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星河の覇皇

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第七十五部第四章 慧眼その三十二

「アッシリア帝国は徹底した殲滅を行いました」
「他民族、他国家にな」
「それは後々他民族、他国家の憎悪を買いアッシリアは最後は滅ぼされてしまいました」「
「彼等自身が徹底的な殲滅を受けてな」
「そして後のペルシャは全く逆の政策を行いました」
 そのアッシリアのだ。
「他民族に対して極めて融和的な政策を行い」
「多くの民族がペルシャに従ったな」
「そしてローマ帝国もです」 
 この時代でもエウロパの基盤とされているこの国もというのだ。
「多くの民族に対して融和的でした」
「基本的にな」
「確かに敵対する民族には徹底的に攻撃を行ったこともありました」
 カルタゴやユダヤ等にだ、カルタゴとの三回に渡る戦争ではカルタゴを徹底的に破壊したりもしている。
「他文化も受け入れていましたし」
「少なくともアッシリアより遥かに寛容だったな」
「そうでした」
「それはイスラムもモンゴルもだったな」
「世界帝国というだけあり」
 その名ふ相応しくというのだ。
「多くの民族をその中に置き」
「その民族の文化や信仰を認めていたな」
「有能であれば高官に取り立てることもしていました」
「モンゴルは特にだったな」
「あの国は確かに敵には苛烈でした」
 街を破壊し尽くし人も殺し尽くした、そこに一切の容赦はなかった。
「しかしです」
「従う民族には寛容だったな」
「南宋の民衆に対してもです」
「その数の多さからの勢力の大きさを警戒し高官にはしなかったが」
「その文明や文化、信仰には一切です」
 それこそまさにというのだ。
「破壊や迫害を行いませんでした」
「道教も仏教も残ったな」
「他の文化も」
 勿論漢字もである、儒教も然りだ。
「一切そうしました」
「モンゴル人を優遇してもな」
「はい、イスラムに対してもそうでした」
 バグダートを徹底的に破壊し最早地方政権にまで弱体化していたアッバース朝を完全に滅ぼしたがだ。
「ですがイスラムの文化や伝統はです」
「迫害しなかったな」
「逆らう者達を滅ぼした」
「それだけだったな」
「そうでした、欧州に対しても同じでした」
「十字軍達とは違ったな」
「そして逆に十字軍は破壊の限りを尽くしました」
 同じ時代の彼等はというのだ。
「アッシリアとはまた違った色で」
「キリスト教への信仰から来る破壊と殺戮だったな」
「そしてアッシリアも十字軍も今は批判されいますが」
「それが愚かか」
「それは中々言えません」
 判断出来るものではないというのだ。
「帝国主義時代の欧州列強の不寛容な白人至上主義は我々や連合にとっては唾棄すべき忌々しいものですが」
「キリスト教を絶対としたな」
「あの不寛容の極みの性格は愚かとされています」
「愚劣かつ邪悪だな」
「そこに醜悪も加わった」 
 特に連合がこう主張している。
「あまりにも忌まわしい統治だったな」
「そうでした、しかしこの統治が将来正しいとなるか間違いとなるか」
「結果論だな」
「結果はどうなるかは」
 それはというと。
「実際のところわかるものではないです、私は寛容が是だと確信していますが」
「しかしだな」
「はい、それでもです」
「賢明かどうかはか」
「わからない」
 そうだというのだ。 
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