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春のピクニック

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第三章

「春ね」
「うん、公園の中にいると実感するね」
 翔太もその通りだと頷いた。
「この中にいたら」
「そうよね」
「山を登っていても」
 この時もというのだ。
「思ったけれど」
「蜂も蛇も春になったら出るし」
「ほら、蝶々も飛んでるし」 
 二人の目の前を通った、モンシロチョウだ。
「もうすっかりね」
「春になったのね」
「そうだよ、だから今はね」
 まさにというのだ。
「この春をね」
「楽しめばいいわね」
「そうしようね、それにしても」
「それにしても?」
「僕達だけじゃないね」
 公園の中にいる人達はとだ、翔太は彼等も見て妻に話した。
「結構人がいるね」
「そうね、山を登っている時は気にしなかったけれど」
「公園に来たら思うね」
「ええ、結構人がいるわね」
「そうだね」
「春だからね」 
 それでというのだ。
「皆ピクニックに来たのね」
「そうみたいだね、僕達と一緒だね」
「そうね、じゃあ公園の中を見て回って」
「そしてね」
「お弁当食べましょう」
「内緒にしていたそれだね」
「ええ、それをね」
 笑顔でこう話してだった、二人は公園の中を見て回った。池も小川も木々もある。そして奇麗な春の花達もあった。
 白いマーガレットにハナアブやカナブンが寄っている、その下では蟻がいて池の傍にはアマガエルが座っていて池には鯉が泳いでいる。
 小鳥達が気の上にいて鳴いている、二人はその中を歩いて回った。
 そして十二時になるとだった、あず未は翔太に言った。
「じゃあ草原のところでね」
「お昼だね」
「ええ、敷きもの敷いて」
 ビニールのそれをというのだ。
「それでね」
「二人で食べようね」
「そうしましょう」
 こう言ってだった、実際に公園の草原のところでだった。
 二人はビニールを敷いてその上に座ってリュックから弁当を出した、その弁当箱は何と三段の重箱で。
 上段のお握りに中段の鶏の唐揚げに卵焼きに鮭の塩焼き、下段のプチトマトにほうれん草のおひたしに茸の佃煮に苺にスライスした林檎にとだ。翔太はそれ等を見て言った。
「これは凄いね」
「昨日の夜から仕込みしておいてね」
「作っておいたんだ」
「そうなの、朝早く起きて」
 出発するその前にというのだ。
「そうしたのよ」
「凄いね」
「腕によりをかけたから」
 笑顔でだ、あず未は翔太に話した。
「量だけじゃなくて」
「だからだね」
「これからね」
「二人で食べましょう」
「うん、じゃあね」
 翔太は笑顔で頷いた、そうしてだった。 
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