぎゃあああああ……っ!?」

「なっ!?更なる別働隊だとぉ!?」

しかし通信機から返ってきた予想外の答えと断末魔を聞いた隊長は驚いた。



「どうやらあの者がこの部隊を率いる者のようですね、ならば――――――貫け、正義の鉄槌!神槍!!」

通信をしている様子の隊長を見たルシエルは魔術によって発生した光の槍を隊長目掛けて放った。

「え――――――ガフッ!?バ、バカな………」

「隊長――――――ッ!?」

すると放たれた光の槍は隊長の心臓を貫いて隊長を絶命させ、それを見た軍人達は混乱し

「――――――敵将、リィン隊所属能天使ルシエルが討ち取りました!」

「オオオォォォォォォ――――――ッ!!」

隊長の絶命を確認した後に利き腕を空へと掲げたルシエルの宣言にメンフィル軍は士気を高めた。

「総員、突撃!動揺している敵軍の隙を見逃すな!」

「イエス・コマンダー!!」

そしてリィンの号令を合図にメンフィル軍は突撃し、裏門を防衛している正規軍をまさに”蹂躙”して正規軍を殲滅した後裏門を超えてグラウンドに出るとそこには驚愕の光景があった。



~グラウンド~



「こ、これは一体……!?」

「恐らく僕達とは別の部隊が士官学院を襲撃して、彼らを殲滅したと思われますが……」

「別働隊という事はデュバリィさん達によるものなのでしょうか……?」

「いや――――――先程裏門を防衛する部隊を破った時に裏門を突破した事をデュバリィさんに連絡したが、デュバリィさんからは『現在、別ルートを通っての旧校舎に到着した為、士官学院内の制圧を開始する』との事だから、デュバリィさん達によるものじゃない……!」

リィン達がグラウンドに突入すると機甲兵の残骸やエレボニア帝国の正規軍の死体が散乱しており、それを見たアルフィンは驚き、真剣な表情で呟いたクルトの推測にエリスが困惑の表情で推測を口にすると、リィンが厳しい表情を浮かべてエリスの推測が間違っている事を答えた。

「どうやら、今回の作戦も黒の工房の支部の件同様なんらかの”想定外(イレギュラー)”が発生したようですわね。――――――その証拠に、新たなる異世界からのゲストもいらっしゃっているようですし。」

「あれは………!」

真剣な表情で自身の推測を答えたミュゼはある事に気づくとその方向に視線を向け、ミュゼが視線を向けた方向にある光景――――――満身創痍の状態で地面に倒れている十数人の様々な天使達を見つけたステラは驚いた。



「なっ!?ま、まさか貴女達は……!」

するとその時血相を変えたルシエルが地面に倒れている天使達に急いで近づき

「ぁ……ルシ……エル……さま……」

「よくぞ……ご無事で………」

「!!そ、そんな……!?という事は生き残っていた貴女達までわたくしのようにこの世界に……!?」

満身創痍の天使達はルシエルに気づくと安堵の表情を浮かべ、その様子を見たルシエルは信じられない表情を浮かべた。



「……もしかして、彼女達はルシエルの部下の天使達か?」

その時ルシエルに近づいたリィンは真剣な表情でルシエルに訊ね

「……はい………彼女達は恐らくわたくしが討たれてからもなお、生き残って抵抗していたわたくしが率いていた部隊に所属していた天使達なのでしょう……まさか彼女達までわたくしやレジーニアのように異世界移動するなんて……いえ、それよりも彼女達の傷を回復させる事が先決です……!リィン少将、軍事作戦中に誠に勝手なお願いとは思われますが――――――」

「それ以上は言わなくてもわかっている。エリス、ミュゼ、アルフィン、メサイア、レジーニアはそれぞれ治癒魔術やアーツ、クラフトで倒れている天使達の傷の回復を頼む!」

「「「「はいっ!!」」」」

「了解した。」

リィンの疑問に辛そうな表情で頷いて答えたルシエルは決意の表情を浮かべてリィンにある嘆願をしようとしたが、ルシエルが何を嘆願しようとしていることを悟ったリィンはエリス達に指示をし、指示をされたエリス達はそれぞれ天使達に駆け寄って治癒魔術やアーツで傷の手当てを始めた。

「……貴方の慈悲に心から感謝致します、リィン少将……!」

「この想定外(イレギュラー)の状況に関して彼女達にも聞きたい事があるから、当然の事をしたまでさ。――――――それよりもせっかく生き残った仲間達と再会できたのだから、ルシエルも彼女達の回復を優先してあげてくれ。」

「はい……!」

涙を流しながら頭を下げてリィンに感謝の言葉を述べたルシエルはリィンに天使達の回復を優先させることを指摘されるともう一度リィンに頭を深く下げた後エリス達のように倒れている天使達にかけよって治癒魔術をかけ始めた。



「それにしても、彼女達は一体いつ、どの勢力による攻撃を受けてあんな状態になったのでしょうね……?」

「ルシエルさんが現れた状況を考えると、普通に考えればルシエルさんが戦っていた勢力に敗北した状態で異世界移動をさせられたのだと思われるのですが……」

「ただ、その場合彼女達がこの場に現れた際に正規軍によって拘束されるか”止め”を刺されていますよね?」

「……恐らくだけど、私達も想定していない”第三の勢力”がグラウンドにいた正規軍を殲滅したのでしょうね。問題はその目的だけど………」

天使達の傷の手当をしている様子のエリス達を見守りながら呟いたエーデルガルトの疑問に考え込みながら答えたステラの推測にツーヤは戸惑いの表情で指摘し、プリネは真剣な表情で考え込んでいた。

「ルシエル様……お気をつけください……”飛天魔”達がまだ……近くにいるはずです……!」

「”飛天魔”ですって!?」

一方治癒術で天使達の一人である”ヘルテ種”の天使の傷の手当てをしていたルシエルは呻きながら呟いた天使の忠告を聞くと血相を変えた。

「フム……不可思議な甲冑を操る人間の軍隊、それとは別の天使達の部隊の次は人間と魔族、そして天使の混合軍か。」

「な――――――」

するとその時リィン達の頭上から初めて聞く女性の声が聞こえ、声を聞いたリィン達が周囲を見回している中空を見上げたクルトは自分達の頭上の光景―――――ファーミシルスと同じ種族である”飛天魔族”の部隊とベルフェゴールと同じ最上位睡魔族にして女王種である”リリエール”の部隊が滞空してリィン達を見下ろしている様子を見つけると絶句した―――――― 
 

 
後書き
今回の話で予告していた新たなる使い魔キャラの一人はわかった人もいるかと思いますw



創の軌跡は現在チャプター3に入ったばかりですが……とりあえず、C、正体バレ速すぎィッ!と思いましたwwまあ、Cの正体は予想していたとはいえまさかのキャラで、しかも主人公キャラに昇格という青天の霹靂の出来事にマジで驚きましたが。というか、察しのいい人達なら戦闘時のCの構えやあるクラフトの動作で既に気づくと思うのですが(汗)後OP、これ手抜きじゃね?と思ったのは私だけですかねぇ?まあ、イース9のようにOPないよりはマシですが……… 
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