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転生したらビーデルの妹だった件

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第九話

もうアレだ…わたしはダラダラと過ごしたいのだけれど…どうやらそう言う星には生まれていないらしい。

「力の大会?」

カプセルコーポレーションに集められた面々。

もうそんな時期か、などとのんきに考えているモンテ。

「当然、お前はメンバーの一人に決定だな」

「はいぃっ!?」

ヴィルス様からの非情な一言。

あの人外の戦いの場にわたし出なきゃいけないのっ!?

力の大会とは12有る宇宙から逆に選ばれた8つの宇宙の生き残りをかけたサバイバルバトルだ。

1宇宙10人の選手が一つの武舞台から落とされたら負けのサバイバル。

そして10人すべての選手が武舞台から落とされると宇宙そのものが全王様に消滅させられるとんでもない大会なのだ。

悟空さんが大会の発案者と思われているようだが実情は全王様が消そうとしていた宇宙に最後のチャンスが与えられたと言う方が正しい。

つまり悟空が何とかしなかったら問答無用で消滅していたのだが、そこを理解していない宇宙も多い。

取り合えず第七宇宙のメンバーを集める悟空さん。リーダーは悟飯くんが務める事になったらしい。

まぁ悟空さんでは頭を使う事は難しいから当然の人選と言えるだろう。

第七宇宙の戦士は地球に居るメンバーから集める事にしたようで…

悟空さん、ベジータさん、悟飯くんは当然の事17号さん18号さんの人造人間コンビ、クリリンさん、武天老師さまの亀仙流代表、ピッコロさんとブウさんとわたしで10人となる予定だったのだが、ブラが生まれるまでベジータさんは大会など出ないと言ったりするしブウさんは寝ちゃって起きないと問題は続出。

そしてここで思い出したのだが…

「そう言えばフリーザの奴ってまだ地獄にいっかな?」

「いいえ、フリーザなるものはモンテさんが破壊してしまったのでもう地獄にも存在しませんよ」

と言う悟空の呟きを即ウィスさんが否定してくれたものだから大変。

子供達を抜かすと残りはビーデルとギネお母さんが候補にあがったのだが、宇宙の存亡をかけていると悟飯くんの反対を押し切ったビーデルが参加する事でどうにか10人の戦士が集まった。

さて、このメンバーで最大の問題はわたしが居てフリーザが居ないと言う所だろうか。

天津飯?あんな四身の拳とか言うビックリ技しか見せ場が無かった彼より超サイヤ人2にまでなれるビーデルの方が強いよ?

ただゴールデンフリーザよりわたしが強いかと言われればNOと言わざるを得ない。

ならせめてビーデルのパワーアップは急務だった。

「ビーデル、精神と時の部屋に行くよ」

「え、今から?」

「パンちゃんはもう離乳食でしょっ!おっぱい出なくなってもいいじゃないっ」

「ちょちょっとっ!何言ってるのよモンテっ」

「はーやーくーっ!」

ビーデルに触れると瞬間移動で神様の神殿へ移動。

なにやら瞬間移動の直前にベジータの声が聞こえた気もするが気にしない。

精神と時の部屋は一日が一年になる時間加速の別空間だ。空気は薄くさらに重力は地球の10倍と重い為に修行には最適であった。

引き延ばされた時間でどれだけビーデルを強化できるかが第七宇宙存続の要と言っても過言では無かった。

え、自分も修行しろ?

