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春のピクニック

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第四章

 二人で頂きますをしてから食べはじめた、するとだった。
 実際に美味しくて翔太はかなりの勢いで食べながら言った。
「これは本当にね」
「美味しいでしょ」
「あず未ちゃん普段から料理上手だけれど」
「実はね」
「実は?」
「ピクニックって歩いて汗もかくから」
 だからだというのだ。
「塩分多めにしたの」
「そうなんだ」
「それでなのよ」
「余計に美味しいんだね」
「それにここまで歩いてきたし」
 また歩いてきたことについて話した。
「余計にね」
「美味しいんだね」
「やっぱり運動してるとね」
 その分というのだ。
「食べものが美味しいのよ」
「そのこともあるね」
「ええ、じゃあ二人でね」
「食べようね」
「ちょっと作り過ぎたけれど」
「これ位食べられるよ」
 翔太は妻に笑って答えた。
「だって美味しいしお腹も空いてるし」
「だからなのね」
「それに二人だし」
 このこともあってというのだ。
「絶対にね」
「全部食べられるわね」
「そうだよ」
 こう言ってだった、翔太はお握りも唐揚げも茸も食べた、あず未もそうしたが気付いた時にはだった。 
 三段の重箱は全て空になっていた、あず未はその箱達を見つつ水筒のお茶を飲みながら夫に話した。
「本当に全部食べちゃったね」
「だって美味しかったし身体も動かしてたから」
 それでとだ、翔太はあず未に答えた。
「だからね」
「私が言ったことだけれど」
「本当に全部食べるとはなんだ」
「思わなかったわ」
「そうだったんだ、いや美味しかったよ」
 翔太はまたこう言った。
「本当にね、それにしてもいい天気だね」
「そうね」
 あず未は翔太のその言葉にも頷いた。
「今日はね」
「絶好のピクニック日和だよ」
「本当にね。また来たいわね」
「そうだね」
 翔太は青空を見つつあず未のその言葉に頷いた。
「ここにね」
「二人でね」
「出来たら三人になっても」
 結婚していることからこうも言った。
「それで四人になっても」
「いいね、じゃあ将来はね」
「子供が出来てもね」
「ここに来よう」
「そうしましょう」
「今年ここに来るのは今日だけかも知れないけれど」
「来年もね」
「来ようね、それでデートの場所はここ以外にも」
 翔太はさらに言った。
「自然の場所にもね」
「行くのね」
「そうしたらどうかな」
「夏は海とか」
 あず未は夫の言葉に乗ってこう返した。
「秋は紅葉狩りとか」
「冬はスキーとかね」
「いいわね、じゃあそれぞれの季節でね」
「自然を楽しむデートもね」
「していきましょう」
「そうしていったらいいね」
「そうよね」
 こう夫に言う、そしてだった。
 あず未も青空を見る、そうしながら一緒に見ている夫に言った。
「じゃあ夏は海ね」
「そこに行こうか」
「今年の夏ね」
「絶対にそうしようね」
 二人で楽しく話す、次の約束をしながら。だが。
 夏の海辺のデートでは翔太は妻の水着姿をホテルで見た瞬間に人が変わった、そしてだった。
 その日は夕方まで部屋で二人きりの時間を過ごした、それで泳ぐことはなくホテルだけを楽しんだ。この時は自然は楽しめなかった。


春のピクニック   完


                2020・5・20 
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