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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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彼が寝ていたら

 
前書き
Twitter短編第2弾!

今回のお題は「寝顔」!
さて、誰がどんな寝顔を見せてくれるのか……。お楽しみに! 

 
・陽の当たる窓辺で(翔ひびの場合)

休日の午後、翔は窓際に置かれたソファーで寛いでいた。
ここ暫く任務が重なり、疲れが溜まっていた彼はその内、座ったまま眠ってしまう。
そこへリディアンの課題を終えた響がやって来た。

「終わった~!翔くーん、課題終わったよ~!……あれ?翔くん?」

ソファーに座る彼の後ろ姿を見つけ、近付いてみると……すやすやと寝息を立てている。
響は彼の隣に座ると、その寝顔を覗き込んだ。

「ふぁ~……なんだか、わたしまで眠くなってきちゃった……」

そう言って響は、そのまま翔の肩に身体を預けた。



「……ん?俺、寝てたのか……」

目を覚ました翔は、右肩にのしかかる重さに気が付き、横を見る。
そこには、翔の右肩に頭を預けて眠る響の姿があった。

「響……。課題疲れってところか。おつかれ様」

左手で優しく、その頭を撫でる。
眠っていても分かるのか、響の口元がにへっと微笑んだ。

「もうこんな時間か……。夕飯、先に作っておかないと」

本当はもうしばらくこうしていたいのだが、既に日は傾いている。翔は響を起こさないようにそっと離れ、代わりに響の頭をクッションの上に乗せた。
「さて、何を作ろうか……。冷蔵庫の中には確か……」

冷蔵庫の中を確認し、今夜の夕食を作り始める翔。そのうち、匂いに釣られて響が目を覚ますだろう。
さて、彼女はいつ起きるかな……?

ff

・王子様の寝顔は(純クリの場合)
「ジュンくん、頼まれてたモンは全部揃ってたぞ~。……ジュンくん?」

買い出しを終えて帰宅したクリス。
しかし、いつもなら出迎えてくれる純が、今日は出てこない。
慌ててリビングに駆け込んだクリスが見たのは……洗濯物を畳みながら船を漕ぐ、愛しの王子様の姿だった。
「……よかった……また離れ離れになっちまったんじゃないかって……って、何言ってんだあたしは!」

安堵の表情を浮かべ、買い物袋を降ろすクリス。
純の寝顔を見つめて……ふと、彼女はある事を思いついた。


「……あれ?クリスちゃん……?……僕は、どうして……ッ!?」

目を覚ました純は、自分の目の前にクリスの顔と、そのたわわに実った胸がある事に驚く。
今、純はクリスに膝枕されている状態だったのだ。

「おっ、やっと起きた。よく眠れたか?あたしの王子様……」
「んー、折角だし目を逸らさずに言って欲しかったかな~」
「ッ!?しょっ、しょうがねぇな……」

そう言われ、慌てて純の目を真っ直ぐに見つめるクリス。
純はウインクしながらそれに応える。

「もちろん、もうしばらくはこうしていたいくらい、心地良い膝枕だよ♪」
「そっ、そうかよ……。なら……もうちょっとくらいは、こうしといてやるよ……////」

クリスは真っ赤になりながら、純とこうして触れ合える幸せを噛み締めるのだった。

ff

・ミッション:彼の寝顔を入手せよ(おがつばの場合)

見守り隊職員達から翼に下されたミッション。
それは、日頃から全く隙を見せない緒川の寝顔をこっそりと撮影せよ、というものであった。

(まさか、このような事になってしまうとは……。しかし、私自身緒川さんの寝顔が見てみたいのも事実……。今日こそは緒川さんに勝ってみせるッ!いざ往かんッ!)

模擬戦を始め、勝負事で彼に一度も勝ったことがない翼は、今日こそはと意気込んで楽屋に入る。
ドアを開けると、そこには珍しく、机に突っ伏して眠る緒川の姿があった。

(こんな偶然があるのか……?いや、緒川さんだって疲れているのだ。たまにはそういう日もあるのだろう。……これは好機!逃すわけにはいかないッ!)

足音を潜め、息を止め、忍び足で近付くと、スマホを向けて寝顔を撮ろうとする翼。
だが次の瞬間、緒川の姿が消える。

「ダメですよ、人の寝顔を勝手に撮るなんて」
「なッ!?」

驚く翼。その直後、パシャっとシャッター音が鳴った。



「えっ?ドッキリ!?それも櫻井女史からの!?」
「すみません……。つい、乗っかってしまいました」

緒川からタネ明かしをされる翼。どうやら、了子が思いつきで仕掛けたドッキリだったらしい。
驚いた顔を緒川にバッチリと撮影されてしまい、翼は両手で顔を覆う。

「ですが、そうですね……。僕の寝顔なら、翼さんだけには見せても構いませんよ?」
「ッ!?そっ、それはどういう……////」

緒川の言葉に、翼は耳まで真っ赤になった。
彼の言葉の真意は、その笑顔の裏側に……。

ff

・たまには甘えたい(ツェルマリの場合)