勿論やるだけはやってみるけどゴールデンフリーザを期待してもらっては困るというもの。

「さて、先ずは神の気を感じる事が出来るようになってもらわないとね。修行はキツイよ、ビーデル」

「大丈夫。パンちゃんの為にも負けられないわ」

母は強しと言う事だろう。

元々はわたしとビーデルは双子としてこの世界に生まれた。同個体では無いが今でもビーデルのスピリットはわたしと似ているようだ。

だからだろうか。スピリットを同調させてゆっくりと神の気を送ると徐々に髪の毛が紅く染まっていった。

さて、時間いっぱいまで修行して精神と時の部屋を無理やり出る頃にはモンテの身長はおおよそ昔の身長に追いついていた。

サイヤ人は青年期になると急激に成長するのだ。

集合場所に戻ると皆修練を怠らなかったのか精悍さを増したメンバーが揃っていた。

「ビーデルさん…なんか感じ変わりました?」

と悟飯くん。

「そう?自分では分からないのだけれども」

「何と言うか…ちょっと前のボクでは負けてしまいそうです」

「今でも負けちゃわないか心配よ」

自信満々に挑発するビーデル。

「大丈夫です、ピッコロさんとみっちりと修行しましたからね、負けませんよ」

「本当ね」

逞しくなった悟飯の腕を抱くビーデル。

あー、…そう言う事は家でやれ。

全員集まると大会会場である無の界へと移動。

ほかの宇宙も戦士たちも時間を置かずに現れたようだ。

80名の選手と各宇宙の破壊神と界王神、ガイド天使が揃うと大神官様が全王様二人をお連れして力の大会が始まった。

負ければ宇宙事消滅ともなれば皆必死にもなる。

そしてどう言う訳かこの力の大会の発端は孫悟空であり宇宙消失は悟空の所為だと言う間違った認識が各宇宙に広がっていて第7宇宙は目の敵にされているようで悟飯くんは固まって背中合わせで戦おうと言っていたのだが悟空さんやベジータさんがそれに倣うはずもなく、十七号さん十八号さんも離れて行った。

固まっているよりは各個撃破される可能性も有るもののリスクカットの効果もある一定は認められるし悟空さん達にはぜひとも頑張ってもらいたい。

わたしもサボりたい所だけれどじっとしている訳にもいかずに個人行動をする事に。

「あ、モンテどこ行くのよ」

「ちょっと偵察」

ビーデルに呼び止められたがとりあえず武舞台の上を気配を殺して駆ける。

さて、先ず一番気にかけるべきは第11宇宙だろうか。

ジレンは別格の存在感を放っているしトッポは油断ならないしディスポは厄介なほどに素早い。

ジレン、トッポは難しくてもディスポは隙を見て落としてしまいたい所だが…動く気配すらないのよね。

次に面倒なのは第2宇宙の面々だろう。

特にヤードラット星人がなぜか混ざっているし瞬間移動は出来るものと見て先ず間違いないだろう。

「と言う事で悪いんだけど脱落第一号になってもらわないとね」

超サイヤ人に覚醒するとジリっと右半身を引く。

顔合わせの時にヤードラッド星人のジーミスの気は覚えたし、奇襲するなら早いうちだ。

そのまま瞬間移動でジーミスの正面に移動すると高速の回し蹴りでジーミスの頭を蹴り飛ばす。

「はぁっ!」

「な、そのわずぁああああああああああ」

その技はまさかとでも言いたかったのだろうか。最後まで言わせずに意識を刈り取って武舞台の外まで吹き飛ばしリングアウト。

「しゃっ!まずは一人目」

自分で使っておいてなんだけど瞬間移動は卑怯だと思うよ。

それとヤードラット星人は瞬間移動以外も油断がならない。本当に一番最初にリングアウトさせれてよかったと思う。

「いいぞモンテその調子だっ!」

観客席のビルス様の激励。

さて、次はどうしようかと思っていたら…なぜか第6宇宙の女サイヤ人であるカリフラに突っかかられている。

「キャベから聞いたんだけど、お前もあの青い超サイヤ人になれるんだってな」

「はぁ…まぁ」

超サイヤ人ブルーの事だろうか。試合が始まってしばらく過ぎたしどこかで悟空さんが超サイヤ人ブルーになっているのを見たのだろう。

「なり方を教えろ。お礼にあたしがそれになってお前をぶっ飛ばしてやる」

お礼になってなーーーいっ!

