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ドリトル先生の野球

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第十二幕その六

「阪神だよ」
「沢山の名選手もいたしね」
「監督さんやコーチの人も多かったし」
「そのことも思うとね」
「そうしたサインも多いね」
「阪神の場合は」
「若しもだよ」
 先生は少し真剣になってです、皆にお話しました。
「戦前の景浦将さんのサインを持っていたら本当に家宝ものだよ」
「確か戦前に活躍された人で」
 トミーは先生にその景浦という人について応えました。
「戦死されてますね」
「二次大戦でね」
「巨人の沢村栄治さんと同じですね」
「あの戦争で戦死している野球選手も多いんだ」
「そうした時代ですね」
「中日の石丸進一さんは特攻隊として散華しているしね」
「そうした野球選手も多いですか」
 トミーは先生のお話に悲しいお顔になりました。
「そうでしたか」
「そうだよ、日本の野球にもそうした歴史があるんだ」
「戦争もあった」
「甲子園球場も工場だった時があるしね」
「そうですか、何かそのことについても」
「色々調べると重要なことがわかってくるよ」
 先生はトミーにお話しました。
「その頃の野球のことについてもね」
「イギリスも戦争の中でスポーツはどうだったか」
「深く辛い歴史があるね」
「そうですね、戦争は避けられない時もありますが」
「しなければいけない時もね」
「その時に苦しみがあることは忘れてはいけないですね」
 二人でこうしたお話をしました、そしてです。
 先生は皆に野球のお話をさらにしていきました、その人の契約成立のことを心からお祝いしながらです。
 そして後日です、シリーズが行われている時にサラが来日してきました。サラはいつも通りお仕事でご主人と一緒に来ていますが。
 サラはいつも通り先生のお家に来てこんなことを言いました。
「日本って本当とお相撲と野球が好きね」
「スポーツではだね」
「ええ、あと剣道と柔道もね」
「そうだね、ただ後の二つはね」
「角界や球界みたいなものはないから」
 サラは先生に玄米茶を飲みつつお話します。
「だからね」
「テレビとかでああした放送はないね」
「あそこまでのものはね」
「どうしてもね」
「そうね、風物詩になる位ではないわね」
「うん、それでサラは大阪から来たね」
「そうよ」
 サラは先生にすぐに答えました。
「新空港からね」
「そうなんだね」
「それで神戸でお仕事のお話してるけれど」
 サラは先生にさらにお話します。
「いつも通り大阪見物楽しんでるわ」
「そちらもだね」
「それでこの時期の大阪は」
「野球、阪神で持ちきりだね」
「そうね、けれどね」
 それでもというのです。
「野球に興味のない私でもね」
「観ていてだね」
「自然と活気と親しみやすさを受けるわ」
「僕は日本に来てね」
 ここでこうも言ったのでした。
「最初野球に興味はなかったけれど」
「それがなのね」
「今ではね」
「阪神ファンになったのね」
「そうなんだ」
 サラににこりと笑ってお話します。 
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