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戦国異伝供書

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第百一話 出雲攻めその十二

「織田殿はな」
「まさにですか」
「その星の方じゃ」
 将星、それのというのだ。
「まさにな」
「それでは」
「うむ、これまで以上にな」
「大きくなられますか」
「その時も来たしな」
「天の時ですか」
「それを得られたからこそじゃ」
 それだけにというのだ。
「今じゃ」
「瞬く間に大きくなられましたか」
「天下第一のな」
 こう言っていいまでのというのだ。
「そうなられたのじゃ」
「天の時が来たからこそ」
「既に地の利と人の和はあった」
 この二つはというのだ。
「織田殿にはな」
「尾張は都に近くしかも豊かな国であるな」
 まずは地の利から話した。
「田畑も多く商いも盛んでな」
「六十万石ですな」
「だから豊かでもあってな」
「都に近いからですか」
「地の利はあった人の和もな」
 これもというのだ。
「多くの優れた家臣の方がな」
「その方々がまとまっている」
「それが人の和じゃ」
「その二つは最初からあった」
「そこに天の時があったのじゃ」
「公方様になられる方が来られた」
「それが天の時であってな」
 それでというのだ。
「三つ揃ったからな」
「あの様にですか」
「一気に天下一の家になったのじゃ」
「そうですか」
「その織田家と境を接したこともな」 
 このこともというのだ。
「頭に入れてな」
「そうしてですな」
「これからはやっていくが」
「今は、ですな」
「尼子家と決着をつけるぞ」
「わかり申した」
「それではな」
 こう弟に言ってだった。 
 元就は元網に七千の兵を預け尼子家の他の軍勢に向かわせた、そうして自身は三千の兵と共に山中そして十人衆の兵と対峙するのだった。尼子家との最後の戦において彼は名立たる猛者達と戦うのだった。


第百一話   完


                   2020・6・8 
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