「教えろって言われてもねぇ…逆立ちしても今のままじゃどうあがいても無理だし」

「なにぃバカにしてんのかっ!ちょっとまってろっ」

さて瞬間移動で逃げようかとおもっているとカリフラの気が膨れ上がった。

「はぁあああああぁああぁあぁ」

黒かった髪は金色に染まり更に気が高まっていくと同時にパンプアップ。

「はぁ…はぁ…どうだ…ビビったかっ!」

変身が終わると身長すら伸び、筋骨隆々のカリフラがこちらを睨みつけていた。

「ムキンクスっ!ムキンクスじゃないかっ!」

むっはーと興奮するモンテ。

しまった、ムキンクスに興奮して逃げるのが遅れた。

「いくぜーーーっ!」

美人さんが筋骨隆々の体格で迫ってくると若干怖い。

「ちょっま…」

モンテも超サイヤ人になってカリフラの攻撃をかわしていく。

「当たらねぇっ」

「その変身はパワーは凄いけどスピードが落ちるからあまりお勧めしないよ」

悟空さんもベジータさんもそれが分かっていたからその変身は実戦で使う事は無かったのだ。

「くっそーーーっ!」

大振りに振られた拳を瞬間的に超サイヤ人2に変身して殴り返す。

「ぐああぁあ」

モンテの細身の体で繰り出された拳にカリフラが吹き飛ばされた。

ザザーと煙を上げて制動を掛けて何とか踏ん張ったカリフラは、興奮気味に変身を解除してモンテに走り寄って来た。

「それが超サイヤ人2かっ!一度なった事はあったんだけどあれ以来なれなくてな。コツはやっぱり背中のゾワゾワか?」

「……まぁそんな感じ?」

なんだろう…この悟空さんを相手にしている感じは…

「なるほど、やっぱそうかー」

そう納得するとカリフラは再び気を高めてく。

「はぁああああぁぁぁあああっ!」

金色の髪の毛は更に逆立って体からスパークが飛び散っている。

「これが超サイヤ人2かっすげー力だっ!」

ええー…あんな適当なアドバイスだけで超サイヤ人2に変身とか…どんだけ才能あるのよ…

「それじゃいくぜーっ!」

嬉々として迫ってくるカリフラ。

格闘戦メインで殴り合う。

「だりゃりゃりゃりゃ」

「ちょっまっええっ!」

どちらも有効打に欠けていて一進一退の攻防が続いている。

「姐さん、援護しますっ」

カリフラと一緒に居たケールが弱々しいエネルギー弾を飛ばしてくるがモンテが肘を払って弾き飛ばすとどちらともなく戦闘を中断するモンテとカリフラ。

「今いいとこだったんだ、邪魔すんなケール」

「あ、姐さんっ」

「さあ、続きと行こうぜっ!」

「妹分ほっといていいの!?」

「アイツもサイヤ人だ、構わねぇよ」

ええーーー…これだからサイヤ人は…戦うのが好きで、更に戦いの邪魔をされるのは嫌い。厄介だよまったく。

カリフラの攻撃をさばいていると近くで爆発的に気が高まるのを感じてカリフラともども視線を向けるとそこには暴走状態に陥ったケールの姿があった。

その髪は緑金に輝き肉体は先ほどのカリフラの様にパンプアップされていて、しかしその力の高まりは絶大だった。

「すげーじゃねーか、ケールっ!」

「げぇ…ブロリーっ!?」

興奮するカリフラとは対照的に驚愕するモンテ。

「気が…高まる…あふれる」

理性の無い眼でモンテを捉えるケール。

「モンテ…モンテーーーーっ!」

「やっぱりーーーーっ!?」

暴走状態のまま真っすぐにこちらへと走ってくるケールに恐怖を感じる。

ブロリーと言えば足を掴んで地面に叩きつけたり、頭を握って岩肌で削岩したりと残虐ファイトで相手を追い詰める伝説の超サイヤ人の事だ。

そのパワーは絶大で、パンプアップした肉体からは信じられないほどに高速に動くチートな存在なのだ。

だがわたしはそんな痛そうなバトルは御免こうむる。

なので逃げさせてもらうっ!って…

「速いっ!」

「ああぁあっ!」

振りかぶった拳は次の瞬間眼前に迫っていた。

粉塵が舞い散る。

「ぬぅ…」

何故吹っ飛ばないとでも言いたそうな呟き。

粉塵が晴れるとしっかりとクロスした両腕でケールの拳を受け止めているモンテの姿が。

その姿は超サイヤ人2の時よりも髪の毛が伸びていて力強さも上がっているようだ。

「それが超サイヤ人3かっ」

変身したモンテに嬉しそうなカリフラの声が響く。

「はぁっ!」

拳を受け止めたまま地面を蹴ると回し蹴り。しかしケールの太い首を狙ったその一撃はダメージを与えている様子は無い。

しかし少しはよろめいてはくれたようですぐさま距離を取るモンテ。

すぐにケールを見ると巨大な気が胸元に集まっているのが見えた。

「げぇっ!?ブラスターメテオっ!?」

無差別範囲攻撃じゃないのさっ!

今ここでかめはめ波を撃ったとしてもキャンセルは間に合わないっ!って事でおさらばっ!

シュンっと瞬間移動でビーデルの所へと飛ぶとすぐさまビーデルに覆いかぶさった。

「モンテ?」
「ふせてーっ!」

次いで武舞台の上に巻き散らかされる流星雨の如き気弾の雨。

「な、何が起こったんですかっ」

と悟飯くん。

「ケールがブロったんだよっ!」

「い、意味が分かりません」

うるせー、フィーリングで感じろっ!