「ツェルト、明日の予定って確か……」

まだS.O.N.G.に配属される前、アイドルの仕事でホテルに泊まる事になったマリアは、隣の部屋に泊まるツェルトに声をかけた。

だが、ツェルトはどうやら疲れが溜まっていたらしく、仕事着のままでベッドに突っ伏して眠っていた。

「……お疲れ様」

そう言ってマリアは、ツェルトに毛布をかける。

「マリィ……」
「ん……ッ!?」

静かに立ち去ろうとするマリアの腕を、ツェルトの左手が掴んでいた。

「離さない……これからもずっと……。この手が……動く、限り……」
「ツェルト……?」
「行かないでくれ……マリィ……」
「……寝言、なのよね?」
「……」
「寝言か……。そうよね……でも……」

寝言とはいえ、ツェルトの寝顔が少し寂しそうなのは見て取れる。
マリアはベッド脇にしゃがむと、ツェルトの左手にそっと、自分の手を重ねた。

「ええ。私はここに居るわ……。あなたがセレナにそうしようとしてくれたように、私もあなたを離さない。……おやすみ、ツェルト」

そう言うと、ツェルトは安らかな笑みを浮かべた。



翌朝

「……ん……毛布?……マリィが来てたのか……?」

ツェルトはそう呟きながらスーツに袖を通し、マリアを起こしに行く。
二人が晴れて結ばれ、目覚めた妹と共に暮らせるようになるのは、もう暫く先のお話……。

ff

・特権(恭みくの場合)

朝、目覚ましの音が鳴り響く。
泊まりに来ていた彼を起こさないよう、未来は素早くそれを止めてベッドから上体を起こす。
彼女の隣には、恋人である恭一郎が眠っていた。

「逞しくなっても、恭一郎くんの寝顔は変わらないなぁ……」

クスリと笑い、その顔を見つめる。

もう、彼の寝顔を見られる日も当たり前になってきた事を実感しながら、彼とのこれまでを振り返る。

あの日、自分の力になると言ってくれたことを。
自分を守る為にと、地道に鍛錬を続けていることを。
そして、デートに行く度にエスコートしてくれるほどまでに、彼が成長していることを……。
未来(みらい)へと募る想いは、日々を重ねて前へと進んでいる。大事にされているという実感が、未来の心を満たしていた。

「これからも、2人で歩いて行こうね……わたしのナイトさん♪」

まずはそんな彼のために、美味しい朝食を作ってあげよう。
鼻歌交じりにキッチンへと向かう未来の顔は、とても明るかった。

ff

・イタズラ心?(飛きり)

「飛鳥さーん、聞きたいことがあるのデスが……」

課題を手にリビングへと出てきた切歌。
そこには、ソファーでうたた寝している飛鳥がいた。

「グッスリデスね……。そうデス!いい事思いついたのデス!」

切歌は飛鳥の頬をつついたり、ぬいぐるみで囲んで写真を撮ったりと、飛鳥が寝ているのをいい事に悪戯を始めた。

「う~ん、これでも起きないのデース……。そうだ!ねぼすけの飛鳥さんには、こうしてやるのデース」

切歌は飛鳥に向かい合うと、ゆっくりと唇を近付ける。
顔が近づくにつれて、頬が紅潮していくのを感じる。胸が高鳴り、とうとう唇が触れるまであと数センチ……。

「……暁?」
「デスデスデスッ!?////」

無意識に閉じてしまっていた目を開くと、飛鳥が頬を赤らめ、驚いた顔でこちらを見つめていた。

「なななななっ、なんでもないデースッ!!」

切歌は慌てて後退ると、そのまま自分の部屋へと逃げ込んだ。

(……言えない……実は途中で起きていたなんて……。まさか、あんな可愛い顔で迫って来るなんて……)

その後、切歌の悪戯に対して軽く説教した飛鳥だったが「イタズラ感覚でキスをしようとするな」と言う際、お互いの真っ赤になった顔を思い出し、固まってしまうのだが……。
二人の関係が進むのは、もう少しだけ先の事である。

ff

・眺めていたい(流しら)

「流星さん。朝です、起きてください」

朝、恋人の流星を起こす調。しかし、朝は中々起きられない彼の寝顔を、調はじーっと見つめていた。

(もう少しだけ、眺めていようかな……)

「……調ちゃん?」
「あ……おはようございます、流星さん」

ようやく流星が目を覚ます。調は、もう少し寝顔を眺めていられなかったことを惜しみながら立ち上がる。

「朝食、出来てますよ」

そう言って足早に立ち去る調を見て、首を傾げる流星。調の朝が早いもう一つの理由は、まだまだ内緒である。
 
 

 
後書き
これ書いたのは去年の11月30日……もうそんなになるのか……。
一年って遅いようで早いですよね。今年の11月にはG編始められてる事を来月の自分に託したい。

次回もお楽しみに! 
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