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戦国異伝供書

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第百話 両翼を奪いその七

「只でさえ強いのに鉄砲も多く用いて戦っておるとか」
「そして破竹の進撃に入っておるな」
「その様ですな」
「残念だが毛利の兵は弱い」
 元就は自分達の兵のことも話した。
「九州特に薩摩の兵と比べると全く駄目じゃ」
「はい、確かに」
 隆元もその通りだと答える。
「当家の兵はです」
「弱いな」
「薩摩隼人の一騎当千のうえ命知らずな戦いぶりを聞きますと」
「比べものにもならぬ」
「左様ですな」
「しかしな、その毛利の兵も優れた武器を用いればな」
「強くなりますな」
「よい具足を身に着け」
 そしてというのだ。
「そのうえでな」
「よい武器を持てば強くなる」
「そうじゃ、だから鉄砲もな」
 この武器もというのだ。
「当家は入れておるのじゃ」
「左様でありますな」
「思えばわしが毛利家の主になったばかりの頃は鉄砲などなかった」 
 種子島に入っていなかった、もっと言えばフランシスコ=ザビエルも日本には来ていなかった頃である。
「そして高くな」
「買うまでにはですな」
「中々至らなかった」
 貧しく銭がなかったのだ。
「しかし今ではじゃ」
「山陰、山陽九国の主になり」
「そしてじゃ」
 さらにというのだ。
「二百万石もの家になってな」
「それで、ですな」
「多くの鉄砲、数百を揃えられる様になった」
 そこまでに至ったというのだ。
「ならばな」
「その鉄砲をですな」
「用い」
 そしてというのだ。
「尼子家とも戦うぞ」
「それでは」
「数百の鉄砲は確かに多いですが」
 元春はまずはそれをよしとした、だがさらに言うのだった。
「しかし」
「それでもじゃな」
「はい、島津家は遥かに多いですな」
「種子島で自ら造っておるしな」
「だからですな」
「あの家の鉄砲の多さは違う、そして何でも尾張の織田家は」 
 近頃聞くこの家の話もした。
「何でも千は持っておるという」
「千ですか」
「左様じゃ」
「尾張の織田者、どうも只者ではない様ですが」
 元春は真剣な顔で信長のことを話した、見れば隆元も隆景も彼の言葉に真面目な顔で頷いている。二人共信長を軽んじてはいないのだ。
「伝え聞くところによると」
「うつけ殿というがな」
「違いますな」
「とんでもない間違いじゃ、奇矯は振る舞いは傾きでな」
「それに過ぎず」
「政は極めてよく戦も強い」
「恐ろしい御仁ですな」
「尾張は都に近い、今川殿にも鮮やかに勝ったというし」
 桶狭間の戦のことも話した。
「これからじゃ」
「大きくなる方ですか」
「尾張は場所もよい、瞬く間に当家の三倍程にはな」
「なりますか」
「そうなるであろう」
「当家の三倍となりますと」
 隆景は真顔で述べた。
「六百万石、いえ当家が尼子家を倒すと二百四十万石」
「その三倍となるとな」
「七百二十万石ですか」
「そこまでの家、まさに天下統一にもな」
「王手をかけられますな」
「すぐになる」
「ですな、伝え聞く織田殿の資質を聞きますと」
 まさにというのだ。 
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