絨毯爆撃をどうにか凌いでいると突如ケールを超えた気を発する存在が暴走状態のケールの前に現れ気弾の一撃で吹き飛ばしていた。

あれ程の脅威を誇ったケールを一撃とはジレン恐るべし。

それを見ていてもたっても居られなくなったのだろう悟空がジレンの所へと駆けて行く。

武舞台の一段高い所に陣取った第2宇宙のリブリアン達三人は観衆の面前でなぜか魔女っ娘変身をお披露目…していたのだが、大人げない17号さんが途中で砲撃。変身を中断させるとどう言う訳か逆切れすると言う始末。

気を取り直して変身バンクの様に二回目に突入するリブリアン、カクンサ、ロージィの三人娘。

「か・め・は・め・波ーーーーーーっ!」

「「「きゃーーーー」」」

ジュ

二回目の変身はモンテがかめはめ波で吹っ飛ばした。

「モンテ…」
「モンテさん…」

ビーデルと悟飯くんが呆れている。

「良かったのか?」

と言う十七号さんは結構優しいのではないだろうか。

「良いですか?変身魔法少女の変身は邪魔をしてはいけないのではなくて実際は0.1秒で変身しているんです」

「そうなのか?」

そうなんです。

「なのにあんなちんたらと…しかも中断されたら最初からやり直しとか、許しませんよ。あれが許されるならわたしが変身するたびに待ってもらいますからねっ!」

「それもそうだな」

そして変身前は普通の女の子と言う設定を忠実に守っているのかズタボロになって武舞台を落下し観戦席へと転送させられるリブリアン達三人娘。

何やら外野でワーワー言っているが…

「うるせーっ!変身シーンが見せたかったのなら力の大会が始まる前にやっておけよっ!変身シーンと宇宙の存亡のどっちが大事か分かってればそんなバカな事は出来なかっただろう、知るかっバーカバーカ!そして何よりリブリアン、オメーの変身後は地球の美的感覚ではブサイクなんだよっ!誰がブサイク変身など許すかっ!変身前が美人なだけにすげーショックなんだぞっ!」

「ブサイク……それは本当なのか?」

と若干ショックを受けた第2宇宙の破壊神ヘレス様が問う。

それに第7宇宙の一同(悟空をのぞく)が首を縦に振った。

その事に第2宇宙の面々は相当ショックを受けたようで言葉が激減。ようやく静かになったようだ。


ジレンに突っかかって行った悟空が力負けして最後の手段に元気玉を選んだのか元気を分けてくれと言っているのだが回復が難しいし永久エネルギー炉のある十七号さんと十八号さんに頑張ってもらえば良いだろう。

巨大な元気玉を作り出した悟空だが、ジレンには押し返されて当てる事も敵わずに元気玉は爆散してしまった。

その中心地に落下していた悟空さんの気は感じられなくなり周りも自爆で消滅したのではないかと言う始末。

しかし、消滅せずに現れた悟空さんは銀色のオーラが立ち込めているもののその気は感じ取れない。

「身勝手の極意…か」

急に強くなった悟空はジレンに迫るが届かず。しかしリングアウトすることなく一度お互いの距離は離れた。

身勝手の極意・兆しが途切れてしまった事も関係あるだろう。あのまま戦っても悟空さんは勝てなかったのだ。

力の大会の半分が過ぎた頃、もう幾つかの宇宙は全王様の手によって消滅させられていた。

否応にも消滅の危機を身近に感じ皆決意を新たに力の大会に全力を投じている。

さて、わたしも簡単そうな敵から落としていこう。

先ずは第6宇宙のナメック星人からかな。

ザッとモンテは武舞台を踏みしめるとその気配でナメック星人であるサオネルとピリナの二人はモンテと向かい合う。

「ようやく力も安定してきたところだ」

「ああ、同化した同胞の為にもこの試合負けられぬ」

隙の無い構え。

ナメック星人は同化する事で力を増し強力になる。

この力の大会の為に二人は殆どの同胞と同化を試みて来たらしい。

「試合に負けられないのはこちらも同じ。だから弱点を突かせてもらう」

「弱点だと…我らナメック星人に弱点など」

いや、もう何て言うかゴメン。きっと知らないんだろ思うけどナメック星人ってさ…

ぴーぴぴぴーぴぴぴーぴぴぴ、ぴーぴぴぴーぴぴぴーーーーーー、ぴーぴぴーぴぴぴぴぴーぴーぴーぴぴぴぴぴー

「ぐぁあああ」

「なんだこの不快な音はっ!?」

「あ…頭が割れる…」

口笛に弱いんだ。聴覚だから力の差とか関係ないし。

「おい、なんだそれ、ズリーぞっ!」

シャンパ様、種族的弱点を対策してこない方が悪いんです。

苦しみ悶えるサオネルとピリナを口笛を吹きながら武舞台の外へと投げ飛ばす。

腕を伸ばす気力も出なかったのか二人は呆気なく落ちて行った。

なんか遠くでピッコロさんも苦しんでいたけどしーらない。
 
あ、もしかしてピッコロさんの弱点が知れ渡っちゃってヤバいかな…?まぁしょうがないと言う事で。

「キェエッ!」

「おっと、不意打ちですか」

第6宇宙のフロストが不意を突いて尻尾で足を払いに来たがフロストなぞ所詮ナメック星編のフリーザ様程度だ。

鍛錬を重ねてゴールデンフリーザ様になるくらいの実力ならまだしも超サイヤ人になったばかりの悟空にやられる程度の実力に負ける訳にはいかない。

「ぐぁああっ!」

逆にカウンター気味の回し蹴りで武舞台から落っことしてやった。

「モンテ、大丈夫?」

「ああ、ビーデル。どうしたのこっちに来て」

スタっと音を立てて現れたのは悟飯くんの所に居るはずのビーデルだった。

「悟飯くんの所に居ると悟飯くん戦い難そうだったから」

「ああ、自然にビーデルを守る体勢になってしまうのか」

「そう言う事」

それでは悟飯の実力が100%発揮できるはずも無い。それならと逆に悟飯から離れる選択をしたようだ。

「お、良いね。今度は尻尾付きが二人か」

「あ、姐さんっ」

「おらケール、ビビってんじゃねぇぞっ!」

「で、でもぉ」

バカな…せっかく距離を取ったのにまたしてもこの二人組と遭遇とか運が悪い。

「モンテ?」

「第6宇宙のサイヤ人。強いよ」

「なるほど」

ジリと半身を引いてビーデルは拳を構える。

「2対2か。やるぞケールっ」

「姐さん…」

不承不承と構えを取るケールとやる気満々なカリフラと対峙するビーデルとモンテ。

「いくぜっ!」

カリフラが超サイヤ人2に変身してモンテへと迫る。

「それじゃあ私の相手はあなたね」

「ひっ…」

ビーデルはケールを相手をするようだ。


「他の宇宙の戦士を落としに行けよっまったくもうっ!」

カリフラを迎え撃つモンテは超サイヤ人3だった。

モンテには悟空やベジータと戦った時に染みついた悪い癖がある。

それは相手よりも一段階上の変身で戦おうとする癖だ。これは地力の差が激しかったモンテでは悟空とベジータに食らいつくための苦肉の策ではあったのだが、あのサンドバッグの日々は魂にまでこびりついてしまっていたのだ。

「超サイヤ人3か。ついてるぜっ!」

確かに悟空とベジータとの地力の差は大きかった。が、しかしそれでもモンテは一段上の変身と言えど何とかかじりついていたのだ。

そこに着て生まれなおしたモンテは修行を欠かさなかった。

「がっ」

「姐さんっ…きゃぁっ!」

モンテの攻撃がカリフラを、ビーデルの攻撃がケールを吹き飛ばす。

カリフラは何とか耐えたがケールは場外目がけて飛んでいくが…

「ケールさんっ!」

途中で勢いを殺す様に受け止めた第6宇宙のサイヤ人であるキャベがケールを場内へと押し戻し一緒に着地した。

「うぅっ」

「ケールさんはここに居てください。ボクが行きますっ」

地面を蹴ってビーデルへと向かうキャベは気合を入れると超サイヤ人へと変身していた。

キャベはノーマルの状態でベジータとタメを張る実力者である。

つまり超サイヤ人になったキャベもベジータの超サイヤ人と同程度の強さと言う事だ。

そこにきてビーデルはと言えば確かに強くなったがベジータに追いついているかと言えばいくら潜在能力をシェンロンに願って覚醒しているとは言え程遠い。

「はぁあああぁああっ!」

「くっ戦いの中で成長しているって言うのっ!?」

堪らず超サイヤ人2へと変身するビーデルだが、キャベの攻撃が鋭さを増していき自分でも気が付いていないだろうが限界を突破し超サイヤ人2へと至っていた。

同じ変身ならビーデルよりもキャベの方が強い。

追い込まれているのはビーデルの方だった。だが…

ビーデルの髪の毛が紅く染まる。

「くっまさかアナタもその変身が出来たとはっ」

「モンテの特訓のおかげでね」

悔しそうなキャベ、再び天秤はビーデルに傾く。

「おいおい、なんだよその赤い変身はっ!気を感じねぇぞっ」

「超サイヤ人ゴッド。あの変身は超サイヤ人3より強いよ」

キャベの攻撃はもうビーデルには届いていない。

「モンテ、いつまでも遊んでいないで。宇宙の存亡が掛かっているのよっ。私たちが負けちゃったらパンちゃんが消えちゃうんだからね」

それは何処の宇宙も同じだと思うけれど…仕方ない。

「はぁああっ!」

伸びていた髪は元に戻り、金色だった髪色は赤く染まっている。

「ちくしょうっ!ズリーぞっ!」

カリフラの攻撃も空を切り始めた。

それほど超サイヤ人ゴッドと超サイヤ人2は隔絶しているのだ。

「はぁっ!」

「ぐぁっ……」

蹴り上げたカリフラに気弾で追撃しようとして、膨れ上がる気にとっさに視線を巡らせた。

「よくも姐さんををうぅぅぉっ」

「ぎゃーっ!ケールがまたブロってるっ!?」

「何…あれ…」

「ばっか、ビーデル逃げるよっ!」

「ケールさん落ち着いてっ!」

「うぅぅうううっ」

宥めようとして迂闊に近づいたキャベを横殴りで弾き飛ばすケール。

「うわああああっ!」

「ケール、おいあたしの事が分かんねぇのかよっ!ケールっ」

「うううううぅっうああああっ!」

「ってまたブラスターメテオっ!?」

逃げ場も無いほどに気弾が散りばめられる範囲攻撃にモンテもビーデルも避けるのがやっとだ。

武舞台が砕かれた為に盛り上がったカチカッチン鋼の影に二人で身を隠す。

「何が起こっているのよっ」

「伝説の超サイヤ人…」

ビーデルの呟きにモンテが呟きで返した。

「はぁ?それって超サイヤ人とどう違うのよ」

「ブロリー状態だって事だよっ!」

キレ気味に言ったモンテを誰が責めよう。それほどまでに今のケールはサイヤ人を逸脱していた。

瞬間移動で距離を取るべきかと思案していると暴走状態にあったケールの気が制御され始めた。

「治まった…?」

「ちがう、制御されたんだ」

カチカッチン鋼の影から視線を向けると一回り小さくなった超サイヤ人状態のケールの姿が見える。

暴走状態よりは気の強さは感じられないが、見境が無かった先ほどよりも脅威度は上だろう。

「さすがケール、あたしの妹分だぜっ!」

「はい、姐さんっ」

「あたしとケールががっちり組んだら」

「最強ですっ!」

超サイヤ人ゴッド状態のわたしとビーデルの気は感じられないはずだが、野生の勘だろうかカリフラとケールの視線がこちらを向き視線が交じり合う。

「行くぜケールっ」

「はい、姐さんっ!」

前に出たカリフラを気弾で援護するケール。

「行くよ、ビーデル」

「分かってるっ!」

抜き打ちでかめはめ波を放つとケールは身を捻って避けた隙にビーデルがカリフラと格闘戦に持ち込んだ。

「くっ」

「姐さん、今行きますっ」

地面を蹴って一息で距離を詰めたケールがビーデルを狙う。

それを横目に見ていたビーデルはケールに腕を絡ませてそのまま地面に叩き付けた。

「ぐはっ」

生憎と何年姉妹やっていると思っているんだ。ブランクは長いかもしれないがわたしとビーデルの息はピッタリだ。もちろん連携の訓練も精神と時の部屋で重ねて来たのだ。付け焼刃のコンビ技に負けるはずがない。

「くそ、ケールっ!」

「はぁっ!」

更にビーデルは倒れ込んだケールに自身も宙に浮きながら体重を掛けて肘うち。

「うわあああっ!」

ケールの絶叫が木霊した。

「このヤロウっ!」

「波っ!」

駆けつけようとしたカリフラに地面に打ち付けたケールに覆いかぶさるように肘うちを仕掛けたビーデルの頭上を掠めて気弾が飛びカリフラを襲う。

「あああああっ!」

「っ…!」

無理やり立ち上がったケールがビーデルを払いのけ、エネルギー弾で追撃しようとした所にモンテが接近し回し蹴り。

「はぁっ」

「きゃぁっ」

吹き飛ぶケール。

「大丈夫か、ケール」

「姐さんっ…はいっ」

吹き飛んだケールをキャッチしたカリフラだが…

「「かーめーはーめー…波ぁーーーーーっ!」」

モンテとビーデルがⅤの字になる様にかめはめ波で狙い撃つ。

「姐さんっ!私の後ろにっ!」

「ケールっ!」

「ぐぅぅぅぅううううわあああぁぁあああぁっ!」

カリフラを後ろにかばったケールは腕をクロスさせてモンテとビーデルのダブルかめはめ波を受け必死に踏ん張っている。

げぇっ!超サイヤ人ゴッド二人のかめはめ波を受けきるってのかっ!これだからブロリーはっ!

「「はぁっ!」」

だがここで落としてしまいたいとビーデルとモンテは気合を入れなおした。

「きゃああああっ!」

踏ん張っていたケールの足が武舞台を離れる。

よしっ!今の一撃でケールを武舞台の外まで吹き飛ばす勢いだぞっ!

「ケールさんっ!」

げぇっ!何処に居たのかキャベがインターセプトしてケールを押し戻したっ!?

「ケールっ!」

すぐにカリフラが駆け寄った。

「ここはボクが時間を稼ぎます。なので、お二人はシャンパ様から預かったアレをお願いします」

「アレかぁ…本当は嫌だけどな…今のままじゃ勝てそうに無いし。おいケール、アレ出せ」

「は、はいっ!」

そう言って取り出したのは一対のポタラだ。

「おいっ!あれは良いのかっ!道具だろっ!」

とビルス様が抗議しているが面白そうだから全王様はOKとの事。

「ヤバイっ!ビーデルっ!」

「う、うんっ!」

「させませんよっ!」

キャベがカリフラとケールを守る様に立ちはだかる。

だが、違うんだよなぁ。もうポタラ合体を止める事は諦めている。なので…

ケールとカリフラが融合し途轍もない気を内包した戦士が現れた。

「ケールとカリフラでケフラっ!」

「ケフラ…さん。すごい気だ…これなら」

新しく表れた戦士ケフラとその尋常じゃない気に驚くキャベ。

「うぉおおがったいした」「がったいしたね」

「「すごいねー」」

全王様はかなりお喜びのようだ。

「わははははっ!悔しいかビルスよぉっ」

「うるさいっ!合体くらいで騒ぐな。それにこっちも良く見てみろっ!」

観戦席ではシャンパ様がビルス様を煽っていたがビルス様は涼しい顔をしている。

「すげぇすげぇぜこれはっ!これならあいつらをぶっ倒せるぜっ!」

「「フューーーーーーーージョン、はっ!」」

「はい?」

呆気にとられるケフラの前で恥ずかしいポーズで指先を合わせるモンテとビーデル。

二人の姿が融合し一人の戦士が現れた。

「おおおぉぉこっちもがったいした」「がったいしたね」

「すごい」「すごいねー」

「どっちが勝つかな?」「どっちだろう」「どっちもがんばれー」「がんばれー」

まさかの合体戦士同士の戦いに表情からは伺えないが全王様はすごく興奮しているようだ。

超サイヤ人ゴッドのままフュージョンしたからだろうか、ケフラ、キャベにはその気は感じられないが観客席にいる破壊神や天使はその気配にジリっと汗を流していた。

「ひっさしぶりにモンデルちゃん登場っ!」

「合体…した…?」

「わははははっ!バカめっ!ポタラだけが合体じゃないんだよっ!」

ポソリと言葉を漏らしたシャンパ様に勝ち誇ったように言うビルス様。

「おいっ!合体なんて卑怯だぞっ!」

「どの口が言うんだバーカバーカっ!」

「くぅぅうううっ!ぶっ飛ばしてやるぜっ!」

口では敵わないとなると地面を蹴ってモンデルへと駆けるケフラ。

その姿を目で追うのもやっとの速度ではあったのだが…

「あ、ぐあっ!」

すれ違いざまに首の後ろを手刀で弾かれ吹き飛ばされたケフラは隆起したカチカッチン鋼に当たってようやく止まった。

「ちくしょうっ!」

岩肌から抜け出したケフラは怒りからか一気に超サイヤ人2へと変身しその気を更に膨れ上がらせていた。

「はぁああああああっ!オララララララっ!」

ケフラは手を突き出すたびに気弾を撃ち出し無数の気弾がモンデルを襲う。

その攻撃をモンデルは後ろではなく前に出る事でかわしていく。

「なにぃっ!?」

まさか前にかわされると思っていなかったケフラは焦り、その一瞬を見逃さずにモンデルは瞬間移動してケフラの背後へと回り込み拳を突き出した。

「なっ!?後ろかっ…ぐあ」

思い切り振り返った顔面を殴られ吹き飛ぶケフラ。

さらに吹き飛んでいるケフラに瞬間移動で追いつくと追撃とばかり殴る殴る殴る。

最後は気弾を生成すると至近距離でケフラにぶち当てようと迫ったが…

「なめるなよっ!」

ケフラの胸元に圧縮された気が収束しているのが見える。

「なっ!」

互いの気弾がぶつかり合い合い、爆風で互いに飛ばされて距離が開いた。

「っあ!!」

足元のカチカッチン鋼がめくりあがるくらい踏み込んで距離を詰めてくるケフラは、超サイヤ人ゴッドとの戦いで自分の限界をさらに超えてしまったようでその金色の髪は腰ほどまで伸びて体からはスパークが散っていた。

「なっ!超サイヤ人3だとっ!?」

「だりゃりゃりゃらりゃらっ!はぁっ!」

「くっ…」

先ほどよりも力強いケフラの攻撃にモンデルが押され始める。

ドウゥンドゥン

しかしモンデルも負けてばかりは居られない。殴られれば殴り返し押されれば押し返す一進一退の攻防は音を置き去りにして続いた。

ズザザー

ザザーっ

互いに距離を取って制動。

「なんだ時間切れか?」

そう挑発するケフラが言う様にモンデルの髪は黒髪に戻っていて気も感じられるようになっていた。

「いや、冥途の土産にサイヤ人としての究極を見せてやろうと思ってね」

「はっメイドに行くのはお前の方だろっ!」

ドンッと地面を蹴ると一瞬で距離を詰めるケフラ。

繰り出した拳はしかし…赤い体毛に覆われたモンデルの腕で受け止められていた。

「なんだよ、それはっ!」

「超サイヤ人4…そっちのサイヤ人が変身できるかは知らないけれど…ねっ」

神の気を抜かせばサイヤ人としての限界は間違いなく超サイヤ人4だろう。

「ぐあっ」

ドンと肘うちでケフラを空中へと打ち上げるモンデル。

両手に気を集中させると合わせて腰を落とし半身を引いた。

「かーめー」

更に気を圧縮させていく。

「はーめー…」

「くそっやられてたまるかよっ!」

ケフラも気を集中させている。

「波ぁーーーーーっ!」

「あああああああっ!」

互いに打ち出した必殺の気功波は拮抗し、その余波は武舞台を削っていく。

その均衡は中々崩れず先に気を緩めた方が負けると誰もがそう思った時…モンデルは自身のかめはめ波に乗りケフラの気功波を割いて進んで行く。その進みは一瞬で互いの距離をゼロにして…

「龍拳、爆発っ!」

「ぐああああっ!!」

モンデル渾身一撃はケフラを捉えケフラを武舞台から弾き落とした。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

肩で息をしているモンテ。

「勝ったぞーっ!」

ケフラがケールとカリフラに分離して観覧席に戻ったのを確認すると両手を突き上げた。

「な、このやろうっ!ズリーぞ更に上の変身とかっ!」

外野でカリフラが吼えているが、答える気力もない。

「「あっ…」」

モンテとビーデルに別れて地面に降り立つ二人。

フュージョンでの超サイヤ人ゴッド、そして超サイヤ人4への連続変身でフュージョンで合体していられる時間を使い切ってしまったようだ。


力の大会もだいぶ佳境を迎えすでにいくつかの宇宙が全王様に消滅させられている。

第7宇宙のメンバーもクリリン、亀仙人、17号、ピッコロと悟飯と脱落し残り5人にまで減っていた。

え、悟飯くん落ちたの…?…え?

もしかしてわたしが口笛を吹いたせいでピッコロさんが脱落したから?…いや、まさかね。

しかし他の宇宙よりも人数は多いのでこれから先は優先的に狙われる事だろう。

「次はどうするの」

「んー…第11宇宙のディスポを落としに行って来る。最悪それでわたしは落ちても構わないでしょう」

悟飯くんは確かディスポと相打ちだったはずだし。

「それほどの相手なのね…ならフュージョンして行けば良いんじゃない?」

「それだと失格が二人になるしね、わたし一人で行くよ」

それに不意打ちならば落とせる可能性は高い。

「わかったわ。頑張って来てねモンテ」

「まかせて」

コツンとビーデルと拳を合わせると武舞台を駆ける。

さて、案ずるより産むが易しとはこの事だろうか。

ディスポに瞬間移動で近づいたモンテだったのだが、当然奇襲は失敗し突き出した拳は軽々とディスポに受け止められたのだがそのままモンテは瞬間移動。武舞台の外、観客席手前へと現れると別に触れていただけで握っていた訳ではないディスポはモンテと離れて落下していく。

「きたねぇぞっ!」

「知らない言葉ですね」

足場の無い状態ではいくら足が速かろうが空を切るばかり。

「か・め・は・め・波ーーーーーーーっ!」

衝撃波を出して武舞台へと戻ろうとするディスポに上を取ったモンテが気功波で落としにかかる。

「バカなっ!」

観客席に戻ったディスポを確認すると瞬間移動でビーデルの傍へと瞬間移動で武舞台の上へと戻ってくるモンテ。

「モンテ…あなた、あんな簡単に落とせるならもっと頑張りなさいよね」

「ビーデルも分かっているでしょ。一度見せれば誰も警戒する。あの方法は二度は通用しないよ…それに…」

少し間をおいて続けた。

「さすがにジレンやトッポには最初から通用する手では無かったよ」

それほどまでにその二人の実力は隔絶していた。
 
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